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タジタジ騎士公爵様は妖精を溺愛する  作者: 雨香
第2章

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◆円卓会議◆


「最悪の事態です」


「わ~これはもう詰んでるね~それでこっちにもどってきちゃったの~?」


「甥っ子がここまでヘタレとは叔父さん思わなかったー!姫ちゃん俺の事もタイプっぽかったし、俺、行けちゃう?え?チャンス来ちゃった!?」


「父上、うるさい。シェイド、おまえ貴族として恥ずかしいぞ」


「坊ちゃま、私の知り合いの男爵家の御令息に貴族マナーの家庭教師がつくそうです。坊ちゃまも同席させて頂きましょう。因みに御令息は五歳です」


「姫様、お可哀想です」


「………………………………」


「んでさ~、その薔薇のご令嬢は何者なの~?明日も来るんでしょ~?」


「断ってもしつこい。なんだあれは。やけにベタベタ——————臣の所の女か?」


「その様ですね。門前にいらっしゃった女性ですよ。荷物、渡されていたじゃないですか」


「覚えてない。いたか?あんなの」


「ヘスタは隣領だし、考えられるな。橘邸の使用人に貴族はいなかったはずだ。橘のところに来た患者希望者の中の一人だろう。リリ様のお国の常識とアブレチアの常識が混ざっている症状が他の者と同じだ」アレックスが答える。


「……チッ、めんどくせぇのがまた増えたな」


「起爆剤として魔力を流すのは通常三回です。今日はまだ微弱の一回目しか流していないのでしょう?」


「ああ、夜会の招待を断ったら施術だけはどうしてもと食い下がってきた。明日はグラセンにいるっつったら公爵邸に来るそうだ。死ぬほどめんどくさい」


「ヘスタの領主自ら頭を下げてお願いされたのでは、今後の付き合いもありますし、受けるのが賢明です」


「でもさ~ヘスタとグラセンが切っても切れない関係なんてそんなわけ無いのにね~」


「あちらはペシテリオールの生産地ですし、あながち間違いではないのでは……?」

アランが自信のない声で言う。


ペシテリオールは魔法騎士の剣の材料になる鉱石で、鉄鉱石に似ているが、鉄と違い魔力を乗せられる。


「シェイド、アランにはまだ教えてなかったのか?ペシテリオールはグラセンでもとれる。公表してないだけだ。隣領なんだぞ、取れないと考える方がおかしいだろ」


「えぇ、何のためにですか?」


「うちは豊かな土地だが聖都から遠い。万年人手不足だったの知ってるだろ。今はリリのおかげで解消しつつあるけどな。掘る人材確保が面倒なのと、ヘスタとの付き合いにちょうどよかったんだよ。あっちはそれしかねぇからな」


「えぇ……」


「そーゆーこと~!うちってさ~国内最強の騎士団って言われてるし人数も多いから、いいお客様でいてあげてるの~!ヘスタはうちから買うもの多いけど、うちは何にも買いません!じゃ、お付き合いできないからね~!結局騎士の遠征で金巻き上げてるけどね~!」


「坊ちゃま、お嬢様は姫殿下のお部屋でピアノを弾いておられましたよ」


「あ゛ぁ~~クソっ……マジかよ」


「おみおみの所でもピアノ弾いてたよね~、すっごい上手かったじゃん。弾くとなんか問題あんの?」


「ご自分では気づいておられない様ですが、お嬢様はお辛い時にピアノを弾くようです。辛い気持ちを口に出せないお性格ゆえでしょう」


「詰みましたね」

「詰んだな」

「やっば~」

「おじさんの番じゃね?」

「姫様……」


「はぁ~~、これは完全に俺が悪いな」


「団長、因みに橘邸で受け取った手紙に返事は致しましたか?既にリリ様のお国の言語、習得してらっしゃるのでしょう?」


「………………………………」


「詰で」

「詰で」

「詰で」

「詰で~」

「えっと……詰みで」


「俺が悪い。最悪だ。リリを手に入れて浮かれて傷つけた。聖主の野郎にも警告された」


「んで猊下はなんて言ってきたの~?珍しいよね~猊下からの急ぎの謁見要求なんてさ~」


「リリの儀式の取り仕切りを聖教会が全面的に受け持つそうだ。グラセンが護衛につく」


「シェイド、裏があるんじゃないか?こちらとしては動きやすくはなるが話が旨すぎる」


「聖教会側もメリットが大きいからな。リリのもつ求心力は聖教会にとっては旨みでしかない。それにこれはリリから正式に依頼を受けてうちに持ってきた話だ」


「ふぅ~ん、妖精ちゃん、ぼくらに気を使ったかな~?そして猊下はまだ妖精ちゃんを取り戻そうとしてんのかな~」


「さぁな。前よりは丸くなってる気はするけどな。どのみちやらん」


「団長、そうなればグラセンへの不満もある程度コントロール出来ますし、聖教会を隠れ蓑にできるので動きやすい。承諾したのでしょう?」


「ああ、リリに助けられたな」


「シェイドォ!そんな姫ちゃんを傷つけてぇえええ!!!反省しろ!!貰っちゃうぞ!!!俺まだ四十四だし!許容範囲だろ!!俺はプレゼントも手紙もセンスいいってメロちゃんも言ってたし!」


「クソ親父、母上をメロちゃん呼びはやめろ。穢れる。そもそも母上のお名前はリディアだ」


「メロメロだったの!!俺が!!!何で息子はメロちゃんに似てないの!!!娘がよかった!!」


「………………チッ」


「わ~!いまの舌打ち団長そっくり~!さすが従兄弟!」


「ヴァルド殿……姫様は自分と同じ歳ですよ?」


「だからなんだ!!!かっこいいって言ってたもん!!」


「クソ親父、もんは辞めろ。虫唾が走る」


「息子が怖い!!!」  


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