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特別編 お酒が入ると更に饒舌

更新が遅れてしまい、ごめんなさい。

昨日、秋葉原へ声優アイドルユニットのライブを観に行ってたもので……

「エルヴィアスは時代的に神の時代なんだよ。神が世界の支配権を賭けて争っている時代なんだよねー。ま、神が直接下界で戦うと世界そのものが簡単に壊れちゃうから、眷族に選んだ種族に代理戦争させて、勝敗を決める……みたいな?ぶっちゃけ、正人族か魔族のどっちかが全滅した方が敗け!ってルールのゲームをやってるんだよ」


あっけらかんと、異世界の仕組みについてネタバレをし始める女神ちゃん。人がゲームの駒として扱われる世界、そして扱う神の存在に、小町は嫌悪感も露にドン引きな表情を浮かべていた。


「うわぁ……えげつない世界。どちらかの全滅が勝敗条件だなんて……でも、そのルールって魔族側に有利過ぎない?魔族以外の人って魔力の濃い場所では生きられないんだったよね?魔王がいればその場所が広がっていく訳だし……」


「正直、魔王が勇者から逃げ回っていれば、それで魔族の勝利が確定してしまうような気がしてしまうルールでありますな」


しかし、事はそう単純でもない。エルヴィアスの戦いの当事者であった実鳥が、苦々しそうに解説した。


「……桜ちゃん、そこは〝勇者〟の存在がそうさせないんだよ。魔王が逃げたら、勇者が蝨潰しに他の魔族を殲滅しちゃうから。勇者が出現したら、魔王が前線に出ざるをえない……普通の人と、魔王と勇者には、それだけ隔絶した力があるから……」


魔族にとって、勇者は完殺者(ジェノサイダー)なのである。本来の、純血の正人の勇者であれば、魔族に対する強い殲滅衝動があるのだ。混血の勇者として生まれたヴェルティエには、その衝動が引き継がれていなかったのだが。


「その勇者と魔王なんだけど、当然、天然自然の存在じゃあなくてね、互いの神様が〝神様ポイント〟を使ってメイキングした……ユニットって言い方すれば説明するのに分かり易いかな?ポイントをやりくりして眷族を強化したり、神秘道具を与えたり、天変地異を起こしたり……そんなウォーゲームを繰り広げている訳なのだよ」


「ポイントって……マジでゲームみたいじゃない!うわぁ……それ、エルヴィアスの人達は知らずにやらされてるんだよね?」


「そうだねぇ。普通は人間に神の思惑なんて計れるもんじゃないからねえ。恩恵を与えて貰っているつもりが、都合よく手駒として使われているなんて知ったら、堪ったもんじゃないだろね。ね、実鳥ちゃん」


元勇者=最強の手駒であった実鳥としては、人族と魔族の生存競争が、神々にとって覇権を争うゲーム盤にしか過ぎず、その事実を知らずにいた現実に愕然とするばかりであった。


「……でも、今更どうにもなりませんよね……それに、人族の生存圏を守る為には、ガルザートを倒すしか……」


魔王が生きている限り、魔力高濃度地帯は拡大し続ける。魔力高濃度地帯で生きられない人族を守る為に……それがヴェルティエにとっての大義名分であった。


「そう思わせてるのが、あいつ等の嫌らしいところなんだよな……困難ではあるのだけれど、人族と魔族の共存って、実は可能だったりするんだよね」


それは、人族と魔族の争いが、生存競争ではないとする、争いの根底を覆す、途方もないネタバレであった。


「女神様……それ、冗談とかじゃ、なくて?」


「うん。そうだね……じゃあヒント、今まで寿命の限界まで生きた魔王はいたでしょうか?」


「いや、私達エルヴィアスの歴史なんて知らないし。魔王が何年生きるかなんて知る訳ないよ」


「それは当然、人族が絶滅していないのですから……ん?おや?もしかして……魔王が寿命を迎えるまでに、エルヴィアス全域を高濃度の魔力で覆い尽くせはしないのではありませぬか?」


「桜ちゃん、アタリ。数字の詳細は省くけど、魔王がどんだけ頑張って延命しても、エルヴィアス全土の陸地一割程度には影響が及ばないんだよね。その限られた土地で()()生きる事が出来たなら……まぁ無理だろうけどね」


「滅亡寸前まで追い込まれながら、限られた土地と資源を奪い合い、憎しみや差別意識を捨て去る事も出来ない……ありがちな展開になりそうなのであります」


「何千年も争っているって話だもんね。そう簡単に確執とか乗り越えられる筈もないし。単純に、魔族側に和解するメリットが無さそうだよね?」


「ありませんな、全然!ま、遅かれ速かれエルヴィアスは魔族が統べる事になるでありましょうな。勇者の血統が絶えている以上、次の魔王に対抗する術が人族側には残されておりませぬし……まぁ、神様ポイントで新たな勇者をメイキングすれのであれば、或いは、ですが」


その可能性は薄いだろうと桜は推察していた。ポイントで勇者や魔王を量産可能なのであれば、既にそうしている筈であるからだ。勇者も魔王も、一時代に一人ずつしか存在していなかったと、剣から聞かされていたのである。


「恐らくですが、ユニット〝勇者〟〝魔王〟は莫大なポイント消費で配置可能な特殊ユニットなのでしょう。それがフィールドから除去されると、条件が満たされない限り再配置されない……とか。そして、条件変更不能な上に、一度限りの購入制限的なルールがあるのでは?」


「……桜ちゃんが鋭すぎて、神様説明する必要が無さそうです」


「エルヴィアス……マジで神様ゲームの舞台じゃない!実鳥義姉さん!気をしっかり持って!」


実鳥は椅子の背もたれに身体を預け、ぐったりと脱力していた。前世が神に弄ばれていたと知り、やるせない虚脱感に苛まれているのである。


「ヴェルティエとしての私の人生……会ったこともない神様に操られていたのかな……?」


「うんにゃ、そうでもねーぜい?」


実鳥が闇堕ちしてしまいそうな絶望に包まれる中、なんと、女神ちゃんが救いを差し伸べた……まるで女神のようである!


「ヴェルティエちゃんの行動は、どっちの神様にとっても都合が悪いことが多かったのだよ。魔王を倒す以外勇者としての役目を殆んどしてないどころか、魔族の子供を拾って育てちゃったりとかね。勇者の育てた魔族の子供が、魔族の中で飛び抜けて強い戦士になっちゃってるんだから……人族の神様涙目ってハナシだよー」


カラカラ笑いながらカクテルを喉に流し込む女神様。管理する世界を持とうともしない自由な放蕩神にとっては、世界を得んとして手をこまねいている神様は、相当滑稽に見えるようである。


「そっか……操られていた訳じゃないんだ……私、今思い返すと前世の頃は、魔王を倒さなきゃって焦っていたような気がしていたから……」


「それは勇者の魂に刻まれた衝動……本能的な物だからね。でも、ヴェルティエちゃんの持ってた衝動は過去の勇者達よりかなり弱まっていたんだよ。原因は他種族との混血で血が薄まっていた事と……第三特異点が、少しやる気になったからだね」


「第三特異点……それ、名前を思い出したくもないクソジジイが兄様をそう呼んでおりましたが……兄様自身も心当りが無さそうでしたが、何なのですか?とても……そそられるワードなのでありますが!」


厨二心をくすぐるような、意味ありげな単語の登場に桜は目をキラキラさせて食い付いた。その気持ちが理解不能な小町は、冷めた目をしながら、ナッツをポリポリ咀嚼しだしていた……


「あの……私もそんな単語に聞き覚えが無いのですけど……聖剣さ……前世の剣さんからも、聞かされた事がありませんし」


「そりゃまーね、剣ちゃん自身、自分の事を〝たまたま意思を持つようになっただけの珍しい合金の剣〟としか思っていなかったからね。自覚が無いのも仕方がないさ、彼は〝勇者〟や〝魔王〟と違って、高次元存在の意思によって〝調整〟された個体じゃなく、世界そのもの……惑星エルヴィアスが神の力に対して生み出した抗体だから。いわば〝星の子〟ってとこだね」


神とは違い、惑星には明確な意思は存在しない。〝星の子〟は、惑星が自己防衛の為に生み出す自然現象である。それは生態系が著しく崩れたり、惑星規模での自然環境の劇的な変化が長期間続いた場合、星を在るべき姿に戻す為に出現する……古代の伝承から、エルヴィアスにはそんな仮説が在ったのである。


だが、勇者と魔王に比肩する力を持っていた当の〝星の子〟には、仮説を立てた者が思うような崇高な使命感を持ってはおらず、基本的に他人任せ波任せに人族と魔族の諍いに関わり、より神権争奪戦を長期化させる要因になったともいえた。


「……もう、兄さんってば設定盛り込まれ過ぎ……」


やりきれない感じで、テーブルにぐったりと突っ伏す小町。持つ者に対して、持たざる者であるが故の嫉妬もそこには含まれていた。


それを見かねて(?)女神様が爆弾投下!


「何だか……小町ちゃんが退屈そうなので、もひとつ暴露しようかと思います。実は、エルヴィアスで一番ピンチだったのは実鳥ちゃんではなく、小町ちゃんだったりしたのだよ!」


突拍子もない発言を前に、三人娘は唖然呆然と言葉を失った。


「いや、本当にヤバかったね。エルヴィアスの滞在が丸一日にも満たなかったから良かったけど、あまり長居したらあっちの神に小町ちゃんの存在がバレちゃってたからね!これも短時間でゲートを完成させた私のお陰!僅かな時間で造形美にも拘った隙の無い完成度!グッジョブ私!」


女神様、自身の仕事を自画自賛!神様マジックでファンファーレが鳴り響き、色とりどりの紙吹雪が舞い、純白の鳩が群れで飛び立つ!……勿論、都合よく一般人には認識されないイリュージョンである!


「いやいやいや!ゲートは確かに無駄に凝ったデコとか凄いけど……それは置いといて、何で私!?私なんて、スキルを一つも持ってないパンピーだよ?とんでも前世な翼姉さんと希姉さんなら解るけど!」


「確かに、あのツインズも希少キャラではあるけどね。小町ちゃん、一つ訂正しようか?小町ちゃんの魂はね……スキルを一個も持ってないじゃなく……魂の99%以上が空白なんだよ!つまり〝聖 小町〟は、前世が無いのだ!」


どっかの黒いセールスマンのように、小町をドーン!と指差す女神様。それに、電撃に撃たれたように「ギャー!」とリアクションをする桜。しかし、平成後半世代の実鳥と小町は目を白黒させるだけで反応が薄かった……


「えっと……前世なんて、普通は覚えていないものなんだし、無くても問題ないんじゃ?」


「いや、覚えていないだけで、基本的には誰だって前世は有るんだよ。魂の根源は生命力……或いは魔力や霊力と呼ばれるモノだからね。それは世界を循環しているモノだから。ま、そうゆう意味では、前世を完全に引き継いでいる剣ちゃんや実鳥ちゃんは特別ではあるね。そして、小町ちゃんはもっと特別なんだ。生命体が大量に存在し、生と死が激しく循環している世界で、前世とゆう情報を全く刻まれていない魂が高い知性を持つ生物に宿る可能性は……地球規模の惑星で何万年に一度見つかるかどうか、そんな確率なんだよ。そして、それは新たな勇者の器として最適なんだよね。例え神様ポイントの残高が有ったとしても、最適な器に使わなければ優れた手駒にはならない。大量のポイントを消費するんだもの、無駄にはしたくないもんね~」


「な、なんと……それでは、小町たまが勇者にされていたかもしれなかったのでありますか?」


ここまでの話の流れから、エルヴィアスの勇者が神にプログラムされた使命に本能的に従ってしまう奴隷に等しい事を理解していたが故、特別な存在への憧れが強い桜をして、強い嫌悪感と忌避感を隠せなかった。


「もし、小町ちゃんが勇者にされていたら、元々の人格すら改変されて……ガルミア達を、殺していたかもしれなかった?」


「うん。それが正しいと微塵も疑わずにだろうね。だからって記憶そのものが失われる訳でもないから……誰も幸せになれない顛末になってただろうね~。本当、気付かれていなかったのか、ポイントが足りていなかったのか、ラッキーだったよね君達」


過ぎた事だと笑い飛ばす女神様であったが、当人達は、とても笑える心境になかった。


「私……今後が不安で仕方がないんだけど!?地球とか、他の異世界の神様に拉致されたりしないよね!?」


「さてさて……?それは今後の展開を御期待下さい!とでも言っておこうかな。さて、折角夏のパークに遊びに来たのだし、放水ショーでも見に行って、ずぶ濡れにでもなってみようか?」


「それは楽しみにしてたけど、心の中は雨模様どころか暴風雨クラスに荒れてるんですけど!?」


そうは言いつつも、ショーの間は誰よりもテンション爆上がりな小町ちゃんなのでありました。


特別編、まだ続くよ!





エルヴィアス編の設定を女神ちゃんにザックリ説明して戴きました。本編ではストーリーの流れ的に説明出来なかったし、女神ちゃん以外の神様を登場させるつもりがなかったもので……

そして、遊び呆けて更新が遅れてしまって申し訳ありません。週一更新を確約している訳ではありませんが、少しは楽しみにしていて下さる方には本当に申し訳無く思っております。

なので、お詫びではありませんが、どうにか明日も更新するつもりです。




追伸


それはそれとしてライブは楽しかった!いや、最前列のチケット当選したので行くしかねえ!と、有料のライブを観に行くのは初めてだったのですが、出演者の表情がハッキリ見える程に近くて感動した!今年の運を使い果たしたか……?

おっちゃんには、若い娘の笑顔は眩しかったよ……

超・鋼・神・器!……これをライブで叫べる日が来るとは……

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