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再生の賢者 ~スキルポイント目当てで低級奴隷を漁っていたら、再生の賢者と呼ばれるハメに~  作者: 和食 三昧


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第6話 白狼

 俺はゲーム、RPGをしている時、このポイントの割り振り、キャラクターをどう成長させていくか、こういったところを考えていくのが一番楽しくて好きだった。ゆえに、かなり慎重に、このポイントを割り振っていったのだが……


「……やっちまった。あ~あ、なんだよ【魔草感知】って……魔草? 悪魔の草?? モンスター的なやつか? いや、なんか違うな……」


 【魔草感知】を意識してみるが、何の反応もない。まぁいいか、〈魂の欠片〉の使い方はわかった。今後は……慎重に。


 さて、ある程度この自分の能力的?なものは検証できた。後は、今後どうするかだが………………いや、本当はもっと根源的な疑問が解決できていない。


「…………なぜ、俺はこの不可解すぎる状況に、それほどの絶望感もなく順応してしまっているのか……?」


 だが、これは今ここでいくら考えても答えは出ないだろう。そして、順応しているのなら、それはそれで逆よりよっぽどマシだ。明日どうするか考え……るのは、明日にしよう。もう限界だ、眠い、疲れすぎた。吹雪の中、このまま馬車で寝てしまって、大丈夫か不安だが、どうしようもない。


――ああ、多少魔闘気(・・・)でも纏えば……おれは微量の魔素をからだ中に巡らせ……眠りに落ちた。


 ◇


「お父さん、お父さん! 起きてよっ! 今日は愛する娘とデートだよっ!」


 ゆっさゆっさと体を揺らされ、俺は深い眠りから徐々に意識が覚醒していく。ああ、今日は娘の綾香とデート……という名の買い物に付き合わされるんだった。小6になると同時に急におしゃれに目覚め始めた綾香は、ファッション雑誌に載っているような服をご所望だ。何着ても可愛いじゃないか、と父としては思うのだが、「お父さんの意見は聞いてないっ!」だそうだ。

 父親は口は出さずにカネを出せ、ということか……それでも嬉しそうに試着しては「どお??」と聞いてくる娘が可愛すぎて……結局買い与えてしまうのだが。


「ワンッワンッ!! ワン、ワンッ!!!」


 愛犬のルゥが吠えている。ちなみにルゥは雌の保護犬で犬種はわからない。だが、白い毛並みがとても艶やかで、とっても美犬だ。めったに吠えることもないというのに……そう言えば、この間の出勤前もすごい吠えてたな。

 ああ、あの時、俺を止めようとしていたのか。いや、自分も一緒に行こうとしてくれたのか……ごめんな、気づいてやれなくて……


「お父さんっ! 起きて! ほんとに起きてっ!! 危ないからっ! 気づいてよっ!!」


 さっき元気に起こそうとしてた綾香が、なぜか涙声で俺に訴えかけてくる。


 綾香……どうした?? なぜ、泣きそうなんだ?? なんでそんなに辛そうなんだ……?? 綾香……あやか……


 ◇


「……綾香っ! どうした! 綾香っ!!!」


 はっと目が覚めるが、暗闇で回りが見えない。


「綾香……美紀……ル……ああ、そうか……」


 ドーン、ドーン……さっきから軽い衝撃を受け鉄馬車が揺れている。鉄馬車内にはガラス窓はなく、窓らしき穴に木板がはめられており、外が見えない。俺はその木版をとり外を確認する。


「ガウッ! ガウッ!!」


 木版を外した瞬間、窓枠から獰猛な犬のマズルが飛び込んできた。


「うわっ!」


 幸い窓枠は小さく、犬の顔全体は入らなかったため、反射的にのけぞった俺は噛まれずに済んだ。昨日に続き腰砕けになった俺は、四つん這いでその窓枠から遠ざかる。


「くそっ、何だってんだ!」


「グルゥ~、ガウ、ガウ……」


窓枠にハマっていた犬の口はあきらめたのか出てき、その隙間から外が見える。何か白いものがうごめいている。


「……雪が動いてる? いや……あれは白い大型犬か??」


 おそるおそる反対側の窓枠からもそっと木版をずらし、外を見てみる。


「マ、マジかよ……」


 十数頭の白い大型犬が大きな塊に集まりうごめいている。どうやら昨日倒したオークの死体を貪っているみたいだ。


「ま、まさか……人間は!」


 俺は別の窓枠から昨日人間を埋めた、ではなく、雪で覆い隠した場所を見てみる。


「よ、よかった。今のところは無事みたいだ」


 もう死んでいるので、死体が他の生物の糧となるのは自然の摂理かもしれないが、服や剣など色々と頂いた手前、彼らが食われるのを見るのは気分のいい物じゃない。


 ドーン、ドンッ……先程からの揺れがまた始まる。どうやら数頭の白い大型犬が鉄馬車に体当たりしているみたいだ。


「中に生きた人間がいるのが分かってるみたいだな……そんなに俺が食いたいか?」


 幸い鉄馬車を破壊するほどの体当たりではなさそうだ。窓枠も小さく、扉も変形して開きづらくなっている。そもそも外開き扉だから犬には簡単に開けられまい。


「しかし、でかいな。あれで野犬とかビビるわ……」


 体高も1メートルくらいはありそうだ。白くて毛並みは奇麗そうだが、顔つきが凶暴だ。同じ白い犬でもうちのルゥとは大違いだ。奴らめ、かわいさの欠片もない、いくら俺が犬好きと言えども……そもそも犬なのか……? 見た目和犬ではあるが、和犬というより……


「狼……??」


 キーンッ! ガッ! キィーンッ!!


 先程の体当たりの音とは異なる衝突音が聞こえる。


「な、なんだっ! 」


 剣で金属を切りつけたような音が聞こえる。窓枠から外を見ると狼がその爪で鉄馬車を引っ搔いて……いや、斬り付けている。しかも直接斬り付けているのではなく、爪を振るったことで生じる真空の刃のようなもので。

 それでもこの鉄馬車が破壊されるほどではなさそうだ。『相当丈夫にできてるな、この鉄馬車』と安堵したのも束の間、今度は扉の部分に集中的に衝撃が走る。


 外を見ると一際大きく立派な個体が、扉と馬車本体の接合部分に集中的に真空刃を浴びせている。構造的に一番脆い部分だ。


「……こいつ、知能あんのか!?」


 その群れの頭らしき狼は少し鉄馬車から距離をとる。あきらめたのかと一瞬思ったが、違う。爪を振るうわけでもなく、顔の前に何か力のようなものを集中させ、おそらく……今までとは比較にならない真空刃を放とうとしている。


「ま、まずいっ!」


 直感的に鉄馬車が破壊される程の真空刃が放たれるのを感じる。奴が放つ真空刃の直線状から、馬車内でできるだけ距離をとり……


「し、収納っ!」


 シュンッ!!


 俺が雪上に取り残されたと同時に、俺の横を恐ろしい速度で目に見えぬ刃が通り過ぎたのを感じた。


「キャインッ、ギャッ…………」


鉄馬車の向こう側にいた狼が数頭細切れになっている。俺は雪の上に尻もちをついたまま唖然とした。あんなの食らったらいくら鉄馬車とは言え……


「グルゥ~……」


 奴も少し驚いたような表情で俺を見る。狼なのになぜか表情が読み取れた。


お読みいただきありがとうございます。

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