第10話 水聖の祝福
「……名残惜しいけど、いつまでもここにいるわけにもいかないか」
さっきの出来事が何だったのかは分からない。というか、さっきの出来事以外も全て分からないことだらけなため、もはや全てを受け入れる境地に至っている。
さて、どこに向かえばいいのか分からないが、とりあえず川下に向かって歩いてみるか。川のそばには人里がある可能性が高い。だがその前に、
「ここの水はうまかったからなー」
ワインの空き瓶に川の水を汲んでいこう。空き瓶を異空間から取り出し、川の水を汲もうかと思ったところで、
「あっ……!」
手を滑らせて、空き瓶が川に流されてしまった。
「うおっ! 収納!」
俺は流されかけた瓶を、慌てて異空間に収納するが、焦ったせいか、川底の石や砂利まで一緒に収納してしまった。別にそのままでもいいのだが、何となく余計なものは入れたくない。石や砂利を何気に放出する。
プシュッ、と音を立てて、石や砂利が飛んでいった。
「……これは……使える……か?」
俺は再度、こぶし大の石をいくつか収納し、右手を森の木に向かって突き出す。
「〈……混沌たる世界の理に風穴を開けよっ 岩弾!!〉」
ブシュッッ!!
俺の右手から高速射出された石が森の木を穿つ。そこそこの威力。一発で木を抉り倒すほどではないが、何発か連続して放てば、大木でなければ倒せるかもしれない。
「石だからな……〈理に風穴を開けよ〉より〈理に一石を投ず〉のほうが、合ってるかな。そっちのほうが文学的表現っぽいしな……」
……いや、まぁ、詠唱文を考えるのはあとでいいか。落ち着いてからゆっくり考えよう。それより、
「【ソードバレット】の残弾が少なくなっていたからな。これはいいぞ、そこら辺の石ころ集めれば無限に使える!」
歩きながら川べりの石をどんどん収納していこう。俺の異空間にどれほどの容量があるかわからないが、限界が見えたら出せばいいし。
周りの手ごろな石をどんどん収納していく。その過程で異空間を意識していると、
「……え? み、水……??」
ジョロジョロジョロ……
俺の異空間から水が出てくる。この清流の水だよな……
どうも固体しか収納できないイメージだったが、液体をそのまま異空間に収納できるらしい。
「瓶いらずだな……これはますます、いいぞ! たくさん汲んでいこう。当面水には困らない!」
いつ人里に着くかもわからないし、着いたところでどうなるかも分からんしな。
俺は川に意識を向け、不純物を取り除くように水だけを意識し、異空間に収納する。万が一、川下で水不足になってはいけないと思い、一気に水を収納することはせず、適量を時間をかけて収納することにした。
……暇だ。川べりに座り、川に意識を向けていたが、慣れてくるとただのルーチンワークだ。アレでも見ておこうかな。
ブヲォンッ
=====================
---魂の操作盤・壱---
名:ユキア・ベオルーク
年齢:15
魂位:8
職:————
魂の欠片:8
特殊固有スキル:【魂の操作-翠緑-】 【異空間魔法】 【水聖の祝福】
スキル:【魔草感知】
=====================
=====================
---魂の操作盤・弐---
【魂の配分】
・体力:21
・筋力:13
・敏捷:14
・器用:15
・知力:23
・耐性:12
・内在魔素量:73
・魔素調整力:89
【魂の回廊】
・水魔法(20) ・水聖魔法(240) ・剣技(30) ・戦技(30) ・薬剤生成(60)
~~~~~~(中略)~~~~~~
・状態異常耐性(70) ・気殺(180) ・状態異常無効(140) ……………
【隷属・魂操作盤壱】
【隷属・魂操作盤弐】
~~~~~~~~
=====================
「…………なんか、特殊固有スキルが増えてる……【水聖の祝福】……?」
祝福されたのか? さっきの”水の少女”か……?
水聖……聖水じゃないな。水の聖なる……なんだろう? 水の精霊的な感じだろうか? ウンディーネだっけ? それとも、この川の主……的な?
よくはわからないが、悪いものではないだろう。『好きだな——あげる』的なこと言われてたし。【水聖の祝福】に意識を向けてみるが、特に何かが発動するような気配はない。いわゆる”アクティブスキル”ではないのだろう。
【鑑定】的なスキルもないし、ステータスボードのヘルプメニューがあるわけでもないので、はっきりとしたところは分らん、分らんが……
「おそらく、関係はしているよな」
・内在魔素量:73
・魔素調整力:89
【魂の回廊】
・水聖魔法(240)
『内在魔素量』『魔素調整力』のステータス値が爆上がりしている。確か、前見た時は今の半分程度の値しかなかったはずだ。そして——【水聖魔法】。
さっきは【魂の回廊】の中にはなかった。取得に必要なポイント……『魂の欠片』の数が他のスキルと比べて、段違いで高い。最上級魔法的な位置付けだろうか……おそらく、この【水聖の祝福】がなければ、そもそも取得不可能な魔法の様な気がする……まぁ、気がするだけだが。
お読みいただきありがとうございます。
面白かった、続きが気になると思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。




