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再生の賢者 ~スキルポイント目当てで低級奴隷を漁っていたら、再生の賢者と呼ばれるハメに~  作者: 和食 三昧


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第1話 転魂

 エレベーターの扉を抜けると、そこは……………………雪国だった。


「………………………………はっ!?」


 しかも………………全裸だった。


「………………………………なんでっ!?」


 ついでに………………魔物がいた。


「………………………………意味分らんっ!?」


 ◇


『……むぁ~、あ、ああ、今日は一本早い列車で行くんだった…』


 目覚ましを止め、時間を確認すると早朝5時半。隣で寝る妻を起こさぬようそっとベッドを出る。手早く出勤の準備をし、小6になる娘の部屋に入る。


『相変わらず、すごい寝相だな……』


 最近おしゃれに目覚めた娘だが、寝相の悪さだけは幼児のころから変わらない。最近ではさせてくれない『ほっぺにチュー』をここぞとばかりに行い部屋を出る。


 リビングで牛乳を一気飲みしていると、足元にぬくもりを感じた。


「ハッ…ハッ…ハッ…ハッ……」


 期待に満ちた目で見上げてくる何とも愛くるしい生き物が、しっぽを高速で振っている。


「ごめんな、ルゥ……今日はお父さん、散歩に連れていけないや。お母さんにお願いしてるから」


 いつも朝は俺が散歩しているので、てっきりそのつもりで張りきっていた愛犬のルゥが切なく「クウゥ~ン」と鳴く。相変わらず、人の言葉を解しているとしか思われない反応だ。一通りワシャワシャした後、おとなしくなったルゥを置いて玄関を出ようとしたところ、急にルゥが吠え始めた。


「ワンワンッ!! グゥ~~ワンワンッ!!」


「おいおい、どうしたんだルゥ、みんなが起きちゃうじゃないか」


 慌ててルゥを抱きかかえるが、玄関の外に向かって吠えるのをやめない。


「うーん、どうしたの? ルゥちゃん」


 妻の美紀が起きてきた。


「ごめん、起こしちゃったな。なんか急にルゥが吠え始めて止まないんだよ」


「ほらルゥちゃん、こっちおいで。今日はママとお散歩行こうね~。行っていいよ、時間ないでしょ」


「悪い、行ってきます」


 ルゥを美紀に渡し、急いで玄関を出る。ウチはマンションの24階、エレベーターが来るまでにも時間がかかることもあるのだが、今日は24階に止まっており、扉まで開いている。


「ラッキー、誰か出た直後なのかな?」


 周りには誰かいた気配もないが、気にしている暇はない。急いでエレベーターに乗り込み1階のボタンを押す。途中の階に止まらなければ一階まで約50秒、一分一秒を争う朝の世界に余計なタイムロスは焦りを生む。まぁ、余裕をもって出ればいいのだけれども……こればっかりは子供のころから直らない。


「よしっ、今日はやはりツイてるぞ」


 途中止まることなく一階につく、扉が開き、勢いよく、だが社会人としての節度を持ってエレベーター飛び出ると、


そこは………………………………………雪国だった。


「…………は??」


 ◇


「ブゥモォォ~~グブゥ!!」


 ダンッ ガシャンッ ズゥドンッ!!!


 周りにすごい衝撃を感じる。と同時に自分にも衝撃を感じ、吹っ飛ばされる。


「ぐふっ……なんだ…なに……? い、痛い……寒い……」


 おそるおそる目を開けると、少し離れた場所で人が争っている様子が見て取れるが……


『な、なんだあれは……?? ぶ、豚が立ってる??』


 肌が灰色、顔が豚の身長2メートルを超えるであろう巨漢が2体。その周りに肌が緑色の小汚い感じの子供が複数。それらと争っているのが、中世西欧風の鎧姿の男が一人。


『い、いや、これって……オークとゴブリン……』


 子供のころからRPGが好きで、高じていわゆるファンタジー物の物語や映画が趣味となった俺にとっては、非常になじみ深い光景。かと言って……


「いや、生で見るのは初めてだわっ!!」


 思わず叫んでいた。


「ブモ……?」


オークみたいなのが俺に気づき動きが止まる。


「戦闘中によそ見とはっ! 正気かいっ!! うおおーーー!!」


 雄たけびとともに、鎧姿の人間がいかにもなロングソードをオークの胸に突き刺す。


「よしっ……む、むお」


 しかし、オークは胸に剣を突き刺されたまま、両手で男の肩を掴かみ、ズドォンと強烈な頭突きを食らわせる。オークと男は同時に倒れ、雪に埋もれる。


「グガッ、ギャッ」


 小柄なゴブリンみたいなのが、倒れた男に群がり短剣を突き立てる。白い雪が見る見るうちに赤く染まっていく。その周りをよく見てみると、今倒れた男以外にも5、6人の鎧姿の人間が倒れており、その近くには鋼鉄製の頑丈そうな馬車が、馬と共に横倒しになっている。


「……な、なんなんだ、一体……どこだよ、ここ……??」


 一面の銀世界。吹雪いてはいないがチラチラと雪は降っている曇天。葉の落ちた木々が申し訳程度に数本立っているが、それが余計にこの風景の寂しさを際立たせる。

 全く理解ができないこの現状に、ボーっと周りを見渡していると、視界の右下に小さな木片がゆらゆらと浮かんでいるのに気づく。それを手に取ろうと何度も手を伸ばすが、全くつかめない。


「なんだよこれっ」


 あまりの現実味のなさに周りの状況も忘れて、その木片を掴もうと意識を集中すると……


 ブヲォンッ


「わっ!」


 小さかった木片がタブレットサイズの木板に変わった。というより、PC画面で最小化されていたウィンドウが最大化された感じだ。


「……なんだよこれ……」


 先程と全く同じセリフを違う口調で言いつつ、その木板を眺める。


お読みいただきありがとうございます。

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