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バンド  作者: こくぼなり
一章
9/60

二日目

 昨日吐いてから、何もやる気力がなくなりそのまま寝てしまった。

 だからか、午前3時といういつもなら熟睡中の時間に起きてしまった。

 二度寝しようにも、12時間以上寝てしまっているので叶わず、食料を求めてリビングに狩りに出るとテーブルに昨日の夕食であろうものにラップがしてあった。

 ラップをどかすと、ほのかに唐揚げの香ばしい匂いがただよってくる。

 こんな時間に揚げ物を食べたら太ってしまう…しかし、体は正直だ。

 考えている間にはもう、唐揚げの皿を持って電子レンジに入れていた。こうなると、心は到底勝てないようで「まあ、運動するし大丈夫か」と簡単に諦めてしまう。

 電子レンジを待っている時間が永遠のように長く感じる。何かやることはないかと思っていると、ふとお風呂場が目に入る。

 そういえば昨日はお風呂に入っていない。吐いた後口を洗い、顔をゆすいだがその先はやってないのだ。

 思い立ったが吉日と部屋にそっと下着と制服を取りに行き、ゆっくりと昨日の制服を脱ぐ。

 熱いシャワーを浴びながら気持ちが晴れていくのを感じる。今はまだ午前3時半、これからの朝は沢山あるのだ。

 髪の毛を洗い顔を上げると、壁のシミを見つける。多少の不快感をおぼてながら次の休みに落としておこうと決心する。

 シャワーを終え髪を乾かしていると、さっきの唐揚げのことを思い出す。急いで電子レンジから取り出した。

 まだ、冷めてはおらずさっきよりかは美味しそうだ。一旦電子レンジを閉めて髪を再度かわかす。時計を見ると長い針が9を指していた。

 時間が経つことを恨めしく思いながら、炊飯器のご飯をいつもより多くつぐ。

 唐揚げとご飯と冷蔵庫から見つけた漬物をテーブルの上に置き椅子に腰掛ける。

 「いただきます」唐揚げを頬張る。「んぅっま」思わず口に出てしまい顔が綻ぶ。カリッカリの中にジューシーな肉汁、程よい塩味に肉汁が絡まり旨味が押し寄せくる。

 さっきまで冷たくなっていたものとは考えられないほどうまい。次はご飯にロックオンをする。

 この純粋無垢な白米達は知らないだろう。唐揚げの色に染まるということを、肉汁の雨が自分達にもたらす影響を。それは即ち白米の「進化!」。 

 勢いよく唐揚げを半分にし、ご飯の上に乗せて口に放り込む。「うまい!」心の中で声を張り上げる。すぐにご飯は無くなっていく。

 次第にお皿は空になっていくが、心は満たされていく。一通り食べ終わり一旦、心が落ち着く。

 心の中で考えていたことがバカらしくなり「フッ」と一人で笑ってしまった。

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