ラストに
あれから、ドラムもベースも一切触らずに高校生活を送ってきた。バンドメンバーにも特に関わらず、それぞれの進路も知らないほどだ。
今日の卒業式でも、目が合っても声もかけず、はたからみたら他人のようだ。
しかし、なぜか居心地の悪さは感じない。むしろ、無理して付き合っていた時より、心が通じ合っているような気がする。
式も終わり、教室でのセレモニーも終わった。クラスの女子は泣いていたが、三年生のクラスに特に思い入れはなく、それほど面白いものではなかった。
校舎の前に群がる人々をかき分け、早々に学校を出る。ふと、忠義という言葉が頭によぎり、校門に向かって一礼をする。
帰路とは全く違う方向に、足を運び道端の花屋に寄り道をする。菊と藍を買い、急ぎ足で花屋を立ち去る。
早く着きたい、という気持ちが強くなり早くない足を精一杯動かす。
息切れしながら、十段の石段を登りようやく青藍の眠る墓地についた。
青藍の墓地の前には、何故か人がいた。初めは、青藍の両親かと思ったが、どう見ても女子高校生三人だった。
「お、緑。やっぱりお前もきたか」
初めに私に気づき話しかけてきたのは、紫織だった。続いて友黄と赤華が私に気づき「久しぶり」と他愛のない挨拶をした。
「あのさ、来てたよね。青藍」
紫織はライブのことを言っているのだろう。
「そうだね」
感慨深そうに、友黄が答え無言でそれに同意する。
「じゃあ、もう行くから。また今度ね」
「えー。もう行くの?もうちょっといればいいのに」
「親が学校で待ってるんだよ。何も言わずに飛び出してきたからさ」
「何それー」
紫織は「じゃ」と手を上げ去って行った。もうこないだろう、また今度という言葉を残して。
「じゃあ私たちも帰ろっか。じゃあね緑」
「じゃあね」
友黄は「じゃあね」と言ったすぐ後ろを振り返って、石段に消えて行った。赤華は「じゃあーね」と言いながら何度も振り返って、大きく手を振っていた。
赤華も石段に消えたのを見て、青藍の墓地を見る。改めて手を合わせて「この一年間色々あったよ」と報告をする。
体育大会や文化祭、受験勉強に持久走大会。どれも青藍がいたら楽しかっただろうな。
「前を向いて、私の知っている緑は誰よりも頑張り屋だから。大好きだよ」どこからかそんな声が聞こえてきた。どこからかは分からなかったが、誰からかははっきりと分かった。
「ありがと!」思いっきり叫び、私も踵を返す。石段を降りきり、空を見上げる。
青々とした青が、私たちに勇気と希望を授けてくれた。
初めて小説を書き、分からないことだらけでした。これは所謂処女作となるわけですが、自分の中では至らないところばかりで、読み返すのも恥ずかしいほどです。
しかし、この小説を書いたことに、後悔はしていません。むしろ、この小説を書いてよかったとすら思っています。
これからも、小説を書いていきますので是非ご一読お願いします。




