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伝達
結局あの後もバンドのことを考えていて、一睡もできなかった。寝不足のまま学校に行くのは気が引けたけれど、紫織に返答をしなければいけない。
学校につくと、友黄と赤華が一緒にいた。友黄の機嫌が斜めらしく友黄がずっと愚痴を言っていた。
二人は、私に気づくことなく校舎に入っていった。少し安堵して、靴を履き替えていると結衣が校舎に入ってきた。
「おはよー。」
「おはよ。」
何気ない会話一つにしてもつい力が入ってしまう。昨日の夜から、今日返答をすることをずっと考えてきた。
今だって紫織のことを探し、どう話すかシュミレーションしている。
「おーい。聞いてる?」
不意に結衣から肩を叩かれ、思考が現実に戻る。聞いてる?と聞かれても、聞いていなかったので笑ってごまかす。
「もぉ、聞いてないじゃん。もういい!」
結衣は怒ったふりをして、教室に入っていった。結衣のことだから、こんなことで怒らない。一時すれば勝手に話しかけてくるだろう。
そんなことより紫織だ。今は頭の中がそのことで一杯になっている。
いつ、どこで、どういう風に伝えるか何も決まってない。
「放課後、教室来て」簡単にメッセージを伝えスマホを鞄の中に放り込む。
リミットを決めた方が良いと思ったが、考えがまとまらない時は逃げようとも思った。




