思い
公園から出た後はゆっくりゆっくり歩いて帰った。家に着いた時には、涙は止まっていた。
「またみんなでバンドやろ!」紫織から言われた言葉が反芻する。
「みんなでフェスに出てみたい」少なくとも青藍は、そう願っていたのだ。
赤華は、友黄は…多分私が戻ることも、フェスなんかに出ることも、望んでないだろう。
友黄は飾りでバンドしているだけだし、赤華は友黄を全面肯定するからだ。
しかも、友黄は私のことを嫌ってる。練習でミスをするたびに睨まれて、私生活でも萎縮してしまう。
しかし、紫織なんでバンドを組もうなんて言い出したのだろう。
止めると言い出した時にはそこまで強く止めなかったのに、今日は何がなんでもと言う気がした。
やっぱり、青藍死んでしまったことと、関係があるのだろうか。
考えてもわからない。しかもそれより大事なことを考えなければいけない。
紫織になんて返事をするのか。バンドに戻るのか、戻らないのか。どうすればいいかわからない。
「お姉ちゃん、入るよ。」
ガラガラとドアが開き、妹が入ってくる。
「これ、ありがと。」
そう言って貸していた小説を机の上に置く。
「ねぇ。ちょっといい?」
不意に自分の口から言葉が飛び出した。妹は黙って椅子に座り話の続きを待つ。
「ねぇ。バンド、辞めたの。でもまたやろうか迷ってて…」
「ふぅん。」
その一言を発したきり、何も言わずに私の顔を見つめている。五分ぐらい経っただろうか、フッと力を抜き妹が微笑んだ。
「何があったか知らないけれど、自分で決めた方がいいんじゃない?自分のことなんだし。でも一つアドバイスお姉ちゃんはもっと自己中になった方がいいよ。」
これで終わりというように、妹は部屋に帰っていった。結局は自己中になれ。ということなのか。むしろそこしか理解できなかった。
自己中にか。私は自己中だと思うがもっと自己中になればいいんだろうか。やっぱりよくわからない、アドバイスだ。




