急がば回れ
突き当たりを右に行くとフェンスで囲まれた公園がある。案の定緑はそこにいた。
「緑!」
「もうこないでよ!なんで私なの?ベーシストなんて他にいくらでもいるじゃん!」
「違う!緑じゃないとダメなの。私たちには緑しかいないの!」
泣きじゃくる緑に狼狽えながらも、しっかりと自分の意見を伝える。
「またみんなでバンドやろ!だって仲間じゃん。確かに、私はみんなのこと見下してたよ。一時期嫌いなこともあったけど、青藍が死んでから気付いたの!やっぱりみんなが好き。いやみんなとバンドしたい!」
言いたいことは全部言った。緑は相変わらず泣いている。
「おかしいでしょ!私に拘らないでよ!」
「嫌だ。緑じゃないと!緑だけじゃない。他のみんなも揃わないと私は嫌だよ!」
「なんで……」
「だって親友でしょ!」
袖で顔を覆ったまま緑は私の横を通り過ぎる。
「緑!」
振り返りながら呼びかけると、緑は立ち止まり
「考えさせて」
と一言だけ言い残して公園を出ていった。その一言は私を動けなくさせた。
ブランコに腰掛ける。小学生以来のブランコは案外小さかった。向かいの滑り台の天辺をただ見つめる。
さっきの「考えさせて」はどう言う意味だったのだろう。一旦家に帰り落ち着いて考えたいと言うことなのだろうか、それともこの場を離れるための、出まかせだったのだろうか。




