↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バンド  作者: こくぼなり
二章
PR
41/60

緊張

 放課後、気乗りしないまま喫茶店のドアを開ける。「どうぞ」マスターはコップを拭きながら、にこやかに奥に目を送る。

 紫織はアイスコーヒーをすすりながらスマホを見ていた。

 近づいていっても気づかない。勝手に椅子に座るとようやく顔を上げ「よう」と弱々しく言った。

「何?急いでるんだけど。」

 ぶっきらぼうに言い放ち嘘を付け加える。

「ご、ごめん。でもちょっと話したくて…」

 口をもごもごさせながら、ずっと俯いている。こんな紫織を見るのは初めてだ。

 この前言ったことを気にしているのだろうか、青藍の死がこうさせたのか知らないが、前者なら私が悪者みたいではないか。

「で、何?」

 苛立ちで言葉がきつくなってしまう。これでは、いつもと立場が逆転してしまっている。

「あの…言いにくいんだけど…バンドもう一回やらない?」

 ……。は?バンドをもう一回?私には無理だ。

「ごめん。もうベースないの。友達にあげちゃって…」

「そうなの?それなら私が買うから!お願い、また一緒にバンド組もう!」

 言葉を選びながらゆっくりと、だけど必死になって私に訴えかけてきた。視線に耐えきれない。そんなにまっすぐな目で、私を見ないでほしい。それにどう返答すればいいかもわからない。

「で、できるわけないじゃん…嫌だよ…もう嫌なんだよ。ミスって惨めな思いするのも、みんなにどう思われてるのか気にするのも、もう嫌なんだよ。そんなにベースが欲しいなら他のやつ探せよ!」

 泣きながら叫んでいた。もう、どうなこと言えばいいとか、どんな顔すればいいとか考えれなかった。

 紫織の顔が見れなくなり、思わず店を飛び出してしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。