蟻の思いも天に昇る
緑からバンドをやめると言われたから二日後、青藍が死んだ。
こうも不幸なことが立て続けに起こると、誰かから呪われているんじゃないかと思ってしまう。
いや、実際に呪われているのかもしれない。私の知らないところで私を呪いたいと思っている人は何人もいるだろう。
急にいつもの帰り道が怖くなる。もしかしたら、次の曲がり角で刺されてしまうかもしれない。そんなことはありえないと、頭を振っていたら不意に声をかけられた。
「紫織ちゃん。お久しぶりね」
「あっ、お久しぶりです。青藍ママさん」
「この間はわざわざありがとね」
お葬式のことだろうと「いえいえ」と普通に返事をしてしまったことを後悔する。その後に長い沈黙が続く。
「バンドの調子どう?」
話を変えてくれたことはありがたいが、生憎今の一番の悩みのタネの話題になってしまった。
「まあ、ぼちぼちです」
「そうなの、青藍もねいつかフェスに出てみたいって楽しそうに話していたの」
初耳だ。青藍がそんなことを考えていたなんて。
「本当ですか」
思わず口から出た言葉に青藍ママは動揺しながら
「うん。誰も言い出さないから無理だろうって言っていたけどね」
と付け加えた。
「そうですか。今度みんなにも話してみます」
「そうね、じゃあまた今度ね」
逃げるようにその場を去り、坂道を一気に登る。青藍はフェスに出たかったのか。急に青藍との思い出が蘇り懐かしくなる。
フェス出てみようかな。そう決心をしてメッセージアプリを開いた。




