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気づき
あのノートによく書いてあったことが気になった。「みんなでフェスに出てみたい」と。
青藍はそんなこと一言も口に出さなかった。いや、青藍だけではない、誰も言い出さなかった。
普通のバンドだったら、フェスに出たり、どこかしらのライブハウスで演奏したりするのだが、私達はそんなことは一回もしたことがない。
私が下手くそだからみんな気遣っているのかと思っていたけれど、青藍はそんな言い出せなかっただけなのだろう。
私もできるなら五人でフェスに出てみたかった。しかし、一番下手な自覚があったのでなかなか言い出せなかった。れに、もうバンドはやめたのだ。未練はない…。
「ピコン!」突然、初期設定の通知音が鳴った。誰かと思えば紫織からだ。
「調子どうだ?明日放課後話さない?」どういった意図できたメッセージかわからず、スマホを閉じてしまう。
「今更話すことなんてないでしょ?」戸惑って素っ気ない返信になってしまった。今の関係からしたら素っ気ないより、怒っているや避けているなどの言葉が適切か。
しかし、あんなメッセージを送ってくるとは、紫織も相当ショックを受けているのだろう。少し悪いことをした気になり「二人で喫茶店ならいいよ」とだけ返信をしてスマホをベッドの上に置いて横になった。




