未開
お葬式から数日後、気持ちの整理もつかないまま私はバスに乗っていた。
青藍のお母さんから「娘のことできて欲しい」との連絡があった。
親曰く、遺留品整理でもやっていて、思い出の品でも見つけたから呼び出したのだろうということだ。
確かに思いつく品は何個もある。一緒に買ったキーホールダーやぬいぐるみなどいろいろある。
三つ目のバス停で降りて何度か角を曲がり、アパートに着く。705号室のインターホンを押して、数十秒待つと青藍のお母さんがドアを開けた。
いつも若々しいお母さんというイメージがったけれど、今は髪もボサボサで、肌にハリもなくやつれている。
「あっ、こんにちは。…えっと…。」
「あぁ…緑ちゃんね。上がって。」
声まで聞いたらもはや別人なのではと疑いたくなる。やはり娘の死は、相当大きなショックなのだろう。
リバングと言うよりは居間と言った方がいいような、畳の部屋で待っているように言われ素直に従う。
隣の部屋から戻ってきた青藍のお母さんは、四冊のノートを持っていた。「緑ノート」そう書かれたノートは緑色だった。
「これね…、娘の部屋にあったの…。いつもの癖でね青藍起こそうとして部屋に入ったらね…」
泣き笑いなのか口角を上げて、虚ろな目をしていた。私に喋りかけているのに、私を見ていない。もしここに犯罪者がいても、この人は同じことをするだろう。
「見ていいですか?」
「どうぞ…でも青藍のこと嫌いにならないでね。」
どう言うことだろう。私はとりあえずノートを開いた。




