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バンド  作者: こくぼなり
一章
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30/60

旨い物は小人数

 ようやく山場の数学を乗り越え、ついにテストが終わった。途中で会った三人と「Palette」に向かう。

 四人でいても、主に話すのはいつも友黄だ。友黄は、あの洋服がどうだとか、クラスのあいつはうざいだとかいうことを際限なく喋り続けている。

 赤華は、「へぇー」や「えぇ!」など分かりやすく相槌を打ち、時々大きく首を縦に振ったりと、愛想よく話を聞いている。

 友黄に気に入られたいという思いが、目に見えてわかる。しかし、友黄にはその思いは届いてないようだ。

 青藍はというと、友黄に後ろから乗られているせいで、相槌を打つことも大きく首を縦に振ることも許されていない。

 しかし、こちらは大層友黄に好かれているので、別に媚を売る必要もないだろう。

 これは、クラスでもよくみる光景だ。友黄の周りに二、三人男子やら女子がいて媚を売り、友黄に気に入られた人はそのグループに加わる。一時すると、友黄に飽きられたのか、また元いたグループに戻っている。

 友黄に気に入られた人は、定期的に変わっていく。短い人は二週間くらいだが、長い人はずっとそのグループにいる。

 すず曰く、一緒にプリクラを撮ったら、友黄のグループにずっといる証らしい。

 この前の会話んも思い出していると、友黄が思いついたように、「今日一番ミス多かった人駄菓子屋で、アイス奢りね!」と高らかに宣言した。

 赤華は、嬉しそうに「いいね!」と賛同し、青藍は顔で反対したが上に頭がある友黄には見えず、賛成とみなされた。

「いいけど、緑入れないのかよ」

 私は精一杯の反対を申し出てみた。

「え〜、だって緑ちゃん入れちゃったら絶対緑ちゃんになるじゃん?可哀想じゃない?うちそうゆうのでいじめとか言われたら、いやだもん!」

 つまりは緑だけ省こうってことか。それもそれでいじめじゃないか。

 他に色々言いたいことがあったがぐっと飲み込み、賛成の意を告げる。

 友黄は基本的に自分の意見を曲げない。これ以上何かを言っても、無駄だろう。

「じゃあけって〜。みんなミスの数覚えといね〜」

 ミスの数を数えるなんて、めんどくさい。練習が終わったら適当に、五回とでも言えばいいか。

 緑に秘密ていうのがかわいそうだが、友黄が決めた以上いうわけにもいかない。意識してチラチラ見てしまうだろうが、それは許してもらおう。

 しかしその日の練習から、緑は「Palette」に姿を見せることはなかった。

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