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バンド  作者: こくぼなり
一章
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18/60

悪夢

 またあの夢だ。みんな楽しそうに歌っている。お客さんもノリノリで騒いでいる。

「お前なんていらないんだよ。」

 まただ、また私は罵倒される。低い男の人の声で、メンバーのみんなに、お客さんに。

「やっめーろ、やっめーろ、やっめーろ。」

 今日は、様々な罵声ではなくやめろコールだ。

「やっめーろ、やっめーろ、やっめーろ、やっめーろ。」

 耐えきれない、頭がくらくらする、力が入らない。

 立ってられなくなった私は、膝から崩れ落ちる。

「やっめーろ、やっめーろ、やっめーろ。」

 お客さんが見下ろしながらやめろコールを続ける。やめようかな…思えばバンドを続ける理由などないのだ。誰に強制されてやっているわけでもないのに。

 そうだ、やめよう。やめてしまおう!ここ最近調子が悪いのもバンドのせいだ。よし、やめる!

「やめる!バンドなんかやってられるか!」

 私が叫んだ時には、ライブハウスは空になっていた。誰もいないライブハウスでひたすら叫ぶ。

「やめる!やめる!バンドやめる!もう楽器なんか持たない!」

 夢中で叫んでいると、突然落ちた。何が起き…「ドスっ」目を開けると家の天井が目に入る。

「いったぁ。」どうやら寝ぼけてソファから落ちてしまったようだ。

 3時間くらい寝ていたようだ。もうすぐ妹が帰ってくる。洗い物も風呂掃除もしていない。

 妹が帰ってきたら文句を言われるだろう。それまでに終わらせなければ。

 久しぶりに清々しい気持ちになり、上機嫌で洗い物をする。

 明日は学校に行こう。そして「金輪際楽器は触らない、バンドはやめる」ということをみんなに伝えよう。

 みんなに伝えるのは、難易度が高いが今は私の意思の方が固い。

 よし、家事が終わったら明日の学校の準備をしよう。

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