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バンド  作者: こくぼなり
一章
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17/60

ぼぉーと

 暑苦しい太陽が昇っても、掃き出し窓の前でぼぉーとしていると家族が次々と起きてきた。

「なんか面白いものでもあんの?」

 とお父さんが、

「今日学校は?」

 とお母さんが、

「いってきます。」

 と妹が、

 色々と声をかけられるが、全部「あぁ」とか「うん」とかで返していくと、その後からは何も聞かれなくなった。

 家族全員が出て行った後もしばらくぼぉーとしていた。時々カラスが通り過ぎるぐらいしか変化はないが、不思議とずっと見ることができた。

 ふと時間が気になり、時計を見ると11時だった。「ぐぅ〜」盛大にお腹の音がなった。

 少し早いがお昼ご飯にしよう。今まで見ていた景色を、もう一度見直しため息をつく。

 なぜこの景色を何時間も見続けられたのだろうか。特に面白くもない、いつも見る景色なのに。

「ぐぅ〜」疑問は二度目のお腹の音にかき消されてしまった。とりあえずご飯食べよ。

 力なく立ち上がりのそのそと冷蔵庫の中を確認する。これといった料理はなかったが、納豆や梅干しなどのご飯のお供はたくさんあった。

 ご飯一杯とその倍以上のお供をテーブルに並べて、手を合わせる。

「いただきます!」

 誰もいないのでいつもより大きな声を出す。先陣を切るのは、おばあちゃんが作った梅干しだ。梅干しを一粒ご飯の上に乗せる。

 小粒の梅干しに下敷きになったご飯を、一気にすくい上げ口に入れる。「すっぱーい!」小粒の梅だけに、酸っぱさは大粒の二倍以上だ。

 さすが自家製。鋭い酸っぱさの後に、優しい甘みが口の中に漂う。美味しいけれど酸っぱい!

 噛めば噛むほど酸っぱさは和らいでいき、梅本来の美味しさが、顔を出してくる。

「うーん!うっまぁ〜!」

 梅干しは美味しいけれど、いつまでも梅干しばっかり食べていては食事が楽しくない。

 二陣は、そぼろだ。何日か前の三色丼の残りが、冷蔵庫に残っていた。

 そぼろをかばんの上にパラパラと振りかける。真っ白だった茶碗の上は、茶色に染まっていく。

 そして、茶色に染まった部分をすくい上げて食べる!食べる!食べる!「うんっま」

 思わず笑みがこぼれる。甘いひき肉が、口の中に均等に広がり口の中を美味いで包み込む。

「やっぱうまいわ〜」そぼろの破壊力は凄まじい。戦車などもろともしない。

 よし、次は…もうご飯がない。茶碗の中は空っぽだ。

 それにお腹もだいぶ膨れた。お昼ご飯はこのくらいにするか。

 残りの大将は夜ご飯に持ち越すとしよう。ご飯後の片付けをしていると急激に眠くなってくる。お昼寝でもしようか。自問自答してソファに横になる。

 まだ1時なのにまた寝るのか。そんなことを考えていたらも瞼が上がらなくなっていた。

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