第56話 【悲報】聖女がルシアンにちゅっちゅしてる間、教会のお偉いさんは自分の股間をまさぐっている模様
※視点が切り替わってますのでご注意ください。
「何と……? “100年処女”――ではなかった、“100年聖女”が役職を辞すると……?」
ポルカ=トラム聖教国の奥深く、密談のための一室。
そこには、聖女からの使いの知らせを受け、教皇や数人の枢機卿が集まっていた。
「そうだ。しかも話によると、原因は禁術師ルシアンと再会したかららしい」
「例の……忌々しい……!」
彼らにとって、禁術使いは忌むべき存在である。
教会が定めた“禁術指定”の規則を守らずに自分勝手に世界の秩序を乱す者たちだからだ。
しかし、今日彼らが腹を立てているのはそのことではなかった。
「……いつか必ず、この手で聖女を孕ませてやると誓っていた……それなのにあの糞魔術師がっ!」
教皇ミヤビエムが脂ぎった顔を真っ赤に染め、近くにあった椅子を蹴飛ばす。
しかしそれを咎めるものは誰もいなかった。
ここに集まる全員が、同じ志を持った者たちだからであった。
「私など……幼少期にケガの治療をして頂いたときから、あの清楚な顔を快楽で歪ませることを目標にこの地位まで上り詰めたのですぞ!?」
「我もだ! 何度ラビラビィに似ている娼婦を抱きに行ったか……!」
「……我こそ、奇跡の“100年処女”の最初の相手に相応しい存在だったはず……!」
1人が口火を切ると、堰を切ったようにそれぞれのエピソードを語り始める枢機卿たち。
しかし1人だけが、当たり前の疑問を口にした。
「しかしなぜ今頃……? 会おうと思えばいつでもその薄汚い魔術師に会えたのでは?」
教皇は、自らに報告に来た人物の言葉を思い返す。
しかしそれらしい言葉は見つからなかった。
「詳しくはわからん。しかし報告によれば……禁術で25歳の体になったということだ」
「不老不死に飽き足らず肉体の操作までですと!?」
「我々教会に対する侮辱では!」
新たな禁術の使用に、枢機卿たちがざわめきだした。
それを片手で制し、教皇が続ける。
「聞くところによると、『それまでの少女っぽさが、大人の色気を醸し出した』と……つまり、女としての“食べ頃”。禁術師め、余計な真似をしてくれたが、我らにとっては好都合よ。熟れ始めた果実を食らう愉悦、たまらんのう……ぐふふ」
遂には抑えられなくなった湿度の濃い笑い声を漏らしたが、誰もそれには気が付かなかった。
なぜなら、全員が同じ顔をしながら笑いを漏らしていたからだ。
「……ゲフン。とにもかくにも、聖女は教会の所有物であり道具に過ぎない。ルシアンなどという不浄な魔術師に汚されるなど万死に値する。しかし、我らは慈悲をもって、聖女を許そうではないか」
先ほどまでとはまるで正反対の言葉を言う教皇に、周囲の者は疑問符を浮かべる。
しかし決して『本当に許す』つもりがないことは、その怒りに染まった赤い顔が示していた。
「彼の禁術使いの目の前で、我々が再び身体を清めてやればいいのだ。聖女のいるべき場所はどこか、傅く相手は誰なのか教えてやればいい」
そう言いながら、その日を迎えることを抑えられないとでもいうように、自身の股間に触れる教皇ミヤビエム。
彼の赤ら顔は、怒りとは別の意味で上気し始めていた。
「おお……! それは名案ですな!」
「これぞまさに神の思し召し!」
「必ずや我々に、神のご慈悲がもたらされるでしょう!」
教皇の言葉に、全員が異口同音に賛成の意を唱える。
先ほどまでの怒りを忘れ、全員が情景を思い浮かべては顔をだらしのないものにしていた。
ここに集まった者全員が同じ思いだと再確認した教皇ミヤビエムは、さらなる燃料を投下した。
「先ほど、神託があったようです。『ルシアン・エヴァーハートを神敵と認定、討伐せよ』と」
「な、なんですと!? まさか!?」
「左様。つまり……神は、我々の味方だと言うことだ」
「おおっ!」
その言葉を聞いた枢機卿たちは、歓声を上げた。
薄汚い禁術魔法使いの汚れを落とすために、これ以上ないほどの建前を得られたからだ。
さらに何人かは、“神敵討伐の名目”で多少の犠牲――女性の行方不明者がでてもいいのではと考えていた。
「さらに、神は天使の軍勢を授けてくださった」
「て、天使ですと!?」
「そうだ。神と同じく、『神の権能』を行使する神の兵。彼らの力があれば……禁術魔法使いなど取るに足りぬ!」
教皇の言葉を合図としたかのように、1人の天使が暗い部屋に入ってきた。
「…………」
表情も、言葉もない。意思があるのかすら曖昧。
しかし造形は、まさに神が作ったかのように美しく整っており、金色の髪と目、そして背中に翼が生えていた。
「……う、美しい……」
「これが神が作り給うた天の御使い……じゅるり」
もはや美しければ、自分の股間が反応すれば……彼らにとっては、神の造物も人間の女も大差なかった。
「……彼らは我々の命令に従って働いてくれる。必ずや……憎きルシアンを捕えてくれるはずだ。その暁には――」
「…………」
静寂の中、誰もが次の言葉を、そしてその情景を思い描いて、唾を飲み込んだ。
「聖女の穢れを、我々で雪ぎ落してやろうではないか!」
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