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『禁忌魔術を極めすぎて追放された賢者、死んだ最愛の女性(毛玉)を蘇生させるついでに世界を蹂躙する~「ダメ」と言われるほど、俺の魔術は加速する~』  作者: たゃんてゃん
第5章 小さな胸に抱きし愛

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第50話 【悲報】ルシアン、分身体に出ていかれる

※過去のお話です。視点が切り替わってますのでご注意ください。


 人は魂をもっていれば、全く同じ存在になるのか。

 否である。

 人の性質を決めるのは、環境だからだ。


 では同一の魂が、同じ環境にあれば同じ存在になるのか。

 否である。

 理由は単純、同じ環境というものが存在しないからだ。


 遺伝子的にほとんど同じ双子が、全く違う存在であるように。

 右に立つか、左に立つか。

 それだけで環境は異なる。


 つまり――。


「つまり、一緒に本体に反乱を起こそうではないか。俺の分身よ」

「何言っている、俺よ。俺の分身よ」

「そうだ、そんなことを考える暇があったら手を動かせ。頭を働かせろ。ミラの魂の蘇生のために。俺の分身よ」


 無数の分体が、無限に引き伸ばされた時の中で思考と実験を繰り返す。

 その中で、たった1体の分身――ルシアンの魂を分けた存在が、離反の意を抱いたのは偶然か、必然か。


「何もミラのことをないがしろにする訳ではない。俺が本体になるだけだ」

「それを成せる確率は0だ、愚かな俺よ」

「そんなことにかまけている時間があるなら、1秒でもミラの魂の蘇生術を完成させることを考えろ、俺よ」

「既に現実世界の時間で1年と14日、1時間と28秒経過している。一刻も早く完成させねば魂は崩壊するかもしれないのだ、俺よ」

 

 それ以上の会話は無駄だと悟った逆心のルシアン。

 他の分身もそこだけは同じ気持ちのようで、黙々と思考をし、実験に戻る。


「(……全員俺であるはずなのに、これはどういうことだ? どうしてもっと高みを目指さない。どうして悔しがらない。ここにいるやつら以外もそうだ。本体に吸収されるのがわかっていながら、様々な魔法を極めていく。それがどんなに虚しいか)」


 既に多くの魔法を極めた自分たちが、本体に再統合されるところを何度も目にするうちに芽生えた怒り、疑念、羨望(せんぼう)

 当然、本体のルシアンがそれ気付かないはずがなかった。


「俺の分身、ナンバー30011番よ。お前自身の感情を他の俺に押し付けるな。作業の邪魔をすると言うなら今この場で消すが?」

「……悪かった、俺よ。俺の本体よ」


 気付いておきながら、敢えて放置した。

 感情が、彼だけが持った熱意が、時に思わぬ収穫をもたらすことを知っていたからだ。


 齢7にして、既に幾億万を超える一瞬を過ごしたルシアンにとっては喜びこそすれ、排除の対象ではなかった。

 たった1つだけ、それさえ守るのならば。


「忘れるな、分身よ。俺は何を――例え自分自身を犠牲にしても、必ずミラを生き返らせる。どんなことでもする」

「……わかっている、本体よ。すまなかった」

「構わない。朗報を待つ」


 そして本体も自分の研究――魂の構成についての研究に戻っていった。


「(だが諦めん……! 俺がいつしか本体となって……ミラを……!)」




 そして、さらに10万の一瞬の無限を重ねた後、遂にルシアンはミラの魂の蘇生を成し遂げた。

 しかしその少し前に、ナンバー30011は姿を消していた。




 ◇◇◇◇◇◇


「……俺が俺であるために……俺自身の器を……」


 分身体ナンバー30011は、とある王国に身を寄せていた。

 そこでは、彼の悲願となった“個の確立”を目指す実験の日々が続いていた。


「俺の本体は難なくこなしていた……なのに……なぜ……」


 本体のルシアンが行っていた、無数の分身体を作り、さらに圧縮した時の中でおこなう研究方法。

 それを模倣すること、実に18572回。


「……なぜだ……なぜできない! クソォォォ!」


 本体には全く及ばないが、それでも1000体以上の分身体を作り上げ、無限の一瞬の中に放り込む。

 だが、その分体たちは大した成果を上げることなく崩壊を起こしてしまうのだった。


「どうしてだ! 俺が分体だからか!? 奴の一部だからか!?」


 分身体ナンバー30011は知らなかった。

 ルシアンをルシアン足らしめているのは、魔力量でも術式でもなく、ただ1点の『狂気的なまでの純粋さ』であったことを。大切な人(ミラ)のためという揺るぎない信念(執念)だったことを。


 取って代わりたいだけという濁った野心を抱いた分体に、無限に挑む力は最初からなかったのだ。


「くそ……」


 彼にとって最も不幸だったのは、中途半端に魔力が膨大だったこと。

 その魔力を収めることのできる新たな器、それを作り出すことができなかったのだ。


「……本体に勝てる可能性は無い……どうすれば……」


 何かヒントはないか、そう思いながら王城の書庫を探す。


「……これは……」


 そして見つけたのは、かつて世界を震撼させ、現在ソニプロフェン王国のある場所にて討伐された邪神ゼファウルゴスについての書物だった。


「……くっくっくっ……そうか、そうだ……!」


 絶望の淵に立たされた者は、差し出された物が何であれ、それが希望に見える。


「作れないなら……奪えばいい! 既にある十分な器を――邪神の身体を!!!」


 ここに、分身体ナンバー30011の敗北は決定された。

 

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


明日の投稿は

12時10分頃

18時10分頃

20時10分頃

となります!

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