表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『禁忌魔術を極めすぎて追放された賢者、死んだ最愛の女性(毛玉)を蘇生させるついでに世界を蹂躙する~「ダメ」と言われるほど、俺の魔術は加速する~』  作者: たゃんてゃん
第5章 小さな胸に抱きし愛

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/82

第48話 緑の生命を、赤く染める聖女


 『王国の瘴気に対処するために、聖女が向かったけど……』

 

 リエラの話を聞いた俺たちは、王都にほど近い公爵領に来ていた。


「(話によると、例の聖女様と王妃様と……ドスケベビッチ王女がいるのよね)」

「(…………そうだな)」


 あの気だるげな王女、ミラの想像とは違いビッチではないのだが――などと言うほど、俺は空気が読めない訳ではない。


「んあ? ルシアンじゃん。おっひさー」


 噂をすれば、である。

 まあ彼女らが身を寄せる公爵邸に来ているのだから当然ではあるが。


「無事なようで何よりです、王女殿下」

「んもー何その口調、ウケるんですけど! あの時みたいにオラオラルシアンの方がいいなっ」


 その瞬間、周囲の空気が凍り付いた。

 整えられ、美しく色とりどりの生命の輝きを放っているはずの公爵邸の前庭。

 その全てが色を失う。


「(あの時ってどの時のことなのかしらね)」

「ルシアン様……? まさかとは思いますが……」

「おいルシアン……我と言うものがありながら、どういうことだ!?」

「結論:しけい」


 まるで『冷鉄』のような、冷たい視線のナイフが突き刺さる。

 本家の『冷鉄の美女』がここにいないだけ、まだ救われた。


「……それより、聖女様もいると聞いたのだが」

「ん」


 気だるげ王女の指の方を見ると、木の影からこちらを見ているピンク髪が見えた。

 こちらの視線に気が付くと、顔を引っ込めたが。


「(やれやれ、まだあの時のことを怒っているのか)」

「(あの時のことも相当ひどいと思うけど、そうじゃないと思う)」


 時々――最近特にミラが何を言っているのかわからないことがある。

 まさか俺の思考回路に問題が生じているのだろうか。

 早急にメンテナンスしなければ……。


「(問題が生じているとしたら、最初からだから安心して。仕方ないから私が呼んできてあげる)」


 肩から飛び降り、そのままピンク髪の聖女――ラビラビィの元へと向かうミラ。

 同じ禁忌の存在同士で相性がいいのかもしれない。


「…………」

「久しぶりだな、聖女様」

「…………」

「ラビラビィ?」


 おかしい、何も言わない。

 顔を真っ赤にして……それほどまでに怒っているのだろうか。


「思考の解析:……不能……まっしろ?」

「…………」

「感情の解析:嬉しさ50%、衝撃50%」

「…………」

「結論:わからない……」


 嬉しさ?

 てっきり、聖女の身体を禁忌そのもの――『不老不死』にしたことに怒り狂っているのかと思ったが。


「あー、ね。ラビちゃん、ルシアンに会いたくて会いたくて仕方なかったみたいだし」

「疑問:あいたかったから、あたまがまっしろ?」

「そーそー。ほら見てよ、あの木。へっこんでるっしょ? あれ、毎晩ルシアンの名前呼びながら殴ってて、そのあと抱きついてた木」


 訳が分からない……名前を呼びながら木を殴り続け、と言うことはやはり怒りでは……?


「……ラビラビィ?」

「――ッ!?」

「解析:『しゅきぃ♡』……こいつも“しゅき使い”……!」

「……あの、不老不死の件は――」

「解析:『本物のルシアンが喋ってるぅ♡ かっこよ~♡』」

「…………」

「解析:『黙ってるルシアンも素敵ぃ♡ 早くおセッセしたいっちゃ♡』」


 検索:対処方法。

 回答:対処不能。


「……えと、聖女様、でよろしいんですよね?」

「……はっ!? はい、分不相応(ぶんふそうおう)ながら私は聖女と呼ばれています」


 こんなときは切り込み隊長、アイリスである。

 アイリスの言葉に、ラビラビィからようやくまともな反応が返ってきた。


「過去に……ルシアン様と何があったんですか?」

「え、ええっと……仰る意味がよくわかりませんが……」

「何が、あったんですか?」

「ひぃっ!?」


 どうやら俺の考え違いだったらしい。

 アイリスはこの場をどうにかしたいとかではなく、単純にラビラビィに過去の関係を詰め寄っただけだった。


 だがしかし、ラビラビィとは本当に何もやましいことはないのだ。


「アイリスよ、俺から話そう。実は過去に色々あって、彼女を『不老不死』にしたのだ」

「不老不死!? 禁忌中の禁忌じゃないですか!?」

「お前らもだぞ」

「……え?」


 なぜ俺が、俺のものを手放すと思っているのか。

 未来永劫俺のものに決まっているのに。


 今も尚『え?』と言っているアイリスは置いといて、状況を確認しよう。


「世界中に広い影響力を持ち、倫理面で様々な魔法を禁忌扱いしてきたポルカ=トラム聖教国、その聖女ラビラビィ。かつてあまりにも『ダメ』『ダメ』うるさかったから、聖女を禁忌の存在そのものにしてやったのだ」

「ええ……」


 そこで聖女がようやく、俺に対して口を開いた。


「そうだ! そして……てめぇのせいで100年以上も聖女やるはめになってんだよ! 責任取れオラァッ!」

「だから、責任取ってやると言っている」

「優しくしてっちゃ♡」

「(落差がひどい。情緒不安定すぎる……)」


 聖女――珍しい聖なる波動の使い手である女性が教会に選ばれる。

 彼女の能力はまあまあ高かったからぞのままずるずると続けていた訳だ。


 俺のせいではない気もするが、責任取って『不老不死』を解除してやろう。


「(待った待った。ラビィちゃんの責任取れって、そういうことじゃないから)」

「(む?)」

「(何がどう転んでそうなった訳かわからないけど、ルシアンに惚れてるだけだから!)」

「(そんなバカな……)」


 そんなことある訳がないだろうに。


「(試しに(あご)をクイッと持ち上げて『100年前から――いや神がこの世界を作った時から、お前は俺のものだ』って言ってみ?)」

「(はぁ?)」


 なぜそんなバカみたいなことを……。

 とは思うものの、どこか楽しそうに頬を叩く耳が鬱陶(うっとう)しいので言うとおりにしてみる。


「100年前から――いや神がこの世界を作った時から、お前は俺のものだ。例え神がお前を奪おうと言うなら、俺はそれに抗おう」

「(何で足した!?)」


 なんとなく。


「ぼひゅっ!?」

「解析:興奮度100%――200、300……まだあがっている……!?」


 緑の芝生を真っ赤に染める、致死量を優に超えていそうな鼻血を垂らし、聖女は気を失った。

  

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


次話の投稿は

18時10分頃

20時10分頃

となります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ