第1話 王女と王妃のダブルブッキングで追放されたが、その代償に誰も気が付かない
新作の投稿です!
今作は『ざまぁ』『無双』『ヒロインへの愛』がコンセプトの禁術魔法ファンタジーです!
本日中にキリのいい、第1章の終わりまで投稿しますので、ぜひぜひご覧になっていただけると幸いです!
※『俺を追放したパーティメンバーの聖女に“禁術魔法・不老不死”を使ったら、性格崩壊させて絶叫された件』の連載版です。
※『“禁術魔法・概念変換”で古代竜の存在をゴブリンにしたら、恐怖したギルドに新ランク『X』を作られた件』の連載版です。
「貴様っ! 王女に手を出そうとしただけでなく……あろうことか我が妻――王妃にまで手を出しただと!?」
俺――ルシアンはソニプロフェン王国の城、その謁見の間で膝をつかされていた。
「いえ、王妃殿下に手を出したのは私ではありません」
「お前の分体だろうが!」
そう、俺は先日とある窮地に立たされた。
それは――王女と王妃とのデートのダブルブッキングだ。
その窮地を脱するために、俺の体を模した人体を作成し、俺の魂を分け与えた分体で対処しようとしたのだ。
分体の知能を俺の70%程度に抑えてしまったがために、あろうことか王様の前で見せつけックスに及ぼうとしたらしい。
そら怒られるわ。
残りの30%に理性が詰まってたんだな……。
「(たった70%で、あなたの下半身の暴走を止められる思ったの? バカみたい!)」
「(……怒ってるのか?)」
「(残り30%の頭で考えてみたら! フンだっ!)」
念話でひどい言葉を吐きながら、背中の羽で顔をペシペシ叩く白いモフモフは、ミラ。
俺の作ったホムンクルスであり……いや、今はいいか。
今はこのめんどくさい状況をどうするかだ。
「(ちょっと! もう少し顔に覇気を込めなさいよ! ただでさえ眠そうな顔って影口叩かれてるんだから!)」
「(……こんな状況、気も入らん。魔術の研究をしていた方がよっぽど有意義だ)」
俺は少しボサボサのアッシュグレーの髪を掻きながら、分体が王妃と至った行動に思いを馳せる。
正直羨ましい――けしからん。
「そもそも人体の創造は神に定められし禁忌であるぞ! そうだな、宮廷魔導士長ザイモスよ!」
「左様でございます。加えて、奴の研究室からは『死者の蘇生』や『肉体の合成』などと言った禁術に関する資料も出てきております」
「なっ!? 何だと!? ルシアン貴様……!」
ザイモスの奴、人の研究室を勝手に漁ったらしい。
まあ奴程度の実力では本当の研究資料の隠し場所は見つからないだろうが。
それでも不快なのには変わりない。
「死者の蘇生まで……? あいつ、何考えてんだ?」
「人体の合成とか……頭狂ってんじゃねえのか?」
「わざわざ“禁忌魔法”の研究とか……才能の無駄遣いだろ」
「だな。おとなしく他の魔法でも研究してりゃいいのに」
王とザイモスの話を聞いた周囲の同僚――宮廷魔術師の連中がここぞとばかりにコソコソ言い始める。
コソコソといっても、俺にバッチリ聞こえるようにだが。
「(ダメと言われたらやりたくなっちゃう、でしょ?)」
「(その通りだ。さすがよくわかってるなミラ)」
「(当り前じゃない! 何年一緒にいると思ってるのよ!)」
こいつらには考えも及ばないのだろう。
なぜ禁忌と言われるのか。その先に何が待っているのか。
真の探求心の前では、“禁忌”などスパイスでしかないではないか。
「……貴様は追放だ……!」
「ん?」
「貴様を――ルシアン・エヴァーハートを我が宮廷魔導士としての地位をはく奪、国外追放処分とする! 全ての研究資料及び魔法技術を廃棄ののち出ていけ!」
おやおやおや。
これは予想通りの展開。
王女様の件はきっかけに過ぎず、ザイモスがいる時点で大方追放は決定事項だったのだろう。
「資料を廃棄してもいいんですか? 魔法技術も?」
「当たり前だ! どこで“禁術”が盛り込まれているか! このことが洩れれば我が国とてただじゃすまないんだぞ!」
「ほーん……」
いいのだろうか。
俺の魔法技術を破棄ということは……この国を蝕んでいる瘴気も野放しになってしまうが。
「貴様如きの魔法など不要! さっさと出ていけ!」
「……りょーかい」
ならいいか。ザイモスが何とかしてくれるらしい。
もう俺には関係ないようだし、別にいいか。
「それじゃ、早速――」
指先でをパチンと弾き、この国全体を覆っていた魔法を始め、裏で起動していた全ての魔法が解除する。
ついでに奴が見つけた資料と、見つけられなかった資料も全て消失させておこう。
「……何だ今のは?」
「何って……いろんな魔法を解除したのと、研究資料諸々が消失させただけだ」
「何をバカな……そんなことできる訳がないだろう!」
「嘘だと思うなら、俺の研究室に言ってみるがいい。何も残っていないだろうがな」
ザイモスに合わせ、周囲の魔導士からも嘲笑が聞こえてくる。
笑いたいのはこちらだ。この程度の魔法の存在すら理解できないらしい。
「(ねえ、早速瘴気の気配かんじるんだけど……)」
「(だな。魔界との境界があやふやになった証拠だ。まあ……しばらくは大丈夫だろ)」
俺だけでなくミラにも感じられるほどの異変。
しかしザイモス始め他の魔導士は全く気が付いていないらしい。
何事もなく先ほどからの会話を続けた。
「まあいいだろう。貴様自身に処分させるより我々が処分した方が確実だろうからな。お前の仕事は我々が完璧に引き継いでやる。貴様のようなゴミ魔法は不要だと思い知れ!」
勝ち誇ったようにニヤニヤしているザイモス。
再び会った時に瘴気に侵されて魔人化してないといいが……。
そうだせっかくなら、彼に1つ宿題を残しておいてやろうか。
「最後に、姫様に会わせていただけないだろうか」
「いい訳ないだろうが! さっさと出ていけ!」
そして遂に兵士に連行される俺。
王城を出てしばらく進み、そのまま城壁の外に押し出される。
「ふん。これに懲りたら……2度と禁忌魔法など使わぬことだな」
「そんなにダメだと言われると試したくなる。お前も、魔術師ならそうだろう?」
「……最後まで憎たらしい奴め! さっさと消えろ!」
「キュゥゥッ!」
見送りにまで来てくれたザイモスに、ミラが威嚇する……まあ放っておこう。
今のうちに、姫様にプレゼントでも。
『魂感知』で姫様を探して……『位相転移』でこの俺特性の加護が込められたネックレスを贈ってあげよう。
ザイモスや他のみんなは気が付くことができるかな?
この加護も一応禁忌指定だったはずだし。肉体が破壊されたときに、魂だけ分離させて保存させる魔法。
さて、気を取り直して……新たな出発だ。
「(ねぇねぇ! 今お姫様に何か送った!? 全然凝りてないじゃない!)」
「ははは!」
「(笑ってごまかさないで! ほんと……私というものがありながら!)」
「そう言うなって、これで晴れて自由の身だ。これからはお前のために魔石を集めて……お前を早く元の姿にしてやれる」
「(……ばかぁ)」
そう言いながらも、俺の頬に甘えるようにすり寄ってくるミラ。
耳に巻いている黒いリボンがくすぐったい。
彼女は、元は人間だ。
今は白い毛玉に、うさぎみたいな耳と小さな羽も生えてる手のひらサイズのマスコットだが。
俺の人生の9割は、彼女の蘇生に注ぎ込んできた。
「――さて。禁止されればされるほど、魔法は輝く。行こうミラ、禁忌のその先へ。まずは、お前の人化に必要な『極上ランクの魔石』を拝みに行こうか」
「(うん! 期待してるわよ、私の天才魔術師様!)」」
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