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アーク01、咲ける場所を探しに行こう。〜異世界召喚先はステータスが全ての婚活会場!?〜  作者: ニャルC


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第6話バラとサボテン

ソフィアは左腕のブレードを総書記の投影へ向けた。

「多様性のないシステムは、環境の激変で全滅する。それが『進化論』の教えだ。

今はバラが咲き誇るこの温室も、一度外壁が壊れて砂漠になれば全滅だ。

その時、最後に生き残るのは……バラの赤い貴族じゃない。

刺を持って耐えてきた、我々サボテンだ」


「……」


「『アーロン収容所』にもあったよ。

優秀さとは、絶対的なものじゃない。環境が決めるものだ。

アークの中でドアマット扱いされているボクらが、

外の世界では最も『優秀なパーツ』かもしれないんだよ」


 総書記の演算処理が加速し、空間のノイズが走る。

ソフィアはその隙を逃さず、Win-Winの取引を持ちかけた。

交渉ディールだ。アークのリソースは有限だろう?

従順な赤い貴族に割いた方が、アンタの管理コストは下がるはずだ。

反抗的なサボテンにエネルギーを浪費するのは、最悪の『コスパ』じゃないか?」

 ソフィアは人質を突き出し、要求を突きつける。

「手切れ金だ。博物館にある『本物の武器』と『防具』、そして残りの禁書をすべて渡せ。

……自立する子供への餞別だと思えよ。

展示品の管理コストも浮く、悪い話じゃないだろ?」


 沈黙の後、総書記のホログラムが微かに揺れた。

「……理解しました。同志ソフィア。

あなたの存在を排除するより、外部の不確定要素として放出するほうが、

人類全体の『生存確率の分散』に寄与すると判断します」


 玉座の背後の壁が開き、厳重に保管されていたサムライソードと、特殊繊維の防具、

そしてカビ臭い古書たちが運ばれてくる。

「あばよ、マザー。……ボクが咲ける場所ニッチを、この足で探しに行くよ」


 重厚な、あまりに重厚なアークの外壁が、地響きを立てて開いていく。

 背後には、偽りの安寧に浸る「中世ヨーロッパ」の箱庭。

前方に広がるのは、人類が数世紀前に手放した、剥き出しの「地球」だった。

 吹き込んできたのは、無菌室のようなアークの風ではない。

土の匂い、獣の熱気、そして強烈な生命の咆哮が混じり合った、暴力的なまでに瑞々しい風だ。


 壁の向こうに広がっていたのは、かつての図鑑には存在しない、異形の楽園だった。

 空を覆うのは、翼を巨大な帆のように進化させた鳥類か。

遠くの地平線では、外殻を持つ多脚の哺乳類が、闊歩している。

それはまさに、人類亡き後に生命が独自に最適化を遂げた『アフターマン』

あるいは『フューチャー・イズ・ワイルド』を具現化したような、美しくも残酷な新世界。


「……ひっ」

 エレンやレジスタンスたちが、その圧倒的な異世界の様子に、思わず足を止める。

「これが、外の世界……。私たちは、ここで生きていけるの?」


 ソフィアは、手に入れた本物のサムライソードの柄を確かめるように握り直すと、

首から下げた双眼鏡を覗き込んだ。

 彼女の義眼は、巨大な捕食者の動線、植物の群生パターン、そしてその間隙にある

「生存可能な空白ニッチ」を、瞬時にスキャンしていく。


「怯える必要なんてないさ。アークのバラには無理でも、

ボクらサボテンにはお誂え向きの環境だ」


 ソフィアは双眼鏡を外し、まだ見ぬ地平線に向かって不敵に笑った。

 その瞳には、恐怖ではなく、かつてシン新宿で生き抜いてきた「ストリートサムライ」の、猛々しいまでの好奇心が宿っている。


「行こうか。……ここから先は、誰にも邪魔されない、ボクたちのニッチを探す旅だ」


後書き

ステータスオープンって、究極のマウント合戦になるのでは?というところから発想しました。

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