第八十三話 交錯
部屋に電球が付き、オリバー班の作戦会議室に明かりが灯る。
そこには倒れたオリバーと、血みどろになった部屋が現れた。
アロンは姿を消し、軍部の地下は騒然としていた。
「俺一人でもあいつを追いかける!」
ロータスが部屋を出ようとするが、ロランがその手を掴んだ。
「無駄です!暗視ゴーグル無しで探そうとしたって、こんな夜中に見つかるわけがありません」
ロランは動揺しながらも、的確に状況を整理する。
「ちゃんと装備を整えてから行きましょう」
二人が悲しみに暮れているところへ、カトレアとルーシーが駆けつける。
「どうされたんですの!?」
カトレアが驚き、ルーシーはすぐさまオリバーの脈を測った。
ルーシーが渋い顔をして言う。
「――スパイ……ね」
♢
ロランはキリ班の作戦会議室で全ての状況を説明し、ロータスは早くも装備を整え始めた。
「博識者って呼ばれてるのね……」
話を聞いたルーシーは何かを知っているのか、腕を組んで考え事を始めた。
カトレアはどうすればよいかと戸惑っている。
「どうしましょう。しかし、ローちゃん一人では絶対に言ってはダメだと思います」
カトレアがそう言うが、ロータスはそれを無視して装備を進める。
腰にベルトを巻き、短めのジャケットを着て、その背中に大斧を背負う。
「やられっぱなしで、黙っちゃいられねェよ」
ロータスが部屋から出て行こうとした時、ルーシーが止めた。
「待って。私なら追えるかもしれないわ。流石にエマだけでなくクリスのことまでもバレてしまうのはまずい」
ロータスがドアを開けようとした手を止める。
ルーシーが続けた。
「私は今の彼の位置が大まかに分かるわ。彼の武器はうちの工房で作ったもの。クロノス教にはアーティファクトを作る技術が無いけど、私が監修さえすれば作れなくもない」
「監修……?ルーシーさんが?」
「悪いけど、私が作った武器には全てGPSが仕込んであるの。君達にはわからないでしょうけど、これはすごい技術なのよ」
ロランがいつもと雰囲気の違うルーシーに戸惑いながらも、手を挙げてルーシーに質問する。
「じゃぁ、ずっと監視されてるってことですか?何のために」
ルーシーは苦笑いして答えた。
「ごめんなさい、それは教えられないわ。私にも……私の仕事があるの」
それを聞いたロランはしょぼんとした顔をする。
「ま、取り敢えず場所さえわかれば追えるでしょう?フジ、キリのいない今、私が無線機でオペレートするから、ロラン君とロータス君が追うの。カトレアちゃんはルピナ君を外に出してあげて」
そこで四人は分かれ、それぞれの仕事を始めた。
ルーシーは自分の部屋へ戻り、ボロボロになったパソコンを起動してGPSを追う。
ロータスとロランは全力の装備を身に着け、アロンとの戦闘に備える。
カトレアは急いで本部へと走っていった。
途中、無線機にルーシーからの通信が入る。
「多分、ルピナ君もアロンを追おうと言うはずよ。その時は、私以外に唯一GPSの使い方がわかるであろう子がいて、その子を軍部の私の部屋に呼んでほしいの」
「本部の人ですね……?」
「そう。私はロラン君達と通信するだけで手いっぱいだから。その子は本部の最奥部にいるんだけど、彼女の名前は――」
その情報を聞き、すぐさま先に本部へと通信するカトレア。
無線が本部へと繋がると、すぐにその名前を言った。
「エマさんはいらっしゃいますか?ルーシー副長の命により、緊急で軍部へ来てほしいのですが」
すると相手が答える。
「エマですか?丁度拙者の部屋に戻ってきました。だいぶん落ち込んでいるようですけど、これでいいならお貸し致しますよー」




