番外編➃ シトラスとアレックス / 柴犬
シトラスとアレックスはクロノス教軍部諜報、情報戦略班の団員である。
今回のロラン獣化、そしてカシム一派の拠点発見により、新たな情報を探る為召集された。
普段、自身の能力を他者に明かすことは無い。
しかし、今回の一派掃討作戦において、潜入捜査帰りの二人が戦闘能力の高さから前線戦力として抜擢された。
♢
「シトラスぅー、これ、なんて書いてあんの?」
アレックスがシトラスに向かって紙を見せる。
「これは……ラテン系の言語ですかね。はるか昔使われていた言語ですが、詳しい種類は分からないです」
元々アロンの部屋だった場所に入り、情報となるものがないか調べる二人。
机には未知の言語で書かれた本や、暗号の書かれた紙が乱雑に積まれていた。
「なんかエマとかいう人が読めるんじゃなかったっけ」
「分かんないです」
「まぁ、いっか。どうせアジトにもっとあるっしょ」
アレックスは引き出しの中から一冊の本を持ち出す。
そこには拙い文字で、様々なレシピが書かれていた。
「――オリバーの好きな料理……ルピナが嫌ってそうな食材……すべてメモってたのか?コイツ」
「へぇ……裏切り者がしそうにない事ですけど、それも馴染むための作戦なんですかねぇ」
「……。作戦だったら、見習わないといけないね」
アレックスはそれをバッグの中に入れると、次はクローゼットの中を調べ始めた。
シトラスは溜息をつきながら眼鏡を拭き、一度椅子に座る。
「最近歯が痛いんスよね。アレックスは体痛いとかないんスか」
「うーん。ないね。歯医者いったら?」
「や、歯磨いてんだけどなァ……」
「まぁ、念のため行っときなよ。後で後悔するぞ」
「確かに」
「行く気になった?」
「おう。行くわ。行きますわ」
「よし、偉いぞ。シトラス」
「全身脱毛……行くか」
「――歯医者行けよ!!」
♢
キッドはクロノス教団の一員ではない。
ライ率いる革命軍に拾われた。
その為、クリス、ロランと出会うより前に、アダムと出会っている。
丁度二年ほど前、革命軍からはぐれ、奴隷商に掴まった。
そして逃げる途中でクリス達と会った、というわけだ。
彼はシバイヌの獣人である。
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柴犬の獣人が持つ能力
➀ 完全獣化―小型化した柴犬本来の姿になれる。これにより、狭い場所の探索が可能。
➁ 拒否柴 ―その場から動かなくなる。無理やり動かすのは難しい。
➂ 飛行機耳―かつてその愛嬌に口角を緩ませなかったものは一人もいない。
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「どうも。キッドです。基本は裏方ですけど、これからよろしくね」




