第26話 恋も愛も命がけ
その日の夜のご奉仕は、今までで一番燃えたかも知れない。
奴隷の役目ではなく、俺の意思でご主人様、いやアンナ・ハーリンさんを喜ばせているのだから。
そして、アンナ・ハーリンさんが起きないように、出来る限り部屋とベッドと綺麗にして、ペチタ先生の元へ訓練に出かけた。
朝靄の中、訓練がてら冒険者ギルドの修練場まで走る。
多少は体力も付いてきた気がする。
昨日の今日なので、ミニチュア・モンスター・メーカーでスライムを創り出し、衣服の中の背中に張り付かせていた。
「おい!」
突然の声に、ビクンッ!? と全身が硬直する。
しかし、その声は声変わり前の子供の声、少しほっとしながらも警戒は怠らない。
だって、ロジーナ級の戦士かも知れないのだから。
「な、何?」
「お前、アンナ・ハーリンのところの性奴隷だろ?」
「う、うん……。君は?」
ノディールと同じような背格好の少年だ。
しかし、威圧が凄いな……。
「俺のことはどうでも良い。いや、俺の名はホーク。ノディールの彼氏だ」
「えっ!? そ、そうなの?」
「ちっ、知らねーのかよ」
「そ、それで? 俺に何か用なの?」
「あぁ、お前はノディールの何なんだよ?」
「何って、同じ冒険者パーティーの仲間だけど」
「だったら、そのパーティー解散しろ」
「はっ? 意味が……」
目の前が真っ白になった。
気が付くと、俺はホークに殴り倒されていた。
「返事は”はい”だ。わかったか?」
「ふざけんな!!」
ポキ、俺の指がホークによって折られた。
「ぎゃぁぁぁぁっっ!!」
「解散するというまで、指を順番に折っていくぞ」
ポキ、二本目の指が折られた。
俺は痛みよりも恐怖で気が狂いそうになり、必死に暴れたが……ホークは俺の足の骨を折り、「暴れると殺す」と耳元で言った。
俺はガタガタと全身を震わせながらも、コクンコクンと頷いた。
「よし、三本目だ。あ、足はカウントなしだぜ? さぁ、解散するって言えよ!!」
結局、解散すると言わなければ殺されるのだろう。
だけど言えない!!!
命よりも大切なものって、あるんだな。
そう思うと不思議と怖さが消えていく。
もう指は何本折られたんだろう?
そろそろ、反撃しても良いですか?
反撃したら激高して殺されるかも知れない。
だから、一撃で、一撃で、殺さないと。
うん、ロジーナ、お前は正しいよ。
生きて帰れたら、ちゃんと謝りたいな。
しかし、いつまでも痛みが来ない。
もしかしたら、俺は殺されているのかもと、目を恐る恐る開けてみた。
そこには引き千切ったとしか思えない切り口のホークの胴体が横たわっていた。
何を引き千切ったかって?
そりゃ……。
ゴロンと、ホークの頭部が転がる。
その横には別人の見慣れた足があり、見上げると俺を哀れんだような顔で見下ろすペチタさんの顔があった。




