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性奴隷がゆく  作者: きっと小春
プロローグ
24/153

第24話 残酷な世界を知った今

 あの後のことは、余り覚えていなかった。

 ただ僅かに覚えていることと言えば……。


 戦いの興奮が冷めた頃、俺より小さな可愛い獣人の二人が、人を殺めたという現実を……受け入れるかどうか、どう受け入れればいいか、何が正しいのか、もう理解らなかった。


「何故、駄目? 人族は両親殺した。両親何も悪く無い。両親が生きていれば盗賊にならなかった」


 いつも言葉足らずのロジーナが、頑張って自分の思いを口にした。

 これだけ聞けば、どれほど辛い過去なのか、悪いがよくあるパターン過ぎて想像も簡単に出来る。


「魔物も人族も敵は殺すにゃ。殺さないと自分たちが死ぬだけにゃ? ケージは、前に殺されそうになったはずにゃ? お前は聖女様かにゃ?」


 魔物を殺すことに躊躇しなかった時点で理解すべきだった。

 ここは異世界、日本とは価値観が異なること、悪の前には言葉など通じないということ、本当の意味で命は平等だということを。


 そして、ベッドの縁に、ソフィアさんと一緒に座っていた。


「私も……食べるために鳥を殺し、お金を稼ぐために魔物を殺し、身を守るために人を殺したことがあります。私も大概ですが、ケージくんは、以上に潔癖なのかも知れませんね。でも今回はロジーナとノディールが正しいです。気持ちに整理を付けて、きちんと謝ってあげてください」

「は、はい……。もう少し考えさせてください」

「うん。でも、そんな顔しないで……」


 ソフィアさんは、俺の手を取って自分の胸に押し当てた。


「お風呂、覗いていたんでしょ?」

「……」


 ぎゅっと抱きしめられ豊満な胸に顔が埋まる。


「気付かれちゃったね。でもケージくんはアンナ・ハーリンさんの性奴隷。運命って残酷ね。辛いけど、もうしばらくは、ここにいるわ。エデン、ネム、アンの三人がもう少し成長するまではね。ケージくんが見せてくれる一つ一つの物語が、私に生きる意味と答えを与えてくれるの。だから、お礼じゃないけど、貴方のためなら何でもするわ。忘れないで……」

「ソ、ソフィアさん? 俺は……特別でも何でもないよ?」


 ソフィアさんの胸に埋もれたまま、期待に答えられないと思って、保身のためにそんな事を聞いてしまった。


「ふふっ。特別かどうか、それを決めるのは誰でもないわ、私よ」


 ガチャ。


「ケージ入るにゃ……」


 バカ猫、入ってから聞くな!! 聞いてから入れ。そして返事を待て!!


「ノディールちゃん、後は任せたわ。ノディールちゃんも大変だと思うけど、ケージくんを励ましてあげてね。それがロジーナちゃんのためだから」

「わ、わ、わ、わかったにゃ……」


 ソフィアさんの代わりに隣にノディールが座る。

 ノディールはバカ猫のくせに、何かを悩むように、もじもじとしている。


「ノディール、ごめんな。俺が間違ってた」

「ふっ。当たり前にゃ、と言いたいけどにゃ……。私も殺すつもりはなかったにゃ。生きたまま冒険者ギルドに連れて行くつもりだったにゃ」

「あれでか? 地面に頭埋まってたぞ?」

「あれくらいで死なないにゃ。ケージが弱すぎるにゃ」


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