過去の出来事✦一勇《中編》
第一王子は自分の能力に対し悲観的だったがセアネローズに助言をもらい……。
「幸せな悩み? そうなのか……お前からは、そうみえるんだな。オレにとっては苦痛でしかねえ」
つらい表情を浮かべ第一王子は頭を抱えた。
「なぜ悩む?」
「オレは誰一人として傷つけたくねえからだ」
「ほお……竜人がなぁ。もっと冷酷な種族だと思っていたが」
そう言い人間の女は笑みを浮かべる。
「そんなに変か? 父上やみんなも、オレが優し過ぎると」
「そう言われたか。でも、それはそれで長所だと思うが。強くて優しく尚且つ相手の強さが分かるのであれば手加減を容易にできる」
「何が言いたい? 手加減したところで相手との蟠りが残ると思うぞ」
それを聞き人間の女は首を横に振った。
「手加減と言っても分かるようにしなければいい」
「言っている意味が分からねえ」
「手加減というから悪いのだな。相手の能力に合わせ力を抑えて戦えばいいという事だ」
顎に手をあて唇を触りながら第一王子は考える。
「そんなことができるのか?」
「真の強者で尚且つ相手の能力が分かるのであれば容易いはずだ。それとも、お前は臆病者なのか?」
「今なんて言った!? オレが臆病? あー分かったよ。お前の言っていることが本当かどうか試してみればいいんだろ!」
臆病と言われたことが余程嫌だったのだろう第一王子の顔は真っ赤になり努筋を浮かび上がらせていた。
「流石に怒ったようだな。まあ、ここで納得するようでは見込みなんてない。そうだな……お前が試して納得したら、またここにこい」
「こいって、どういうことだ?」
「たいした意味はない。まあ……その時、私がまだここにいれば……また話し相手になってやるってことだけだ」
意味が良く分からず第一王子は怪訝な表情で首を傾げる。
「そうか……そうだな。ここにくる理由になる。そういえば名前、聞いてなかった。オレは――――」
「先に名乗るのが礼儀だったな。私はセアネローズ・フェイテア」
「セアネローズか……綺麗な名前だ」
それを聞きセアネローズは優しく微笑んだ。
第一王子はその笑顔をみて顔を赤らめる。
その後、第一王子は牢を出ていった。
行ったことを確認したセアネローズは再び瞼を閉じ瞑想を始める。
✦*✦*✦
部屋に戻った第一王子はセアネローズに言われたことを遂行するためにどうしたらいいのか考えた。
考えた結果、格闘技大会をやればいいと思い父親である王の下へと向かう。
王に自分の意思を伝えて、その助言をしてくれた者のことを話した。
それを聞いた王は牢に赴いたことに対し第一王子を咎める。しかしセアネローズの助言が間違っていないと思った。
それと第一王子がやる気をおこしてくれたことに喜び格闘技大会をすることを承諾する。
その時、第一王子は対戦する相手を殺さずに瀕死状態で勝てたならセアネローズを釈放して欲しいと進言した。それと一緒に旅に出る許可を願いでる。
それを聞いた王は一瞬ためらったが自分の生きている間のみ修行という事で許可を出した。
その後、格闘技大会の準備が行われる。
……――そして一週間後。
読んで頂きありがとうございます(/・ω・)/
セアネローズの助言の通りに第一王子は殺さずに勝てるのか?
それは次話で分かる。だが、それだけで終わりそうもない気がするんだよね。
だってさ……私が書くんだもん(;'∀')
では次話もよろしくお願いします(´艸`*)




