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「事態の全貌がわかったわ。みんなもう少し話を聞いて。」
今度の声は、大声でも何でもなかった。
でも生徒たちはすぐに静まり返る。
これが白石かえでの力だ。
みんなが生徒会長の声に耳を傾ける。
「みんな、ステータス画面は開けたかな。オプションのところから、あらすじってところを読むと現在の状況が書いてあるわ。」
え!?いつの間にそんなところ読んだの!?適応力すごすぎる、、。などと思っている人は少ないようだ。白石かえでならそのくらい当然にやってしまうという信用、或いは甘えだった。
「私が読み上げます。
1年前の予言を愚かにも無視して、準備もせずにこの日を迎えたあなた。足元には一体の親衛モンスター。これがあなたのファーストである。地球はもう地球ではない。未知なるこの世界であなたは生き抜くことが出来るか!?※詳細なルールについては別ウィンドウを参照。」
全校生徒たちの間で妙な沈黙が生まれた。みんな思い出したのだ。例の謎の預言者団体のニュースを。
生徒会長は尚も続けた。
「みんな落ち着いて聞いて。ルールの詳細は各自で確認してほしいけど、重要なルールだけ私からここで言っておきます。」
そう言って、生徒会長は地面に落ちていた金属のような何かを拾った。
そして、いきなりそれを、自身の腕に突き刺そうとした。
咄嗟のことで体が反応できない。
しかし声は出ていた。
「何してるんですか!!!」
しかし、何も起こらなかった。勢いよく突き刺さるはずの何かは、まるで硬いものに弾かれたかのように跳ね返り、生徒会長の手から離れて地面に転がった。
「どうやら私たちは不死身になったようね。」
それをみて生徒たちはまたしても驚きの声を上げる。
しかし生徒会長はいつもよりワントーン低い声でこう続けた。
「でも、注意点があるわ。もし、あなたたちのそばにいるそのモンスター。親衛モンスターというらしいのだけど、それがいなくなったら、ただの人間になってしまう。」
「あなたたちの側にいるそのモンスターたちは、味方ということよ。一度死んでしまっても、48時間後にはまた召喚できるらしいわ。でもその間にもし敵のモンスターに襲われたら、、、。間違いなく、死ぬでしょう。」
その発言に、生徒たちがザワついた。
まだ何がなんだか分かっていない人も多いだろう。しかし俺は分かってしまった。ゲームはわりとよくするし、デスゲーム系の漫画も読んだりする。
今だれかが興味本位で自分の親衛モンスターに指示を出して、攻撃を命じたとしたら?
そして相手の親衛モンスターを倒し、最後に人間に襲い掛かったら?
そう、相手は死ぬのだ。文字通り。
混乱でパニック状態に陥る前に、生徒会長は再び続けた。
「これからの方針をいいます。まずは全員の安全が第一です。私はこの世界のルールについて詳しく把握を進めるのと同時に、どこか安全な場所を探します。
今ここに野性のモンスターが現れても、どうやって立ち向かえばいいのかまだ大体しかわかっていませんので。」
大体はもうわかってるんかい!
と誰もが頭の中でツッコんだ気がするが、口には出さない。これが我らの生徒会長だからだ。
「先生方は、不安に震えている生徒たちのフォローをお願いします。余力のある生徒会のみなさんもご協力お願いします。では、全員で生き残りましょう。以上!!!」
こんなことになっても微塵も動じない生徒会長をみて、何人の生徒が勇気づけられたことだろう。俺もその1人だ。
少しでも役に立てるよう、いつの間にか震えがおさまった体を起こし、生徒たちのフォローに向かうべく歩き出した。