出会い
「……ここは」
マリアが目を覚ましたのは、暖かいベッドの上。
どうやら自分は気を失っていたらしい。
運良く敵以外の存在に助けられたようだ。
怪我をした足にも丁寧に包帯が巻かれており、その人間の優しさが伝わってくる。
一体ここはどこなのか。
助けてくれた人物は誰なのか。
まだ何も分からないが、とりあえず警戒はしなくてもいいだろう。
「――あ、ライトさん、目を覚ましたみたいです!」
「本当か、アイラ!」
コンコンとノックをして、部屋の中に少女が水を持って入ってくる。
そして、起きているマリアを見つけるや否や、奥の部屋にいるライトという男の元に走った。
ここでようやくマリアは思い出す。
確か気を失う直前、この男たちが自分を見つけて近付いてきたのだ。
記憶が正しければその場にいたのは三人。
ライト、アイラ――あともう一人。
「ああ、良かった。全然目を覚ましてくれなかったから心配してたんだよ」
「……ありがとうございます」
「いや、お礼は俺じゃなくてレーナに言ってくれ。レーナが君を見つけてなかったら、多分俺は気付いてなかったし――って、レーナは今外に出てるけど」
ライトとアイラは、ホッとしたようにマリアの隣に座る。
赤の他人が目覚めただけで、心から安心しているらしい。
ただのお人好し。
今言えるのは、確実に悪い人間ではないということ。
自分と同じくらい若い人間だが、自分とは真逆の人間であると感じられた。
「レーナさん……という御方ですね。いつごろ戻ってこられるのでしょうか」
「うーん。薬を買いに行っただけだから、そこまで時間はかからないと思うけど」
「分かりました。それじゃあ、この包帯を巻いてくれたのも……」
「あ、それは私です。すみません、キツかったでしょうか……?」
「いえ。アイラさん……でしたよね? ありがとうございます」
「え? え、えっと……えへへ」
お礼を言われることに慣れていないアイラは、マリアの言葉を聞いて困ったような反応を見せる。
何かミスをしてしまったのではないかとドキドキしていた分、余計に反応は不自然な形になってしまった。
アイラの中では当たり前の行動であったため、ここまで感謝されるのは予想外だ。
「と、とにかく良かったです……! ですよね、ライトさん」
「え? あ、ああ。このまま治ってくれればな」
困っているアイラを見かねて。
それより――と、ライトは話を変える。
「随分酷い怪我だったけど、あれはどうしたんだ?」
「あれは……間違えて裏の道に入ってしまったら、急に犬が襲ってきたんです」
「なるほど。野良犬は凶暴だからなあ」
マリアはライトの問いに適当な答えを返しておく。
ここでわざわざ本当のことを言う必要はない。
何より、自分の復讐にこの親切な三人を巻き込みたくなかった。
これほどお人好しな人間ならば、自分の復讐に介入してくる可能性だってある。
母を殺した人間は凶悪な女だ。
それに巻き込むことだけは避けたい。
そんなマリアの願いが通じたのか、ライトは特に怪しむことなく納得してくれたようだ。
「でも、犬に噛まれたのなら怪我だけじゃ済まない可能性も――」
「ただいまー!」
ライトの言葉を遮って聞こえてきたのは。
三人目――レーナの声だった。
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