三人
「はぁ……」
雨の中。
男たちから逃げ切ったマリアは、痛みに耐えながら安全な場所を探す。
狙い通り雨で血の跡は消えているため、そう簡単に見つかることはないだろう。
しかし、少しの間はどこかで身を隠さなくてはいけない。
「……というか、その前に病院に行かないとマズいかも。傷が思ってたよりも深い……」
雨の当たらないところを見つけたマリアは、そこに座り込んで自分の足を見る。
逃げている途中は気にしていなかったが、今見ると走れたことも不思議に思えるくらい深い傷だ。
まさかいきなり攻撃を仕掛けてくる人間がいるとは――想像以上の深手を負ってしまった。
あそこまでレベルが低い人間だと、何をしてくるか分かったものではない。
高い授業料になったが、マリアはしっかりと心に刻む。
(とりあえず応急処置はしたけど……痛いなぁ)
マリアは自分の服を破き、傷口の上から重ねて押さえる。
止血程度であり痛みが消えることはないが、何もしないよりは圧倒的にマシだ。
そして。
それよりも問題になりそうなのは、病気の原因になりそうなものが体内に入っていないかということ。
地下にいるような犬が、病気を持っていないわけがない。
早めに治さなくては、取り返しのつかない事態になる可能性だってある。
「お母さんのためにこんな目にあって……バカみたい」
マリアは自分のことを嘲笑しながら立ち上がろうとする。
ここに長く居ては危険だ。
あの男たちがしつこかったら見つかる可能性だってまだ存在していた。
そもそも、傷は自然に回復するというわけでもない。
病院――もしくは助けを求められる人間を探さなくては。
雨によって奪われる体温。
体温が奪われたことによって入らなくなる力。
少しづつ遠くなっていく意識。
最悪な状況で、頭も段々と回らなくなる。
「た、大変! ライト! あの人見て!」
「ん――って、え!? ま、マズくないか?」
「マズいと思います、ライトさん……!」
薄れゆく意識の中で。
「血! 血がめちゃくちゃ出てるよ!」
「と、とにかく起こさないと――大丈夫ですかー!」
「ダメです……意識がないみたいです」
マリアが最後に見たのは。
「え……まさか死んでないよね……?」
「いや、呼吸はしてるよ。放っておいたらかなり危なかったけど」
「……まず私たちの宿に移動させた方がいいと思います」
どこか親切そうな三人組だった。
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