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43.魔王の動向

 ようやく、伯爵領に帰ることになった。

 国王は俺に留まって欲しいみたいだが、まだ自由でいたいし、まだ王子のシンパが残っていたら逆恨みされていそうだし、スキルで誘導されていた人たちにとっても、そのことを正しく理解出来ていなければ、俺に対して複雑な思いを抱えている可能性もある。

 特に王妃と王女のことを懸念していたのだが、彼女らからは大層感謝されてるみたいだった。王女に至っては、仄暗い瞳で王子を断罪し続けていた。──王子は王女に何やらかしてたんだ? 脳内では色々囁いていたけど、間違っても口に出せない言葉だったので無視した。


 ***


 帰りの馬車は、色々と道中に話がしたかったので組み合わせを大人と子供で分けて貰った。

 「レイル、魔王と勇者について、どう思う?」

 国王の様子から察するに、王家に伝わる古文書にて魔王との対決がそう遠くない未来に起こりうると判断しているのだろう。そのために、グランのおっさんを使って有力者の発掘をしていたみたいだし。

 「前に見た古文書の内容を事実だと考えて。そこから想像出来るパターンは三つ。一つ目、勇者は魔王に敗れ、支配されて手駒になった。二つ目、世界の半分をお前にやろう。三つ目、魔王は倒したけど、実は魔王の方が正しいと知って宗旨替えした」

 「……世界の半分って何?」

 アンリに突っ込まれる。

 「世界の半分をやるから仲間になれ、って例え。前世にそういう物語があった」

 ゲームなんだけどな。

 「ただ、今の世に魔王の事が知られていないってことは、前に魔王が現れてから相当経っているってことだろう。古文書には、数十年に一度現れるって書いてあったが」

 アンリに目を向けるが、魔王のことは聞いたことが無いらしい。

 「ラノベ的に考えて三番?」

 レイルの予想は宗旨替えか。って、ラノベかよ!

 でもまぁ、古文書では『勇者が魔王を倒した後、魔王になった』って話だから、宗旨替えが一番しっくり来る。

 だけど、どれが正解にせよ不正解にせよ、判らないことがある。

 「魔王が現れるのに間隔があることと、魔王になった勇者のその後が不明」

 「だよなぁ……」

 魔王に関する記録がほとんど残っていない現状、勇者のことも窺い知れない。ただ、魔王を倒せるほどの勇者が人類の敵に回っていたら、滅亡しちゃうんじゃないか? 魔物と違って人の中に簡単に入り込める訳だし。

 「まぁ、そもそもあの文書の真偽も不明だし、勇者が魔王にって件も当人が確認した訳じゃなさそうだからなぁ」

 聞いたこと、って書いてあったからね。

 「とりま勇者の件は除外して。魔王が現れるのにかなり間があるのはどう思う?」

 「それも、今想像出来るパターンは三つ。一つ目は、魔王として活動するのに力を溜める必要がある。二つ目は、魔物の数が増えるのを待っている。三つ目は、人間が増えるのを待っている」

 レイルの予想も俺と似たようなものか。

 「最初の二つは判るけど、三つ目はどういう意味?」

 アンリには通じなかったみたいだ。

 ちなみに、セーナはずっと聞いているだけで発言はしない。こちらから名指しで訊ねないと、発言しないことが多い。緊急性があるときは別だが。

 「人間が増えすぎることを害悪と考えて、間引くために現れるんじゃないかってことさ。この考え方なら、勇者の宗旨替えも頷ける」

 「……その、人間が増えすぎることが悪いって意味が判らないんだけど」

 こっちの世界だと、エネルギー危機とか無いからなぁ。食糧危機はあっても、まだ狩猟で補えているみたいだし。

 「人が増えすぎると、食料や資材が多く必要になるし、住むための領地も広げる必要があるだろう? そしてそのためには、獣を狩り尽くし、森林を切り開き、山を切り崩したりする。海にまでその手を広げもするだろう。そうしたことで、人以外の生物はいなくなり、資源が枯渇し、環境が破壊される。人以外の者にとっては、害悪以外の何物でもないだろう?」

 「それは……」

 アンリは俺に言われたことが余程意外だったのか、それから暫く考え込んでしまった。


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