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42.大漁

 王城でのごたごたが、一応終息出来たと言える様になったのは、国王の決断による。

 国王は王子が謀反を企てたと断定し、王子に対して《隷属》を施したのだ。所謂、奴隷落ちである。

 《隷属》によって尋問が捗り、協力者や影響範囲をある程度特定することが出来た。

 それによる騒動もまた別途発生したのだが、主要な協力者に対しても断固とした対応、つまり《隷属》を施したのだ。そうして更に尋問対象を広げていったのだった。


 さて。謀反を起こした王子なのだが、王位継承権が一位なのであれば放置していても王座は転がってくるのに、どうして謀反など企てたのか。

 それを国王に尋ねてみると。

 「どうやらアレは、戦争で他国を征服したかったらしいのじゃ。それも、若い王として君臨し、数多の美姫を侍らせたかったなどとほざいておったわ。わしの教育が悪かったのじゃろうが、アレのスキル『精神誘導』が増長させたのじゃろうなぁ……。そして、それを唆したのが、グラン元特務官なのじゃ」

 ……関与どころか、主犯じゃねぇか!

 グランのおっさんは罷免され、奴隷落ちとなったらしい。

 娘であるレイルについては、『関与は疑われず罪には問わないが、一定期間監視する』ということで決着していた。そしてその監視役は、ベルン伯爵家で請け負うことになった。要は、今まで通りだ。ちなみに、祖父の内務卿は即日辞任したらしい。

 「ところで。『来るべき戦い』とは、一体何なのでしょうか?」

 ついでに、気になっていた王子の発言についても尋ねてみる。

 国王はその質問が意外だったのか、ちょっと狼狽えていた。

 「それは……まだ公開出来る状況では無いのじゃ。まだ先のことじゃ、今は気にせずともよいのじゃ」

 「その割には、戦力を集めている様子ですが。相手はひょっとして──『魔王』ですか?」

 「──なっ!?」

 国王は驚きの声を上げ、慌てて口を手で押さえた。

 一緒にいたアルシャークも、驚きのあまり口を開いたまま固まっていた。

 国王がアルシャークを睨むが、アルシャークは首を横に振る。

 「古文書で、魔王の記述を見たことがあるだけです。何時の時代の記述かも判りませんでしたが、そういう存在が過去にあったことだけ頭に入っていたもので」

 俺の回答に、国王はため息を吐いた。

 「王家に代々継承されて来た古文書以外にも、魔王の記述があったとは」

 「……そんな物が出回っていたとは、知りませんでした」

 アルシャークも驚いている。彼は王家保有の古文書を見たことがあるみたいだな。

 面倒なことになりそうなので、どんな古文書に書いてあったかは忘れたことにした。日本語の話をすれば、どうして読めるのかって話になるだろうし。今はまだ転生については秘密にしておこう。

 魔王については、他言無用ということでお願いされた。国王なのだから、命じればいい筈なんだが、俺たちとは友諠を結びたいらしい。


 今回の事件を解決した俺に対して、国としては表立って褒賞を与えることは出来なかった。

 王子の謀反など、対外的にも国内的にも大問題過ぎて公表出来なかったのだ。王城に出入りしている人間にも緘口令が敷かれ、王子と有力者たちの一部が伝染病に罹って、亡くなったり隠居したりしたことになっていた。

 内密に褒美をとらせるから何がいいかと訊かれたので、「いろんな魔術が見てみたい」と答えると応じてくれた。宮廷魔術師と王国軍の魔術師団から高位の魔術師が呼ばれ、多様な魔術を実演して見せて貰った。当然、全ての魔術について、魔法陣を記憶させて貰った。大漁旗を振りたい気分だな。


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