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41.終息

 「思考誘導じゃと? いや、初耳じゃが……」

 国王が知らないと言うことは、簡易鑑定では判別出来ない状態異常なのだろう。

 「なるほど、そういうことですか」

 アルシャークも俺と同じ考えに至ったらしく、簡易鑑定の魔道具を持ってくるよう、残りの騎士に指示を出していた。

 俺はと言うと。操作盤を離れ、倒れている女騎士に近寄った。

 「……オークになる?」

 傍にいたレイルが変なこと言い出した。……まさか、以前俺の脳内に浮かんだ暴言が聞こえてたりしないよな?

 レイルは無視して、女騎士の額に手を当てる。

 常駐プロセスを調べると、《加護》以外に三つのプロセスが確認出来た。どれがどの誘導かは判別出来ないが、全部止めていい筈。

 以前母さんの《祝福》にやったのと同様に、《加護》以外のプロセスを強制終了させる。そのまま暫く観察し、プロセスが残っていないことを確認。

 「……これで大丈夫かな。陛下、この者の状態異常を解消しましたので、後で事情聴取をお願いします。それから、王族のお三方も、鑑定することをお勧めします」

 おそらく王妃と王女は、この女騎士と同じ状態だろう。

 問題は王子だ。状態異常になってなければ、主犯と考えてもいい……のだろうか? その辺りは国王に判断して貰おう。

 残った騎士が、叛意を向けた騎士ら四人を縛り上げている間に、出て行った騎士が魔道具を持って戻って来た。

 「まずは王女様から確認してみましょう」

 俺の提案で、王女の簡易鑑定を行うが、表示される状態は、『自動回復1』のみ。

 レイルに王女を抱えて貰い、俺は操作盤に戻る。

 魔力を籠め、魔道具を起動。さすがに、女騎士みたいに放り投げてそのままという訳にはいかないので、反対側でセーナに受け止めて貰った。

 「むぅ……」

 鑑定結果に国王が唸る。やはり、三種の誘導が実装されていたのだ。やはり簡易鑑定では判別出来ない様子。その隙を突かれた形だ。

 王妃も同様だったのだが、王子には状態異常が無かった。

 「これは……やはり、王子が首魁なのでしょうか?」

 アルシャークも同じことを考えていたらしい。

 「……そう判断せざるを得まい。嘆かわしいことじゃのう」

 

 それからが大変だった。

 全員の状態異常を解消した後、一旦全員を幽閉して貰った。精神系の状態異常だったので、解消した後も後遺症的に何にか影響が残っていないか、経過観察をお願いしたのだ。

 そして、城に出入りする者全員を、少人数ずつ呼び出し、鑑定しては解消させて、幽閉していく。その数は百人を超えた。その間、俺はずっと働き詰めだったりする。鑑定の魔道具に魔力を籠めるのは俺じゃなくてもいいのだが、鑑定人数が多くて城の魔術師だけでは魔力切れを起こすのだ。全員を魔力切れにする訳にもいかず、そっちも手伝う羽目になっていた。

 問題はそれだけでは無かった。状態異常になっていない人間の中で、王子に与する者がいないとも限らないのだ。だが、それについては明確な判別方法もなく。王子一人を別の場所に幽閉し、近づくものを捕らえるという迂遠な方法を採るしかなかった。


 城内のごたごたが終息するのに、一か月を要した。


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