28.チーレム要員
レイルは言いたくなさそうにしていたが、アンリの追及は止まらず。
レイルは諦めたようにため息を吐いた。
「……フィリアードよ」
レイルの呟きに、アンリが目を開いて。そして、鼻で笑った。
「なるほどね」
「……意味が判らないんだが」
俺を無視して睨み合う二人。
「アフロス様。おそらく彼女はフィリアード家の者なのでしょう。フィリアード家の嫡子であるグラン様は、アルシャーク様のことを一方的にライバル視されている方で、事あるごとに因縁をつけて来られる困った方なのです。古文書を見れる立場ということは、彼女は──」
「娘よ」
セーナの説明を途中でレイルが引き継いだ。
「グランは私の父親。いいのは顔だけの無能な男。祖父は財務官僚の法衣貴族だけど、父では継げないでしょうね」
自嘲気味に笑うレイル。
「……はぁ。あんたも苦労してるのね。今回のことも、別に盗み目的じゃなくて、単に見てみたかっただけなんでしょ?」
アンリの言葉にレイルは力なく頷いた。
同じ貴族であるなら、普通に依頼すれば古文書を見せて貰うくらい出来そうなものなのだが、レイルの父親が原因で、それが難しい状態になっているのだろう。でなければ、レイルの家にある古文書を取引材料にすることも出来ただろうし。
「それで……どうするんだ?」
レイルの処遇をアンリに伺ったのだが、
「私も、アフロスのチーレムに入れて欲しい」
とかほざきやがった。
「チーレムゆーな! そもそもそんなもん存在しねぇよ!」
「またまたぁ。五歳児にして既にチーレム要員を二人も確保して何言ってますやら。あ、ひょっとしてもっと大人数じゃないとチーレム宣言しないとか? それなら私も──はうっ」
やかましいのでデコピンして黙らせた。
「ちーれむ、って何?」
「いや、気にしないでくれ」
……疲れる。
「冗談はともかく、お前はどうしたいんだ?」
「冗談のつもりや──いや、デコピンは止めてってば。私としては、もうあのダメな父の傍から離れたいし、同類であるアフロスの傍にはべ──いえ、一緒に居たいかなぁ。まだ古文書見せて貰ってないし」
この状況で悪びれもしない──のは今更か。能天気なやつだな。
アンリに目を向け、再度処遇を問う。
「……あたしは事を荒立てるつもりは無いけど」
「アンリちゃん話が判る!」
「ちゃん付けは止めて」
アンリはセーナに命じてレイルのロープを解かせた。
「うちで面倒を見ると、色々問題になりそうだから、あんたのところで面倒見てあげなさい」
「え、俺?」
予想外のことに、頬がひきつる。
レイルは目を輝かせていた。
「レイルも、アフロスに変なことしたら許さないわよ」
「やだなぁ。さすがに五歳児に手を出すほどのショタ属性は無いから」
ショタ属性とかやめれ。




