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27.目的

 「……コホン。失礼しました」

 俺やアンリが呆れた目で見ていることに気付いて冷静になれたのか、それとも言いたいことを吐き出して落ち着いたのか判らなかったが、一先ず静かになった。

 「結局、君がここに忍び込んだ理由はなんだったんだ?」

 俺目当てでは無いことは間違いないので、改めて問う。

 「……古文書」

 「え?」

 「ここに、日本語で書かれた古文書があるという噂を聞いたの。勿論、噂では『日本語』じゃなくて『複雑な文字と簡単な文字が混じった変な文書』という内容だけど、私はそれを過去に訪れた日本人が残した物と思ったのよ。──実家にも一冊あったから」

 レイルの言葉に、驚くと共に喜びの感情が沸き上がる。

 「本当か? 君の家にもあったんだな!」

 思わずレイルの両肩を掴んだ。

 「……やはり、ここにもあったんだ」

 「ちょっと待って! それって、お父様のコレクションにあるやつの事? あれ、アフロスは読めるの!? というか、いつの間に見せて貰ったの??」

 アンリは見たことがあるらしい。そして、アンリの様子から察するに、滅多に見せては貰えない代物なのだろう。まぁ、貴重な資料や文献を多く抱えているみたいだから、子供らが普段出入り出来ない様にしているのも当然か。

 「ここにお世話になるようになってから暫くして、母さんが借りて来た写本を見せてもらったんだよ」

 「……そうなのね。それで、どんなことが書いてあったの?」

 アンリも興味を持っていたのだろう。捕らえたレイルそっちのけで、内容を知りたがった。

 一方レイルも、ロープでぐるぐる巻きにされていることなど気にならない様子で耳を傾けていた。

 「えっと、簡単に言うとだな……」

 転移者が書き残した内容を掻い摘んで話した。

 年代も場所も判らないが、転移者はどこかの国に魔王を倒す勇者として召喚されたこと。その際、召喚の魔法陣は使わず、魔道具を使用していたこと。

 転移者には鑑定のスキルがあったこと。《祝福》と称した隷属魔法を掛けられそうになり、逃げだしたこと。

 逃亡後、知識チートで金を稼いだらしいこと。

 結婚して生まれた子供が物凄く優秀で、国から勇者認定されたこと。

 その息子が魔王討伐に向かい、倒したらしいこと。

 魔王を倒した息子が、何故か魔王になったらしいこと。

 それらを説明したところ、皆は思い思いの感想を述べた。

 「異世界から召喚を行う魔道具ね……お父様なら何かご存知かもしれないわね」

 アンリは魔道具に興味を持った様子。

 「魔王の話は聞いたことがあります。百年以上前、隣国の向こう側にあるクリミガルという国で、魔王を討伐したという話が」

 セーナが魔王について補足。

 「知識チートかぁ。やろうとは思ったけど、料理すら苦手でラノベ知識くらいしかない残念JKだった私には無理よね……」

 レイルがぼやく。てか、残念JKって何?

 「……ところで。私はいつまでこうしていればいいのかな?」

 今更な気もするが、レイルはようやくロープで縛られていることに不満を訴えてきた。

 「まだよ。あなた、前世の話しかしていないじゃない」

 そう言えばそうだった。

 レイルは俯いて、小さく舌打ちした。


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