闇について考える(8夜)
目暮あゆは今夜も眠れない。
闇について考える。
人は本能的に闇を恐れるという。
生まれたばかりの赤ん坊でも暗闇に置くと泣き出すと聞いた事がある。
見えてはいけない物が見えているとの説もあるが。
幽霊だからといって闇の中にしか存在していないわけでもあるまいに。
しかしドラキュラ等の昔からの怪物は闇の反対の光を恐れる。
それは人間が闇を恐れているからに違いない。
全て創作。
つまり闇の中に存在する幽霊も創作。
いや、どちらかというと自分は幽霊を信じている。
幽霊が闇の中にしか存在しないというのが創作なのだ。
では、赤ん坊が闇を恐れるのは幽霊のせいではない。
では、何故か?
人は視覚を奪われる事を恐れるのだ。
確かに明日から失明して生きてゆく事になったら絶望感がすごい。
私は娯楽が視覚に頼るから特に。
もし、視覚を失ったらどんな娯楽を求めるのだろう?
音楽を聴いたり、食事を楽しんだり…
うーん、見えない状態だと味だけでは楽しめない気がする。
それに食べ物の味は味覚だけではなく見た目、匂いも関係すると聞いた事がある。
目をつむっていると味が分からなくなるらしいし。
TVに出てくる芸能人の中に視覚を塞いでも食べ物を当てたりする人がいるが…
まぁ、あれは本当なのかどうかわからんし。
見えているものは脳が作りだしたイメージという話もある。
訓練すれば他の五感で見えるような事は出来ないだろうか?
声帯の代わりに食道で発声できたりするわけだし。
目暮あゆは今夜も眠れない。