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宇宙蟻地獄  作者: 八味とうがらし
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宇宙蟻地獄 巻き込まれたトリイ

「あのーミコト教授、何がどうなってこうなっていくのか教えていただけないでしょうか?」

「トリイ君君って本当に噂通りだなぁ!大丈夫だよ君は、君も明日来るといいよ」

そう言ってトリイと別れたミコトは研究室には帰らず、自宅へ向かった。

翌朝研究室で大国を待つミコトに電話が鳴った。ゴングウジからだった。

「ゴングウジ君君も早くこっちに来てくれ、そろそろ大国さんが来られる」

「教授それどこれでは無いですよ!研究室のテレビを見てください」

ミコトは言われるがままテレビをつけた。

「繰り返します。先程都心オフィス街で又地盤沈下が発生しました。被害状況は今のところ不明ですが大変大きな陥没が起きているようです」

テレビの臨時ニュースだった。このところ毎日地盤沈下の臨時ニュースが流れている為、臨時でも何でもなく地盤沈下の新規発生ニュースが放送されていた。

「ゴングウジ君地盤沈下の臨時ニュースの事ならわかってるよ」

「確かに地盤沈下ですが、地盤沈下が起きた場所ですよ。ほら、今日一緒に教授の話を聞く予定のトリイ君の編集室があるところなんですよ」

ミコトは電話を切ると慌てて、トリイの連絡先を探した。

「トトトリイ、あった」

トゥルルルル トゥルルルル トゥルルルル・・・・・

あのいつもコール1回半で電話に出てくるトリイが電話口に出てこない。ミコトは不安を感じつつも大国に連絡をし改めて研究室に来るように言って電話を切った。

「トントン山」

「トントン川」

「ゴングウジ君入ってくれ!」

「教授どうしますか?私が現地に行ってもどうすることも出来ないのですが、行って状況を確認して来ます」

「ゴングウジ君取り敢えず大国さんを待ってからでも遅くは無いよ。あと少しで大国さんも来る頃だから」

トントン

「大国です」

「お待ちしてましてましたよ大国さん。先程のニュースご存知ですか?」

「わからないです」

大国はミコトと会うのを楽しみにしていた。そして、様々な事柄に想いを巡らせていた為車を運転していたためメディアのスイッチをオフにしていた為情報が入っていなかった。

「大国さんはじめまして、私ゴングウジと申します。よろしくお願いします」

「大国です。こちらこそよろしくお願いします。ゴングウジさんってB惑星調査をされていたあのゴングウジさんですか?」

「はい」

「それで、先程のニュースとは」

ニュースの概要を説明受けた大国は、哀しい顔になり黙ってしまった。ミコトがゴングウジに車の手配を頼むと大国に話しかけた。

「大国さんトリイ君との連絡は今のところ取れないがトリイ君なら大丈夫です。必ず生きています。今日は、予定を変更してトリイ君を迎えに行きましょう」

「わかりました」

大国はミコトの話に何も疑いも持たずに一緒に車に乗り込んだ。ゴングウジが運転しながら話をしたB惑星での不思議な体験の事だ。ゴングウジがリーダーを務めたチームイエローの奇跡の生還についてだった。ミコト教授は頷いて聞いていたが大国は、B惑星での詳細を初めて聞いた。B惑星と今の状況が極めて似ている事に驚いていた。ただトリイの安否がそれを上回るほどのストレスとなっていた。現地に着くとあまりにも大きな陥没に3人とも言葉を失った。大国はこの状況では誰も助からないと思っていた。トリイとの付き合いは無かったもののトリイの勤めていた宇宙科学雑誌の編集室があるところは知っていた。ちょうど逆円錐陥没した場所がトリイの編集室があったテナントビルの場所だった。

「この真ん中付近が編集部の場所です」

ゴングウジが穴を刺しながら2人に説明していた。ミコトは、ゴングウジを陥没事故の人だかりの外れに呼び出し、耳打ちをした。ゴングウジは頷くと陥没している逆円錐の穴のなかに車からとって来た太いロープをたれ落とし、叫んだ。

「トリイ君、トリイ君おーい聞こえているのなら這い出てこーい」

周りが泣きながらその光景を眺めていた。救助隊もいつもの陥没事故のと同じ誰一人そして何一つ残らず消滅してしまうこの特異な事故に垂れ落とされたロープを見ても誰一人手助けしようとはしなかった。逆円錐の中心部分が微かに動いたように見えた再度呼びかけた。すると中から人の手らしきものが動いている救助隊もようやく本来あるべき行動を取ろうとした。その時

「君たちはダメだそこを動くんじゃ無い」

輪の後ろから大きな声で叫ぶものを一斉に振り返ってみると。ミコト教授だった。その間にもゴングウジはスルスルと穴の中に入ってゆき動く手を引き上げた。そこには砂まみれになったトリイが出て来た。ゴングウジはトリイを自分の背中におぶってロープでトリイを自分の体に縛りつけると一気に登り切って地上に戻ってきた。今起きた事が理解できない群衆と救助たいに一瞬沈黙しやがて奇跡を喜んだ。幸いトリイは擦り傷程度の怪我で済んだ。残念だが他の生存者は一人もいなく、建物なども一切不明のままだった。一躍ときの人となったトリイだった。トリイは病院に運ばれ一日様子を見て翌日には退院予定となっていた。ミコト教授、ゴングウジそして大国は一路ミコト教授の家に向かった。

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