宇宙蟻地獄 前進
「そのミコト教授のところで飲んだコーヒーだからなのか」
「詳しい内容は私にもわからないので、ミコト教授にお話しを聞かれた方が良いと思いますが」
この度の奇跡の生還の答えは全てミコト教授が知っているとトリイとの面会でわかった。トリイにミコト教授のところに行くことを伝えトリイに案内させた。トリイは駐車場から車を大臣を迎える前にミコト教授に連絡を取り、テレビ局から大臣室での大臣とのやり取りを説明しておいた。そして大臣がすぐにでも会いたがっている事も。
「大臣、お待たせしました。教授は朝早くから夜遅くまで何時でもお時間取れるとおっしゃってます。すぐに出かけましょう」
大臣を乗せたトリイの車は大臣という要人を乗せるには余りにも・・・という車だった。
「トリイ君、私も以前はこの車に似たのを乗っていたんだよ。懐かしいなハハハ」
お世辞がお世辞にならない大臣病が車内の空気をしらけさせていたが、トリイの力はそれすら楽しいものに変えていた。
大臣とトリイを迎え入れたミコトは研究室の鍵を閉めた。大臣は矢継ぎ早にミコトに話し始めた。トリイから聞いていたミコトは、なるほどと思いながら大臣の話に耳を傾けひたすら聞き役にまわっていた。包み隠さず大臣の質問答えたミコトではあったが、それ以上の事については何一つ話さなかった。大臣が政府が行なった全ての対応が間違っていた事がここではっきりと分かった。「ところでミコト教授それでどうすれば宇宙ウスバカゲロウを退治できるのかね」
「大臣、今は退治もですが、このコーヒーを全ての人に飲ませ、彼等の餌食にならない様にする事が優先されると思います」
大臣はミコトの言う事に反論できず素直に聞き入れ退治より宇宙ウスバカゲロウの餌食にならないようにする事を決め、改めてミコトに聞いた。
「どうすれば良いのですか」
ようやくミコト教授は大臣のサカキにたくさんの事柄を説明した。そしてサカキとトリイにコーヒーを出した。
「サカキ大臣コーヒーでも飲みながら私の話を聞いてください。なんせ長くなりますからね」
大臣が研究室を出たのはトリイが大臣を連れて来てから数時間後の事だった。帰るときはサカキは自分の車を秘書に用意させそれに乗って帰っていった。ミコトはトリイの引きの良さに感心し改めてトリイに言った。
「トリイ君、君は本当にこの星を救うかもしれないな」
翌朝、大臣のサカキの声掛けで緊急地盤沈下対策協議会が開かれた。そこに集まったのは、首相、各大臣、民間からトリイ、ゴングウジ。協議会と言うより閣僚会議に民間人が招集された形だった。サカキは協議会の冒頭、先の対応の違いを詫びた。トリイの奇跡の生還、昨日のミコト教授の話、そしてB惑星から持ち帰った解析映像に映し出された巨大な逆円錐を瞬時に作る何者か。この現実を突きつけられたサカキはもはや政府の大臣と言うより本当の市民、国民代表としての大臣となっていた。
「それでサカキ大臣、今日の会議はどうゆう事なのかね」
当然ながら首相をはじめ各大臣は陥没事故の対応のまずさを未だ引きずり、この大臣にどの様に責任を取らせるかを考えていたところなのだ。
「先にお断りしました通り、我々の初期の対応は完全に間違っておりました。この間侵略の犠牲になられた皆様に重ねてことわりをいたします」
「侵略?なんのことだね」
ゴングウジとトリイは思わず顔を見合わせにやけていた。大臣の説明が終わり、首相が言った。
「それでどうすれば良いのだ」
ゴングウジとトリイがサカキの方を見つめた。
「こちらにいますゴングウジキャプテンとトリイ編集者が説明をします」




