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嘘吐き探偵の魔法戦記(エストラッテ)   作者: 篠風 錬矢
第2章 シャンバラ編
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事件と記憶の鍵を握る者

「この世の地獄……ねぇ」

雷虎はアリシアを見据えた。

……アリシアは怒っている、紛れも無くブチギレてる。

後ろ姿からでも感じる凄絶なまでの殺気。

おまけに帽子を脱いだという事は、一つしかない。

「来たれ、“真実を嗤う月(トゥルーハイドムーン)”」

アリシアの右目が黒い輝きを放った。

「遂に使ってきたね……さて、どうしようかな」

「どうもしなくて良いですよ、ここで貴女は終わりです」

アリシアは間違い無く雷虎を殺しにかかるだろう、しかし雷虎の苗字がどうもさっきから引っ掛かる。

……決着がつく前に思い出さないと。

「〈破雷砲〉!」

雷虎が電撃を放つが、アリシアは微動だにしない。

「アリシアっ!?」

「〈滅殺波(キリングバースト)〉」

アリシアが無造作に放った漆黒の波動は電撃を掻き消し、雷虎を吹き飛ばした。

「うあぁぁぁぁっ!?」

「〈影渡り(シャドウステップ)〉」

アリシアが一瞬で雷虎の目の前に移動した。

……相手の影に跳ぶ魔術かな?ん?接近戦という事は……

「はぁっ!」

「うぐぅっ!」

アリシアの拳が雷虎の腹を捉えた。

更に、雷虎の頭が下がったところにすかさず回し蹴りを叩き込んだ。

「いったいな!〈雷牙〉!」

小太刀を抜き、雷電を纏った突きを放つが……

「“私は刃を通さない”」

アリシアの能力が発動し、アリシアの皮膚が防刃性能を獲得した。

「えっ?」

雷虎は呆気にとられた。

……アリシアとの接近戦で隙を作ったらアレが来るよ……。

アリシアの右手右足を闇の魔力が包んだ。

「名付けて〈暗黒魔空三連撃ダークブレイブドライアーツ〉……!」

アリシアの全霊のアッパーカットが雷虎の顎を打ち上げた。

……あぁ、やっぱりこのコンボか。

その勢いで跳躍し、顔面に踵落とし。

空中でこめかみに回し蹴りを叩き込んでフィニッシュ。

雷虎は真横に吹き飛んだ。

……もう見慣れたよコレ。

「トドメです……〈闇双剣錬成(ダークツヴァイソード)〉」

アリシアの両手に闇剣が現れた。

「ん……あ、マスミ……?」

「エリン!気が付いたんだね」

「え、えぇ……って何この状況!?今すぐ降ろしなさい!」

僕にお姫様抱っこされてる事に気付き、じたばたと暴れた。

……そんなに嫌ですかエリンさん。

僕は内心軽くショックを受けつつもエリンを降ろした。

「ったく……私、どうなったんだっけ?」

「雷撃されて、さっきまで気絶してたよ。で、その雷撃主とブチギレアリシアが戦ってる。神威 雷虎っていうらしいんだけど、何かその名前が引っ掛かるんだよね……」

「引っ掛かるも何も、カムイ帝国の王族でしょ?」

当たり前のように言い放つエリン。

「……!」

「気になるのは、何故敵として此処にいるのかだけど」

……王族が敵だという事は、その国が黒幕であるか、或いは洗脳されているかのどちらかだ。

「重要な手掛かりになる……アリシア!殺しちゃダメだよ!」

「……」

僕は叫ぶが、アリシアには聞こえていない。

闇の双剣を引っ提げて幽鬼のような足取りで雷虎に近づいていく。

……エリンを傷付けられて狂戦士化するくらいの怒りを覚えたって事だよね。

「仲間想いは結構だけど、彼女を生かせば根本的な解決の鍵になるんだ!」

僕は剣を抜き、アリシアの前に躍り出た。

「そこまでだよ、アリシア」

言いながら、僕は雷虎を見た。

「……」

気絶している。

「邪魔をしないで下さい」

「嫌だね。もう決着はついた」

「エリンを傷付けた、私にとってトドメを刺す理由はそれで十分です。邪魔するというのなら、マスミも少々痛い目を見て貰いますよ」

「なら、僕が止めるよ」

「……はぁ。〈血餓十字刻(ブラッディクロス)〉!」

「〈水魔斬・燕返し〉!」

アリシアの斬撃を一太刀目で弾き、二太刀目をアリシアに叩き込む。

当然、アリシアを傷つける訳にはいかないので、水の密度と圧力は加減している。

そのせいで、アリシアの魔力を貫いて切り裂くには至らない。

「新技、ですか」

「いつまでも守られっぱなしは御免だからね!〈水流槍〉!」

「くっ……」

近距離から放った水の槍をアリシアは剣を交差させて受け止めた。

「はぁっ!」

闇剣が爆裂し、水の槍も消し飛んだ。

その爆風で僕を足止めしつつアリシアは距離をとった。

「そろそろ眠って貰います」

アリシアが右手の人差し指を突き出した。

アリシアお得意の〈邪閃光(イビルレーザー)〉の構えだ。

……アリシアは何処を狙ってくるだろう、僕を殺すのは無いと仮定すれば、頭と胸以外だ。

ならば、と僕は足元に水を圧縮する。

「〈邪閃光(イビルレーザー)〉」

……まさかとは思ったけどマジで撃ってきたよ!

僕は足元の水を爆裂させて跳躍し、レーザーを回避した。

「なっ!?」

「これでどうだ!」

僕はアリシア目掛けて剣を投擲した。

「!?」

まさか剣を投げてくるとは思ってなかったのか、反応が一瞬遅れた。

強引に上体を仰け反らせて回避したせいで、アリシアは体勢を崩した。

……かかった!

僕は空中で圧縮した水を爆裂させてアリシアの目の前に着地する。

同時に、僕とアリシアの真上を剣が飛んでいった。

「危な……」

……チャンスはこの一瞬。

アリシアを駆り立てているのが怒りであれば、そこから意識を別の方向に向ければ良いだろう。

そんな時、どうするべきか。

……決まってるよね、二回目になるけど……!

「剣を失った貴方に何がで……んむっ!?」

アリシアが上体を起こした瞬間に、強引に抱き寄せて唇を奪った。

どう考えても紳士的じゃないし、スマートでもないが、これが僕に出来る精一杯である。

……後で謝るけど。

「ちょっとマスミ!?」

……あーヤバい、アリシアに謝る前にエリンに殺されるかも。

ともかく、今はアリシアを正気に戻すのが優先だ。

強引に舌を絡め、アリシアの意識ごと貪る気で蹂躙する。

「ちゅ……んぅ……」

「んっ……」

アリシアの身体が僅かに痙攣した。

気が付いたら、アリシアの方からも舌を絡めにきていた。

互いの唇の温度が同じになるくらいではあるが、どのくらい続けているだろうか。

と、その時……

「ふぁあああああ!?何コレ何コレどういう状況!?」

「!?」

突然の叫び声に、僕達は慌てて離れた。

「頭痛に目が覚めて周りを見渡したらとんでもない瞬間を目撃しちゃいました雷虎ちゃん!」

……あ、やっべぇ。

雷虎が目を覚ましたようだ。

「アリシア?おーい、アリシアー?」

「ふぇええ……」

惚けているようで、まるで反応しない。

……えーっと、目的は達成したのかな?オーバーキルだけど。

「……アリシアは後で良いか」

僕は雷虎に向き直った。

「ねぇ、雷虎。君は僕達の敵かい?」

「何で?真澄君と敵対する理由なんて無いでしょ」

「……そっか、良かった」

どうやら洗脳されていて、それが解けたようだ。

「ん?どういう事?」

「えーっと……」

僕は、雷虎は敵に洗脳されシャンバラ襲撃に加担していた事を教えた。

「あ、あー!思い出した!そうそう、そうだった!ゴメンね真澄君!」

「いや、良いんだよ。雷虎も操られて、いた……だけ…………ちょっと待って、何で僕の名前知ってるの?」

僕は雷虎に名乗った覚えは無い。

敵も僕の事は“世界(ワールド)”と呼んでいたし、その洗脳もアリシアの拳と蹴りで解けた筈だ。

「やだなー、真澄君こそ忘れちゃったの?あたし達、同郷の友達じゃん!」

「……え?」

ここで僕は理解した。

僕が彼女を助けたのは、重要な手掛かりだからという理由だけでは無かったという事に。

どうも、篠風 錬矢です!

いやー、ガチギレアリシアさん怖いですね。

ところで、あの二人が真っ当なキスが出来る日は来るのでしょうか?

そこも踏まえて、今後も見守っていただけると幸いです。

次回で二章は最終回となります。

それではまた次回お会いしましょう!

До свидания!

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