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COMIC-MAN  作者: ゴミナント
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着ぐるみパニック!!

最近、なぜか更新当日よりも翌日の方がアクセス数が増えてる。なぜだろう。

「ど、どうしよう…」

 水城さくらは独り、物陰に隠れて息をひそめていた。高校に入って初の校外学習で訪れた、人生初の遊園地に浮かれていた彼女に待ち受けていたのは、因縁根深い『JACK』の罠だった。

「皆…」

 一緒に遊園地を回っていた同級生二人は連れ去られ、最優先排除対象として認識された彼女は今にも敵が襲い掛かって来る恐怖に耐えながらスマホを取り出してコールを続ける。

「お願い…気づいて…!!」

 その電波を感じ取った敵の接近に気づかず、さくらは独り祈り続けるのだった。



「『安全上の問題が発見された為、暫くの間このアトラクションは休止させていただきます』…これでヨシ、と」

 お化け屋敷の入り口に休業中の張り紙を張り終え、俺達は次のアトラクションを探して歩き出す。

「やっぱり、ここみたいな館内アトラクションだよね。多分、そう言う所でお客さんを捕まえているんだよ」

「ああ。そうなって来ると大体限られてくるな」

 お化け屋敷の裏側で探し当てた地図とパンフレットを見比べ、幾つかのアトラクションを除外していく。周囲を巻き込むことを気にしない『JACK』とは言え、不特定多数に悪事の現場を見られることは避けるはず。悪党って言うのは元来そう言うもんだと相場は決まっている。

 そう考えて敵の待ち構えているアトラクションを絞っていく最中、ヒカリのスマホに着信が入った。

「爺さんからか?」

「ううん。さくらさんから。どうしたんだろう…」

 嫌な予感がしてスマホをつける。するとヒカリは文章を読んで顔色を変えた。

「大変!さくらさんが、シューティングモンスターズってアトラクションで『JACK』と遭遇しちゃったって…!!」

「不味いな。急ごう」

「うん!!」

 地図を見ればそれほど遠い訳ではない。シューティングモンスターズに向けて走り出す俺達だったが、その途中ですれ違ったここのマスコットキャラクター『カイッキー』が突如着ぐるみの中からナイフを取り出しアサシンのように襲い掛かって来た。

「何ッ…!!」

 すれ違いざまの一撃を何とか防ぐも、クジラと犬の中間のような姿をした着ぐるみはまるで何事も無かったかのようにナイフをしまい、そして手に持った風船を子供に渡していた。

「和也、大丈夫!?」

「大丈夫だ。それより、ヒカリは水城さんを助けに行ってくれ。俺はあの似非マスコットの正体を探ってから向かう」

「…気を付けてね」

「そっちこそ。終わったら合流しよう」

 お互いタッチして頷き合うと、ヒカリはシューティングモンスターズに。そして俺はちょうど風船が無くなって裏手に向かうカイッキーを追う。

「さーて、あの着ぐるみ、下にはどんなオッサンが入ってるか気になってたんだ。これを機に調べさせてもらうぜ」

 あんな風に襲い掛かって来たんだから、これは十中八九罠だと分かっている。だが、それでも俺は逃げるつもりはない。真正面からぶち破ってやる。

 決意を新たにカイッキーを追い、やがて従業員用の控室と思われる場所を見つける。流石に真正面乗り込むわけにもいかないし、俺は周囲に気取られないようにその付近を探る。やがて見つけた窓ガラスを前に、俺は思わずニヤリと笑って手をかざした。

「むんっ…!!」

 手のひらから高熱が発し、融けた窓ガラスをまるで粘土のようにこねくり回していく。そして人一人は入れるくらいの穴を開けて中に入り、今度はまた元の形に戻して低温で冷やして固めていく。

 イマジネーターってのは何でもアリ過ぎて、自分でも怖くなってくる。これを悪用すれば、どんな犯罪だって思いのままだ。しかしだからこそ、博士の研究をこれ以上悪用させたりはさせない。

 侵入の痕跡を全て消し、あちこちにある監視カメラから身を隠しながら気配の元を探していく。やがて見つけた会議室の前で耳を澄ませると、中に居る従業員たち、いや『JACK』の構成員たちの会話が聞こえて来た。

『やっと奴が来たらしい。警戒を強めて迎え撃て。何としてでもここであの二人を殺し、プロフェッサーDの日本ズタズタ計画を完遂させるのだ。分かったな』

(日本ズタズタ計画…!?なんて安直な名前だ…!!一体何を企んでいる!?)

「すでに日本人の仕分けも十分の七まで終わっています。計画実行まで後半月。ここのノルマが達成されるまでの間、なんしてでも守り抜きましょう!!」

 会議室の中の全員がオオーッと叫ぶ。だけど、俺としてはさっき聞いた日本ズタズタ作戦の内容の方が気になる。

 何とか資料だけでも見つけられないか、と思って姿を隠したまま周囲を探る。その時だった。

「っ!?」

 突如足元に銃弾が着弾し、身を隠すのを諦めて通路に出る。するとそこには、あのカイッキーを初めとしたこのグランドパーク…と言うか、海映のマスコットキャラクターたちがそれぞれ武器を構えてずらりと揃っていた。

「クックック。馬鹿め。おびき寄せられたとも知らずに」

「…夢、壊れるなぁ」

 ショットガンを構えるカイッキーを中心に、アサルトライフルのような銃火器を装備したマスコットも居れば金属バットにナイフなど、見るからにバイオレンスな武器を構えているマスコットも居る。おまけに緩そうな着ぐるみにそれだからか、見るからに子供の夢をぶち壊しに来たとしか思えない光景だった。

「葦原和也、日本ズタズタ計画を知った以上、ここで死んでもらうぞ!!」

「日本ズタズタ計画だかなんだか知らないが、お前らの野望は俺が必ず打ち砕いてやるぜ」

「ほざけ!この試作型ナノマシンで改造した着ぐるみ型のイマジネーターの実力を見せてやる!!」

 その言葉と共に、カイッキーたちは着ぐるみとは思えないような軽快かつ素早い動きで襲い掛かって来た。

「迎え撃つ!そんで全員中身引きずり出してやるぜ!!」



「さくらさん…!!」

 シューティングモンスターズの館に駆け込んだ私は、受付に誰も居ないことを確認して眼鏡のスイッチを入れる。すると色々なセンサーに反応が次々と現れた。生命反応に動体センサーを中心に探してみると、どれが誰だかまでは分からないけど、どうやら中で一人が襲われているらしい。

「急がないと」

 フライトスーツのスイッチを入れてアトラクションの中に突入する。眼鏡の集音機能を付けなくても銃撃音が聞こえて来た。おまけに一緒に聞こえてくる着弾音は明らかに銃弾がどこかに当たった音だ。

「えいっ!!」

 扉を蹴破り、私はシューティングモンスターズのアトラクション内に足を踏み入れる。そこはどこかの秘密組織の基地の中という設定で作られた特殊な通路で、身を隠す場所と襲い掛かって来る敵の人形だけがあった。多分、本当なら事前に渡された銃で人形を撃ちながら進んでいくんだろうけど、今はそんなことをしている場合じゃないし足裏ジェットのホバリングで一気に突き進んでいく。

 そして、しばらく進んだところにある開けた場所で、ついに私はさくらさんを見つけることが出来た。だけど、そこでさくらさんは屈強そうな男たち三人に銃を突きつけられてホールドアップさせられている所だった。

「さくらさん!!」

「天龍寺さん!!来ちゃダメ!!こいつらは…!!」

「うるせえ!!」

 何か知らせようとしたさくらさんを、男の一人が銃底で殴りつけて無理矢理黙らせる。その光景を見た私は思わず頭に血が上った。

「あなた達!女の子に手を上げるんじゃないって、子供の内に習わなかったの!?」

「はあ?」

「馬鹿じゃねえのか?俺たちゃ金さえ積めばなんでもする傭兵だぜ?」

「『JACK』にたんまり金貰ってるんだ。そんな程度の良識なんざ、とっくの昔に溝に捨てたよ」

 馬鹿笑いする三人に、私は決心して拳を構えた。こいつらは野放しにしちゃいけない奴らだ。ここで倒して、さくらさんを助けないと。

「そういやこのガキ、ターゲットの一人だな」

「ああ。特別ボーナスが貰えるはずだぜ」

「確か百万ドルだったか。そんな価値があるモンかね?これが」

 おもむろに銃を向けてくる傭兵に、私は一切の躊躇なく足裏ジェットを吹かして飛び上がり、そのまま飛び蹴りを放つ。

「ぐおっ!?」

 予想外の攻撃に動揺した傭兵たちに、私は足裏ジェットをさらに吹かしてまとめて風圧で吹き飛ばす。三人纏めて体勢を崩したのを確認して着地し、フライトスーツのパワーアシストに任せて傭兵の横っ面を張り飛ばし、その流れでその傭兵の銃を奪う。

「な、なんだと!?」

「ただのガキじゃねえってのか!?」

 今頃気づいても遅い。私は返答代わりに奪ったサブマシンガンで三人の傭兵たちを撃つ。眼鏡のお蔭で服の下に防弾チョッキを着ていることくらい分かっているから、数発当たった程度じゃ死ななない。ちゃんとお腹の辺りに二・三発打ち込んだところ、傭兵三人は白目をむいて気絶してしまった。

「これ以上痛い思いしたくないなら、女の子を甘く見ないことね」

 サブマシンガンを捨て、私は転がっている傭兵たちを無視してさくらさんの所に走る。

「さくらさん…!!」

「天龍寺さん、ありがとう…でも、どうしてこんなことに…」

「この遊園地は、『JACK』の奴らの施設だったの。多分、ここにも掴まってる人たちがいるから、一緒に助けましょう」

「うん。分かったわ。一緒にやろう!!『JACK』の奴ら、もう許さないわ!!」



「ぜりゃあ!!」

 ハイキックが決まり、吹き飛んだ着ぐるみが壁にぶち当たって動かなくなる。

「そ、そんなぁ…」

「後はお前だけだな、カイッキー!」

「うっ…!!」

 奴の話を聞いた限りでは、どうやらこの遊園地に存在する全ての着ぐるみを改造し、試作の量産型イマジネーターの性能テストも兼ねていたこの戦闘。予定であれば今頃コミックマンに変身した俺をコテンパンに叩きのめして報告していた頃だったんだろうが、残念ながら俺は変身する必要性すら感じなかった。

「プロフェッサーD製…ねえ?だから弱いんだよ。あのジジイに言っとけ。個人の想像力を、棺桶に片足突っ込んだジジイが制限するなってな」

「な、なにを!?」

 カイッキーの撃ったショットガンの弾を蹴り返し、生身で必殺技と同じポーズを取る。

「いや…その前に俺が潰してやるぜ!!」

 生身でも二・三メートルくらいならば軽々と跳躍出来る膝のバネを使い、跳躍力を突進力に変えて突撃し、すれ違いざまにパンチを叩き込む必殺技。結局名前は決まらなかったが、それでも威力は折り紙付きだ。

「うわあああああああああ!?」

 大ダメージを負って吹き飛ぶカイッキー。俺は子供の頃に少しだけ見ていたカイッキーのビデオを思い出しつつ、ナノマシンの気配の消えた控室を見渡した。

「さて、計画書を探すか」

 会議室のどこかには、まだ何かあるはずだ。そう思い、俺は会議室に足を踏み入れるのだった。

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