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COMIC-MAN  作者: ゴミナント
55/75

インセクト・キメラ

遊戯王にタイトルっぽい名前のカードがある気がする。因みに、私の世代はDM(もしくは原作漫画)です。5D'sで脱落しました。カードゲームのルールが訳分からない次元に到達してやらなくなったため、アニメも見なくなりましたね。なんです?シンクロ召喚とかエクシーズ召喚って。生贄召喚と融合召喚、儀式召喚でいいじゃないですか。

 ルリが気が付くと、そこはめちゃくちゃ豪華なベッドの上だった。

「え、ええーっと?ナニコレ」

 ふて腐れていつもの秘密基地でいじけていたら、いつも通りアヤがやって来て、それで…。

「って、これ…」

 取りあえず起き上がろうとするが、体が動かせないようにと拘束されていて、おまけに着ている服は体操着のままだからか、体のラインがくっきり見えてやけに卑猥だ。

「ちょっと!!何よ!!私をどーするつもりだーっ!!」

 力の限り暴れるルリ。しかしどれだけ暴れても逃げられる気配などなく、次第に疲れてしまったルリはベッドの上でぐったりする。

「ルリ…」

「アヤ!?ちょ、何よこれ!!外してよ!!」

「ああ、ルリ…可哀想ね。私が助けてあげる」

 アヤはそう呟きながらルリの体に手を伸ばす。

「あ、アヤ?助けてくれるのはありがたいんだけど…手つきがなんかいやらしくない?」

「そお?いつも通りじゃない。いつもルリが私にやってくれることでしょ?」

 そう言ってアヤの手がルリの身体をまさぐり始める。そのやたらエロいテクニックに、ルリは思わず背筋を冷たくする。

「ま、まさか!?今までその巨乳を恨んでやってきたことを、このピンチを期にお返しする気!?わ、悪かったから!!ただ、私だってもうちょっと胸のサイズに希望が欲しかっただけで…」

「クスクスクス…」

「アヤ…?」

「私がルリを恨んでる?そんなことないわ。だって、私はこんなにもルリが大好きなんだもの」

「ひっ…!?」

 そう言うアヤはルリの首筋に手を伸ばし、拘束されたルリに馬乗りの形で圧し掛かる。なんだか良く分からない恐怖に襲われ、ルリは引きつった顔で言葉を失う。

 なに、これ。アヤは親友の筈なのに、なんでアヤに襲われているの?これ、明らかに性的に襲おうとしている体勢だよね?同性なのに。

「あ、アヤ?お、落ち着いて?ね?私もアヤのこと大好きだし、そりゃあ今まで何度かその巨乳を妬んで襲ったことはあるけどさ、ね?あくまで同性の友人の一人としてのスキンシップの範疇として…」

「え?」

 不味い、選択肢を間違えた。

 ルリがそう判断したのは、目の前のアヤの目のハイライトが消え、首筋に当てられた指の力が微かに強くなったのを感じてのことだった。

「友人の一人?なにそれ。私はもしかしてルリにとってその程度の認識だったの?私、ずっとルリのことを想ってたんだよ?ルリの一番になりたいって。なのに、ルリは私をその他大勢みたいな感じで見てたの?ねえ、そうなの?」

「え?ええ?ちょ、ちょっと待って。何か勘違い…」

「してない」

 更に顔を近づけ、ルリの匂いを嗅ぎ始めるアヤ。その上首筋に顔を擦り付け始めるが、その肌の温度はまるで昆虫に触れたかのように冷たかった。

 正気を失ったと思われる友人の急変と、その友人から発せられるあまりの恐怖に震えるルリ。しかし、その怯えすらもアヤは愛おし気に見つめる。

「可愛い…ずっと、ずっと想ってたんだよ?いつか気づいてくれるって信じてたのに…」

「ちょっと待ってよ…も、もしかして、アヤってソッチ系だったの…?」

「愛に性別は関係ないでしょ?」

「い、いやー…関係、あるんじゃないですかねぇ…ひいっ!?」

 目前のアヤの目が紅く充血し、首筋から離れた手はゆったりとルリの顔に触れる。怖い。めっちゃ怖い。しかし逃げ出せない。

「い、言っとくけど!私、ノーマルだからね!?アヤがそう言う性癖なのには驚いたけどさ!?べ、別にだからって友人関係解消しようとか言わないし!!」

「そう?」

「そう!これからも仲のいい友達でいよう!?ね!?私には誠っていう彼氏が…!!」

 しかし、その言葉を聞いたアヤは目を見開く。その一言に怒りのボルテージが最高潮に達してしまったのだ。

「あの先輩が…そんなに好きですか!?」

 アヤは金切り声を上げ、そして彼女の怒りに反応してか彼女の額に二対の触覚が皮膚を破って急速に生える。

「ひいっ!?ちょ、ちょっと!?なんか生えたよ!?」

「私がどんな想いでこの二年間を過ごして来たか分かる!?分からないよね!?幼馴染だからってあんな先輩と付き合って!!」

「あ、あんなって…」

「ずっと…この二年間ずっと想ってたのよ?初めて会った時からずっと想ってたの。私達のクラスは転入組が少なくって、クラスに馴染めない私を助けてくれたルリが大好きになった。貴女はクラスの人気者だったけど、それでも一緒の部活に入ったから話してくれる時間も皆よりずっと多くて、それが嬉しかったのよ?分かる?」

「わ、分かりません!!」

「分かってくれなくてもいいの。でも、私はずっと考えてたの。この想いは何なのかなって。貴女と一緒に居ると楽しくって、嬉しくって、幸せで、安心できて、興奮出来て、優しくなれて、恍惚的で、快感で、愛らしくって。幸運だったし何もかもに感謝出来たしリラックス出来たし名誉にも感じれた。貴女が一緒に居ないと不安だったし焦っちゃうし緊張しちゃうし怖くなっちゃうし嫉妬しちゃうしそれに罪悪感も出ちゃうし悲しくなっちゃうし。これってなんなのかしら?これが愛なのかなって思ってずっと悩んでた。相談したくてもルリはあんな人と付き合い出しちゃうし、誰にも言えなくって…!!」

 アヤはそう言いながら触覚をどんどん伸ばし、更には目が膨れ上がって複眼に変わり、全身の肌も黒い外殻に変わり始める。背中には翼、手は鍵爪、足は細く分裂し、口元は顎が割れるようにして牙が生える。

 これは、虫だ。様々な虫のキメラが、アヤと言う人間の骨格を得て巨大化している。そのあまりに悍ましい姿に変貌した親友を前に、ルリは言葉を失って見つめるしかない。

「けどね?聞いて。私、やっと分かったの。この力を手に入れてね、色んな所の女の子の姿を見てみたの。初等部から高等部、それに回りの大学や幼稚園や保育園に老人ホームまで。色んな女の子を見て、ようやく分かったの。私が大好きなのは、女の子じゃないの。貴女だけなのよ。ルリ。だから、もう我慢できなくなっちゃって。ね?―――――食べさせて?」

「ひっ…!!」

 恐怖のあまり硬直していた身体が暴れ出す。逃げろ、早く逃げないと殺される。その一心で力の限り暴れるも、拘束から解放されることはない。

「だ、誰か…っ!!誠…!!」

 必死に逃げよとしつつも、これでは逃げられないと頭では理解出来ていた。それ故か、口を突いて出たのは恋人の名前だった。しかし、それが目の前の虫と化したアヤの怒りの火に油を注いだ。

「何で…!!私の名前を呼ばないのォォォォォ!!」

 鍵爪を尖らせ、アヤはルリの胸に突き刺そうと振り下ろす。ここまでか、と目を閉じたルリ。その時、窓ガラスを突き破って一本の剣が飛び込んできた。

「何…!?」

 剣は虫の鍵爪に当たり、アヤは腕ごと吹き飛ばされて壁に激突する。

「な、何なの…?」

 腕を壁に縫い付けられ、動けないままアヤは割れた窓の向こうに居るはずの侵入者を睨む。侵入者は窓を蹴破り、拳を握りしめて言い放った。

「平日昼間のドロドロの昼ドラの真っ最中に悪いな。あんまり教育上宜しくないんで、こっからこの枠はニチアサに変更させてもらうぜ」

 コミックマンはそう言い放ち、腕を引きちぎって襲い掛かって来たアヤと戦いを始めた。



 同性愛虫女のイマジネーター。長いな。取りあえず虫女と名付け、俺は再生した鍵爪をカマキリの鎌に変えて斬りかかって来る虫女にカウンターパンチのボディブローを叩き込む。ダメージを負って後ずさる虫女を前に、俺は後ろで壁に突き刺さっているボードブレードを再度呼び戻す。

「かあっ…!!」

「背後がお留守だぜ。そのお飾りの複眼じゃ、背中の後ろは見えねえか?」

「お、お前ぇぇ!!」

 カマキリの鎌を消し、クワガタの顎を出現させて喰らいついて来る虫女。素体のアヤって子は中等部のマドンナらしいが、そんな子に噛みつかれてるなんて思えないほど恐ろしい光景だ。

「ふっ!!」

 両手でクワガタの顎を掴み、そのまま力の限り押し返す。予想以上の力に、一瞬だけ拮抗するも、すぐさま俺のパワーが勝ってクワガタの顎にヒビが入り始める。

「あがっ!?」

「痛いか?顎裂きなんて、特撮でも滅多にやらないヒールプレイなんだが…そうも言ってられないんでな!!」

 フルパワーでクワガタの顎をはじき返し、虫女の顎がベキッと言う嫌な音を立ててへし折れる。

 思わず悲鳴を上げて後ずさる虫女に渾身のヤクザキックを叩き込み、虫女は部屋の窓ガラスを突き破って外に吹き飛ぶ。

 俺はその隙を突き、ボードブレードで呆気に取られてるルリの拘束具を破壊する。

「これで動けるだろ?さっさと起きな」

「あ、ありがとうございます…?で、でも…」

「礼ならお前の彼氏に言っておけよ。お前の為に必死になって頑張ってたぜ。そろそろ迎えが来る頃だろうし、ここで待ってろ」

「え?ど、どう言うこと…?って、そうじゃない!!アヤをどうするの!?どうなるの!?」

 ここに来て、イマジネーターになった親友のことを心配するルリ。相変わらずのお人よしっぷりに思わず笑ってしまう俺。やっぱり、ルリは俺よりもずっとヒーローに向いてるよ。

「安心しろ。薬を打たれて暴走してるだけだ。俺が何とかする。明日には元に戻ってるさ」

「ほ、本当でしょうね!?」

「信じろ。ヒーローをな!!」

 窓ガラスの向こうで起き上がり、足をバッタに変えて飛び上がる虫女。このまま逃げるのか、それとも天井からもう一度ルリを連れ攫いに来るのか。だが、どちらでも俺のやることは同じだ。

 全速力で窓ガラスの向こうに走り、ボードブレードに乗って跳躍した虫女を追う。どうやら飛び上がって一時退却する予定らしい。素体はお嬢様だから、セーフハウスはいくらでもあるんだろう。

 だが、そうはさせない。フルスピードで飛び、翼を生やして飛ぶ虫女の前に躍り出る。

「ううっ!?」

「必殺技の時間だ!時間が無いから早めにな!!」

 足と膝のバネを最大限に生かし、空中でボードブレードを足場に突撃する。そしてすれ違う一瞬の間に渾身のパンチを叩き込むと、虫女は派手な爆発と共に消滅し、後に残された素体のアヤと言う女子中学生だけが残されていた。

「ナノマシンの気配は消滅っと…まあ、一応グループに送っとくか」

 俺は救出したアヤを抱きかかえ、この街で一番目立つ天龍寺グループ本社ビルに向けて飛んでいく。しかしその途中、俺は自転車でルリの居るあの一軒家を目指して走る誠を見つけて止まった。

 気づかれないように少し離れた位置から様子を伺う。聴覚は強化されているから、部屋の中でどんな会話がされているかも分かるのだ。

「ルリぃ!!」

「あ、誠!!」

 俺からの連絡で教えて貰ったルリの居場所にたどり着いた誠。そこに居たのは、少しだけ体操着を破られただけで傷一つないルリだっただろう。

「良かったぁ…!!」

「ありがと…!!本当に誠が来てくれた…!!」

 そう言って二人が抱き合う音が聞こえ、俺はそれ以上の盗聴は悪趣味と思って飛び立つのだった。

感想待ってます。

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