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COMIC-MAN  作者: ゴミナント
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休日の過ごし方?

今回は二話完結でいきたいですね。

 ヒーローの日曜朝は色々と忙しい。天龍寺邸に暮らす俺達は、家事など一切しない爺さんを除いて俺とヒカリしか居ない。そのため色々と倫理的な問題があるので、洗濯機はそれぞれに用意されている。俺と爺さんの使う男性用と、ヒカリの使う女性用だ。まあ、女性用を使うのはヒカリだけだが。

 まあその為俺は二人分の洗濯物を毎日洗い、外に干して夕方には入れるという生活を続けている。ちなみに干す場所も別々だ。まあその方がお互いの精神的に良いだろうと言うことで自然に決まった。

 なので俺は毎日朝の六時前に起きて、まず最初に三人分の朝食の下ごしらえをする。この時の三人分とは、実質一人が五人分食うので七人分なのだが、量さえ予め分かっていれば大した労力じゃない。二台の炊飯器にミネラルウォーターで洗った米をセットし、七時に炊けるように設定すると昨日の分の洗濯物を洗う。何気に量が多いのでこれで大体三十分。その後のおかずの調理の時間を考えれば、七時まで腰を下ろす暇も無い。

「…で、誰も起きてこない、と…」

 それだけのことをやってのけた俺をよそに、二階の各部屋からは爺さんのいびきとヒカリの穏やかな寝息が聞こえてくる。まあヒカリは昨晩遅くまでルリと電話で喋ってたし、爺さんも前日に飲み会があったらしい。二人共疲れているんだろうが、平日は六時半、休日には七時に朝食が食べられないとぶーぶー文句を言うくせに、せっかく用意したらこの仕打ちは中々エグイんじゃなかろうか。

「ま、いいか。あと三十分だしな」

 取りあえず二人分の用意をするだけして俺一人で食べる。傍らに置いた今日の朝刊を横目で読みつつ朝食を食べ終えるとちょうど三十分が経過。俺はリビングルームのテレビのチャンネルをヒーロータイムに合わせ、コーヒー片手にリラックス。これから一時間は誰であろうと邪魔は…。

「きゃああああああ!?」

「あ?」

 二階からヒカリの悲鳴が聞こえ、ドタバタと慌てた音がする。ようやく始まったオープニングから目を逸らして階段に目を向けると、まだ半分着替えの途中のヒカリが慌てた様子で階段を駆け降りてくる所だった。

「か、和也!?い、今何時!?」

「七時半だろ。このオープニングが聞こえねーのか?」

「あー!もうどうしよー!?八時に約束してるのに!!」

「八時?どこに?」

「駅前!!朝ご飯、どこ!?」

「ったく、しょうがねえな」

 CMに入ったのを確認しながら立ち上がり、ヒカリ用の朝食を並べる。しかし、並べた端からヒカリの口の中に消えていくのを見て思わず手が止まった。

「本当に胃袋がブラックホールで出来てるんじゃないのか?」

「そんな冗談言ってる場合じゃないのっ!ごちそうさま!!行ってきます!!お昼は帰ってこないからっ!!」

 まだ用意した分の半分しか食べていないのに箸を投げ出し、大慌てでローファーを履いて外に飛び出すヒカリ。テレビの左上を見てみれば、既に時間は七時四十分。

「駅前…確か、普通に歩いて三十分以上かかるよな…」

 まあ、だからと言って車の免許を持ってる訳じゃないからやってやれることなんてないんだが。

「ま、謝りゃする話か。っと、もう今週のロボ戦始まってるじゃねえか」



「はぁ…はぁ…ちょっとまずいかな…?」

 腕時計を見れば、既に時間は七時五十分。駅前までまだまだ遠いし、昨日の予定ではこの時間にはもう着いてる予定だったのに。

(このままじゃ、二人に迷惑掛かっちゃう…こうなったら…!!)

 普段から肌身離さず所持しているカードキーをセットし、腰の部分に付いた操作盤のスイッチを入れる。周囲に人影は無いことだけ確認した私は足裏ジェットを吹かして飛び上がった。

「行けっ!!」

 生憎まだまだ人はいないことをいいことに、私は最高速度で空を飛んで駅前に向かう。そして駅前広場が見える場所までたどり着いた時点で、時刻は七時五十五分。何とかギリギリ間に合った。

 ホッとした私はそのまま人影の無い裏路地に着地して、最小限の身だしなみチェックだけ済まして駅前広場に走る。既に待ち合わせ相手は二人共そろって居た。

「ご、ごめん!寝坊しちゃった…!!」

「寝坊?でも、時間通りだよ?

「そうそう。いいですよ別に。誠や和也と待ち合わせしたらこんなもんじゃ済みませんし」

 それぞれ休日ファッションに身を包んだルリちゃんとさくらさんを前に、私はちょっと気後れしつつも呼吸を整えた。

「ほんと?」

「うんうん。これで時間もちょうどいいし、そろそろ行こっか」

 一番年下の筈のルリちゃんに仕切られ、私とさくらさんは電車に乗って街を出る。行き先は先週オープンした大型ショッピングモールだ。

「いやー。にしても、オープン早回しは嬉しいね」

「ええ。確か、歓楽街近くのショッピングモールはテロで壊されちゃったんだっけ」

「あっ…あーうん。そう。確か、そうだったね」

 さくらさんの言葉で思い出してしまう、和也との共同生活が始まったあの日の戦い。確かあの後、結局海外のテログループの暴発だったと発表されて、そのまま人が寄り付かなくなっちゃってたんだっけ。

「まーでも、この街にテロなんて信じらんないよーな、何となく分かるよーな。なんでだろ?」

「そ、そう?」

「そうなの、かな…?」

 首を傾げるルリを前に、私とさくらさんは思わず顔を見合わせる。この間の盗撮事件の際、巻き込まれたと言うか被害にあってしまったルリちゃんと犬飼君。私と和也はなんとか誤魔化すか正直に話すかで悩んでいたけど、おじいちゃんは一般人が『JACK』に関わるべきじゃない、と言って二人に記憶処理を施しちゃった。

 一応、催眠術と脳波コントロールで『JACK』とイマジネーターとコミックマンの三つに関する記憶を消したらしく、昨日の電話でそれとなく聞いてみると何も覚えていないと言うことだった。なんだか怖い。

 ただ、さくらさんはその記憶処理が出来なかったらしい。どうも、かなり記憶の深い所にまで『JACK』等のことが刻まれてしまったらしくて、病院を出るときに、一切口外しないと言う誓約書まで書かされていたっけ。

「あそこも看板と専門店を変えてリニューアルするらしいし、今度はそっちにも行ってみようよ」

「そだねー。けどまあ、今日の所はあそこ!」

 ルリがビシッと窓の外を指刺すと、そこには今日の行き先の大型ショッピングモールが見えていた。



(うん。今週も中々良かったな。まさかあんなダサい玩具がカッコ良く見えるとは…これだから日曜朝のヒーロータイムは侮れない)

 次の番組の少女向けアニメの宣伝が始まるのと同時にチャンネルを切り替える。すると、地方局の特集で最近出来たばかりのショッピングモールが映っていた。

「ふあ~あ。全く、年寄りをこの時間まで放置するなんてあり得んじゃろ。起こしに来るくらいの気は効かせられんのか」

「寝言は寝て言え…ったく」

 ぶつくさ文句を言う爺さんを前に少しイラッとしつつ、俺は爺さんの分の朝食を机に並べる。そしていつも通りの朝食の中身に対するイチャモンを無視してリビングのソファに座ってテレビを見ると、そこにはちょうど開店したショッピングモールに入っていく客たちが映っていた。

「冷奴が冷たすぎるぞ。冷凍物じゃなかろうな」

「豆腐を凍らす馬鹿がどこに居るんだよ。常温の醤油をかけりゃちょうど良くな…うん?」

 爺さんを無視してテレビを見る。今、明らかに見覚えのある顔が映ったような…。

「おい、聞いとるのか?」

「いや。聞いてない。そうか…ヒカリ、やけに慌てて出ていったかと思えばあそこに行ってたのか」

「なんじゃ?ヒカリ?テレビに出とるのか?」

「さっきチラッとな。さて、俺は何をするかね…?」

 自分の部屋に上がって、漫画のネームを仕上げるか、それとも図書館に行って新しい資料を探すか。どっちも良さそうだけど、まだシナリオや台詞回しに設定の整合性を組み立てる作業が万全じゃないし、図書館に行って資料探しの方が良いかもな。

「じゃ、俺も出るか。爺さん、戸締り宜しく」

「あ、おい!ワシ一人置いていくんか!?」

「孤独死するタマじゃないだろ。じゃ」

 爺さんを置いて図書館に向かう俺。既に時間は八時四十分。昼過ぎには帰って来るか。



「あ、チキンカレー大盛りも追加でお願いします」

「は、はいぃぃぃ」

 笑顔の引きつった店員さんに首を傾げつつ、私は呼び出し機を受け取ってテーブルに戻る。するとそこには、呆れ顔のさくらさんと諦め顔のルリちゃんがドリンク片手に新しく届いたハンバーガーセット六人前から目を逸らしていた。

「ほんと…天龍寺さんってよく食べるよね」

「さくらさん…こんなもんじゃないですよ。この人の胃袋はブラックホールですから」

「和也と同じこと言ってる…」

「誰でもそう思うんですよ!!」

 ルリちゃんのツッコミに首を傾げながらハンバーガーを食べる。仕方ないじゃん。寝坊しちゃって、朝ご飯がほとんど食べられなかったんだもの。

「これだけ食べて…そのスタイル…」

「やっぱり、食べた分だけ胸に…」

 恨めそうな二人の視線。すっかり慣れたけど、やっぱりこの大食いはオカシイのかな。でも、食べないとお腹空いて動けないし、仕方ないよね。

「それにしても、人で一杯だね。なんだか落ち着かないな」

 さくらさんの言葉通り、見渡す限りと言うか足の踏み場にも苦労するくらいの人混みだった。少子高齢化なんて言われてるけど、こんなに人が居るんなら嘘なんじゃないかって思ってしまうくらい。

「昼の十一時半でこれかぁ。正午に来てたら心が折れてたね」

「レストランの方も満席だし…それに、ヒカリさん居ますからフードコート以外に行けませんしね」

「え?」

 意味が分からなくて不思議そうな顔をする。だけどその顔に、ルリちゃんとさくらさんは心底あきれ果てた顔で頭を振った。

「あーもう!神様は不公平よ!!なんでこんな暴飲暴食女にこんな抜群のスタイルを寄越して、毎日頑張ってる私には…!!ううっ!!」

 自分で言って泣き出してしまうルリちゃん。貧乳コンプレックスなのは知ってたけど、まさか自分で地雷を踏みしめちゃうとは。

「泣かないの。ちゃんと彼氏だっているんだしさ。私なんか未だに彼氏ゼロだよ?」

「ううっ!!お二人には永遠に分かりませんよ!!中一で成長が止まった絶望がぁ!!」

「え、まあ…もう高校生だし…」

「そう言う問題じゃないんですよぉ!!もう!!酷い!!鬼!悪魔!人でなし!!その二つの乳袋爆発してしまえーっ!!」

 ルリちゃんの魂の悲鳴が轟いたその時、大混雑しているフードコートですら聞こえるほどの爆発音と衝撃が発生した。

感想待ってます。

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