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ACシルク始動!

ACシルクが指定管理者となり一週間が経過した。

その間、草太・レベッカ・クラウディア・サブリナの4人はガンサ小学校の大掃除に明け暮れていた。

「まずは使うところから掃除をしよう。まず職員室は俺達が事務所として使って、校長室は来客室として使おう。あとは、体育館と更衣室を選手用として掃除かな。」と、草太が号令をかけたからだ。

正午を回ると、サブリナは荷物を片付けて「お先に失礼します。」といいガンサ小学校をあとにした。

レヴィーから学費援助を受けた彼女はガンサ小学校から徒歩15分ほどの場所にあるシルク駅から1時間ほど魔法で動いているらしい列車に乗って州都のソレセ市にある私立ホーブ学園の夜間高校に通うためだ。

クラウディアは職員室から校庭を見渡し、レベッカに声をかけた。

「スノリマ農園の方々の草刈り、終わったみたいですよ」

腰の高さまであった雑草は、スポンサーであるスノリマ商会の子会社であるスノリマ農園の従業員によってきれいに刈り取られていた。

「そうね。本当は芝生を植えたいところですけど、まだ私たちには資金不足なのが残念です。でも、ようやく掃除も終わりましたね。」

「そうですね。私は昼から営業に行ってきます。クラブの初練習を見届けられないのが残念ですが」

そう言い、昼休憩が終わった1時になるとクラウディアは鞄をまとめてスポンサーへの営業回りに出かけた。

草太は机に座り帳簿とにらめっこするレベッカに声をかけた。

「ようやくここまで来たね。今日から選手の初練習だ。レベッカがいなかったらここまで来れなかった。」

「何言ってんの。これはソウタの努力の成果よ。」

3時になり、監督のナムが妻のイーチェンと共にやってきた。

「ソウタ!ワクワクするな!ついに5時から初練習だ!」

「早いね。」

「まだコーチもいないし、練習メニューを考えるのも一苦労なんだ。イーチェンにはサポートをしてもらうことにした。」

「イーチェンさん、良いの?給料出せないよ?」

イーチェンは微笑んだ。

「問題ないわ。夫が働きすぎて倒れたら困るし、台北での大学時代はバスケットボール部のマネージャーもしてたから。

それより……。

What were you doing in Japan before you were reincarnated into the Kingdom of Aurora?」

突然の英語にレベッカは「あ、結婚式の時みたいにまたよくわかんない言葉を話してる!それ、ソウタが動揺するんだからやめてもらえる?」と不満を漏らした。

「大丈夫だよ、レベッカ。イーチェンさんは、俺がアウロラ王国に来る前は何してた?って聞いてるんだよ。僕とイーチェンは国は違うけど、同じ世界にいたんだ。ちなみに、東京で大学生だったよ。イーチェンさん。」

ナムも顎に手を当てた。

「お前が言うニッポンもイーチェンが言うタイワンも、世界地図をくまなく探してみたがどこにもそんな地名はないんだよな。」

そこでイーチェンは話を遮った。

「ま、私はこの世界に来て5年。

全然母国とのつながりが分からないわ。だから草太さん、同じ地球人としてのよしみとして言うなら、あまり深く考えすぎないことね。メンタルヘルス的にも。

それもあって私はこの村で出会ったナムと結婚したわ。もちろん愛し合ってのことだけど。

あなたもそうしたら?」

そして5時前になり、選手たちがぞろぞろと体育館前に集まり始めた。


草太、レベッカそして、イーチェンはナムとともに体育館前に移動した。

名簿にはこのように書かれている。


『監督

ナム(25)

GK

ビョルン(34)

DF

アルバロ(23)

セドリック(21)

ダンテ(22)

エリク(20)

グスタフ(24)

ルピ(21)

MF

フェリクス(22)

ウーゴ(23)

イヴァン(20)

ハビエル(21)

マルコ(22)

ニコ(19)

オスカル(24)

FW

パブロ(23)

クエンティン(20)

ラファエル(22)

セルヒオ(21)』


草太、選手たちにあいさつをした。

「皆さん。私がACシルク理事の戸河内です。皆さんには初期メンバーとして、プレーだけでなく地域の貢献にも期待しています。」

すると、選手たちからは「よろしく!」と声を返す選手もいれば、「うーす。」と気だるそうな返事をする選手、一瞥だけする選手など想定外の反応だった。

(……大人として大丈夫か?)


「よーし、それじゃあ早速アップから始めるぞー」とナムが声をかけ、選手たちはグラウンドを軽く走り始めた。

草太は小声でナムに声をかけた。

「なぁ、ナム。俺はサッカー選手の経験はないから、練習メニューや戦術に口を出す気はあまりないけど、なんか意識して走ってる選手とダラダラ走ってる選手に差があるような……」

ナムはため息をついた。

「まぁ、そこも指導していくしかないな。俺も彼らの年齢に近いから舐められてるのかもしれない。」

兎にも角にも、こうしてACシルクは始動した。

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