第67話 四刀を持つ女侍
アレックスはノートに「話は外で聞くと書いて」、温泉宿から離れた。
直感で感じていた。
彼女はただ者ではないと。
傘のような帽子、着物、そして四本の刀を持っている。
とりあえず、タツミたちから離れた森に行こう。あそこなら戦える。
「本当に喋らないのですね。ガルミ様が言った通りですね」
「……………………」
やはり墓地で戦ったあの者の差し金だったのか。
警戒しながら森の中の開けた場所に着いた。
黙って一人で戦うことへの罪悪感と、この人だけは絶対にオリバーに合わせちゃいけないという思いが、胸の中で渦巻いていた。
だが決断はもうしている。
主を守るために、この身体も、鎧も、聖なる鞘も……君に捧ぐ……タツミ様。
「ここでやろう」
ノートに書いて見せると、互いに武器を抜き、構えた。
相手は二刀流。
戦った経験は少ないが、この世界では何が起こるかわからない。
一体どんな能力を持っているのか……。
嵐の前の静けさが続くかと思ったが、ほぼ同時に動いた。
剣と刀が激しく交差する。
彼女の目だけに、不安の色が浮かんでいた。
あの目は、確実に人を殺める覚悟の目だ。
オリバーとは絶対に戦わせてはいけない。
日々着実に強くなっているが、まだまだ未熟で、強者との経験も少ない。
短い期間ではあるが、剣を教えた師として……戦わせない。
剣と交わりながら、彼女を蹴って距離を取った。
相手の刀で防がれるが、着実に追い詰めている。
「中々やりますね。鎧を着ているのに私の速さについてこれるし、息も切れていない」
「終わりにしましょう……」
すると彼女は目の前から消えた。
———グサッ。
後ろから刺された。
胸から突き刺さった刀の刃は、抜けなかった。
だが、そんなことは問題ではない。
見えなかったし、鎧がいとも簡単に貫かれた。
鎧に開いた穴を見ると、突き刺されて破ったようには見えなかった。
まるで鎧が溶けているみたいに、変形していた。
これが彼女の能力なのか……。
「ねえ、何で血が出ないの? 君」
「もしかして、人ではないのか」
「…………人ではないのなら、苦しまずに死ねて良かったな」
彼女は再び距離を取り、両方の刀を地面に突き刺し、背中の二刀を握った。
『『無刃ノ型 酸斬 !!!』』
と大声で言い放ち、刀の刃から液体が滴り始め、大きく振り下ろす。
まるで大きな波のように、目の前の俺に酸の波が迫った。
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