第50話 星の導き ギアチィオンスター
優男は「うわわわわわわーーっ!」と叫びながら、教会を飛び出していった。
その直後、オリバーとメリアが目を覚ました。
「あれっ?」
「あいつはどこに……?」
オリバーは開け放たれた扉を見て、すぐに察した。
「……逃げたわね、あの人」
「とりあえず下に行くか」
⸻
一方その頃、タツミは一人で男たちに囲まれていた。
「グヘヘ、お嬢ちゃん、こっちへ――」
「――邪魔だ!」
オリバーが叫びながら、勢いよくドアを蹴破って入ってきた。
しかし、丸出屑はドアを立て直そうとして、その後ろにいた。
「うん? 何だ?」
バターン!
「グハッ! またかよ!」
「ぐっ……クソ〜……」
またしてもドアの下敷きになってしまった。
「オ、オリバー!」
奥からタツミの声が聞こえた。
オリバーは風魔法を使い、一気に距離を詰める。
そして、タツミに剣を向けていた男の剣を素手で掴んだ。
「こ、こいつ……剣を握った……だと!?」
オリバーはそのまま握力だけで剣をへし折った。
「大丈夫か、タツミ」
「う、うん……」
タツミは頬を赤くしながら答えた。
「お、オリバー……。さっきの現象が何だったかわかる?」
「……わからないけど、多分テレポート系の魔法だと思う」
「アレックスは、きっとどこかで戦ってるんだと思うよ。コズモも」
そんな会話をしていると、後ろからメリアが叫んだ。
「オリバー! この瓶をあいつらに投げて!」
メリアはカバンから瓶を取り出し、男たちへ向かって投げ渡した。
瓶の中には、スライムの液体が入っていた。
それを浴びた教会のメンバーたちは悲鳴を上げる。
「ベチャッ!」
「うわっ、クソ! 何だこれ!」
「ベトベトして気持ち悪っ!」
メリアはさらに叫ぶ。
「今よ! 魔法で浮かんで!」
「わかった!」
オリバーはタツミのそばへ行き、ひと言告げた。
「ごめん、タツミ」
「えっ?」
「えええええええぇぇぇぇ!?」
オリバーはタツミを抱き上げ、風魔法で地面から数センチ浮かび上がった。
その直後、メリアは液体まみれになった男たちへ向かって魔法を放つ。
「サンダー!!」
「うぎゃあああーー!!」
濡れた男たちは電撃をまともに受け、そのまま気絶した。
⸻
一方その頃――。
コズモの戦いはさらに激しさを増していた。
一時的に視界を奪われ、彼は感覚だけを頼りに攻撃を避けていた。
(……そろそろ能力を使うか)
部屋の隅に座っていた女は、退屈そうにあくびをしながら戦いを眺めていた。
「そろそろ終わりにしますか……」
「サラっ! 彼の能力は何?」
「やっと出番だね、彩姉」
『アナライズ!』
「……能力名は《星の導き》だって」
「うげー、テキスト長っ」
彼女の瞳に、コズモの能力情報が映し出される。
だがコズモは、自分の能力を解析されていることに気づいていた。
「へぇ。君、鑑定系の能力が使えるのか」
「見たいなら……見せてやる」
コズモは空へ向かって叫ぶ。
「星たちよ、俺に道しるべを示してくれ!」
『ウラヌス!!』
その瞬間、コズモの身体から小さな光が溢れ出した。
彼はその光を掴み取る。
すると全身が輝きに包まれ、姿が変化した。
黒と黄色を基調としたアーマーが身体を覆い、背にはマントが現れる。
頭部は黒い霧のようなヘルメットに包まれ、その奥には赤い目が浮かび上がっていた。
変身した瞬間、解析に異変が起きる。
能力詳細の文字がぼやけ、読み取れなくなった。
「う、嘘!?」
「どうしたの、サラ!」
「あのアーマー、何か妨害効果がある!」
「情報全体がぼやけて見えないの!」
「そう……わかったわ」
女は静かに笑う。
「なら、あなたがすごい技を出す前に片づけましょうか」
「極意――魔力汚染」
その言葉が放たれた瞬間、コズモの身体がぐらりと傾いた。
(な……何だ、これは……身体が重い……!)
女は優雅に微笑みながら言う。
「ふふ、どう? 自分の鎧の重さに押し潰される気分は」
「他人の装備に効果を付与するのか……っ」
「そうよ。今、あなたの鎧は90キロ以上の重さになっているわ」
「立つのも辛いでしょう?」
コズモは歯を食いしばる。
(……なら、別のフォームでいくか)




