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忘却の勇者は楽しく冒険したい  作者: ケロタコス
エルトード王国編

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第5話 初めてのクエスト

改稿中

しばらくすると冒険者登録カードが出来上がり渡された。

受付嬢から「次に説明会へ行って待っていて」と言われ、タツミたちと共に2階の部屋へ向かった。

扉を開くとまるで教室のような部屋だった。

壁には黒板があり、机と椅子が整然と並んでいる。

それぞれが座りたい席に座り、誰かが来るのを待っていた。


その間、メリアは俺の座っていた机の上で座りながら話をしていた。

「なあメリア、ここはまるで日本の教室みたいだな」

「確かに、教室みたいよね、どこかの転生者が作ったのかもね」

メリアは自分の服を見ながら、俺に質問をした。

「ねえオリバー、セーラー服とか私に似合うのかな」

「セーラー服?...............サイズがあっていれば似合うと思う」

「ふふーん、似合う?」とニヤニヤしていた。


こうしてメリアと話しているとドアが開き、茶髪のボブヘア若い女性が入ってきた。。

彼女の容姿は二十代でメガネをかけ、袖のない薄いピンク色のセーターと黒いスカートを身に着けていた。

彼女は教室にある机の前に立ち、説明を始めた。

「はーい!それじゃ説明会を始めます」

「皆さん初めまして、説明担当のアリスです」

「今日の説明で使う本は机の中にあるので自由に持ち帰っても構いません」

「ノートもあるので使ってもいいですよ」

俺は机の中からノートを取り出し、メモの準備を始めた。


「まずは冒険者には原則の三つルールがあります」

「一つ目はクエストに出る時は複数人で出る必要がある」

俺はそのルールに疑問を感じ、手を挙げて質問した。

「はい!先生、どうして一人でクエストしてはダメなんですか?」

「コホン、まず私は先生ではありません」

「理由は昔はソロ冒険者の方が多く、一人で死ぬ確率が高く、死体の回収に手が回らないことがありました。そのため、ギルドではグループ行動を重視するようになったのです」


「そして二つ目のルールは、一般人に被害を出すこと。被害の大きさによっては、冒険者ギルドから永久に追放されます」


「三つ目は、冒険者同士での暴力や嫌がらせなどの行為。これは厳しく注意され、場合によっては資格の剥奪もあり得ます」

「わかりましたか」

全員『はーい』


アリスは黒板の前にある机から本を取り、説明を始めた。

俺は机から本を取り出してみた。


『馬鹿でも分かる冒険者ブック』

『勝てると思っているのか? この本がお前を手伝うぜ』

『怪我するあなたへ 治療しなさい今ここで』


本のタイトルは変な名前しかなかった。

(何よ、この本煽りしかてないじゃん!)とメリアは心の中でツッコミをしていた。


「ついでに君たちに最初のクエストをやらせていただきます」

アリスは机の下から置かれていたバケツを手に取り、説明を続ける。

バケツは普通より大きかった。

「このバケツに薬草をいっぱいになるまで回収してください」

「それと、薬草は明るい緑をしているもの。君たちにあげた本に載っているから、ちゃんと見て取れるように。はい、解散!」

説明会は終わりタツミたちと外に出て本を読んでいた。

タイトルは変だったが、中身はしっかりしていた。

「名前は変だけど中身はわかりやすいよね」

「そ、そうね、とてもわかりやすくて助かるね」

本を読みながら、薬草のよく生えている場所を確認していた。


メリアは本内容から場所の確認して指で方向を示した。

「どうやら西の方の森に生えてるみたいだね、あそこら辺よオリバー」

「あそこか」

と言いながら、メリアは俺の肩に乗って数歩歩いて向かおうとした時に後ろからタツミに呼ばれた。

「あの.....オリバーさん、そっち西側ではないですけど」

タツミは言う、反対側の方を指で指した。

「............なあメリア」

「............何も言わないでオリバー、恥ずかしいから」

メリアの顔は真っ赤になっている。

彼女の目を見ようとしたけど、彼女は手で顔を隠した。


________


自然に溢れ、様々な花が咲いている西の森を進んでいた。


「もう疲れた、もうダメだ。どうやら俺はここまでのようだ……ガクッ」

俺が冗談を言うと、メリアはすかさずツッコんだ。

「もう目的地に着いたよ」

「もう着いたの!」


「オリバーさん、水でも飲みますか?」

「ありがとう、タツミ」


休みながら水を飲んでいたが、気になることに気づいた。全身鎧のアレックスが、まったく息切れしていなかったのだ。

「すごいなアレックス、全然疲れてないな、ヘルメットは外さないのか?」

アレックスに言うとタツミは慌てていた。

「あっ、あっ、それはね……」

彼はノートを取り「ちょっとだけ熱くなりました」と書いた。


少し休憩したあと、薬草を集め始めた。


タツミと一緒に草を取りながら話していた。

「なあ、タツミは日本のどこに住んでいた?」

「白熊県に住んでたよ、オリバーもどこに住んでたの?」

「結構近いな、花びら県に住んでたぜ」

「隣だね............夏祭りが有名だよね」


タツミは少し間を置いて、こう聞いた。

「ねぇ、オリバー……どうやってこの世界に来たの?」

「あっ……俺は……ただ、死んだ。それだけだよ」

「女神様に出会って、ここにいるけど」

「君は?」

「私は……トラックにひかれて……」

「そ、そうか……」


少し罪悪感を覚え、話題を変えようと考えた。

手に持っていた草を見つめながら思う、花だ。

母さんが昔「女の子は花が好き」と言ってた。

「なあ、タツミ。好きな花はるのか?」

「……好きな花?」

「そう。俺はたんぽぽが好きだよ」

「たんぽぽ?」

タツミはジト目で優しい声で言う。

「珍しいね、タンポポが好きって」

「タツミは何の花が好き?」

「スミレが好きだよ。花言葉が好きで」

「スミレか」

(スミレって何?……え、聞いたことないんだけど。墨に関係あるのかな?)

俺はあんまり花は詳しくない、覚えているのは、

タンポポ、ひまわり、薔薇ぐらいしか知らないよ。


「オリバーさんは、なんでたんぽぽが好きなの?」

「タンポポの花言葉が好きなんだ。ポルトガル語だと『ライオンの牙』って名前でさ。かっこいいだろ!」 

「それと、たんぽぽを“ふーっ”って吹くのも好きだよ」

そう言うとタツミは微笑んでいた。



風が少し吹き、綺麗な黒色と端の方に現れる金色の髪が揺らめく。

何故か彼女を見ていると少しドキドキしてきた。

気持ちを切り替えようと、彼女から離れて、バケツに薬草を入れようとしゃがんだ瞬間。

森の中から、馬が飛び出してきた。


踏まれるかと思った瞬間、馬は俺の上を飛んで行って走る。

僅かな時間だったが乗っている人物が見えた。

袖の無い黒い革の服と短パンで顔は見えなかった。

後ろには彼女を追いかけるように馬に乗った衛兵が追っていた。

しかし持っていた薬草はすべて馬に踏みつぶされた。

「ガーン!」とショックを受けている間にタツミは心配の声をかけた。

「大丈夫!? オリバー!」

「ああ、俺は大丈夫……だけど、薬草は大丈夫じゃない」


________________


そのころ、同時刻。

メリアとアレックスはそれぞれ少し離れた場所で薬草を取っていた。

「この草ですか、メリアさん」

アレックスはノートにそう書いてメリアに見せた。

「うん、それだよ。その調子で集めてね」

メリアはまだ妖精の姿のまま、空中から薬草の場所を見渡していた。


メリアはアレックスの上から観察して気づいたことがある。

アレックスは人間ではない。

魔力の流れが明らかにおかしい。





(デスクワークの仕事で見た、転生者の能力に似てる……。

あの能力は“英雄の召喚”に近いけど、本来は人間ごと呼べる。

でも彼女の能力は、人形に英雄の姿と能力、装備まで完全コピーできる。そして多分、性格も反映されてる。

……それにしても、すごい能力だな。タツミは)


そして皆は薬草を回収し合流した。


バケツは八割ほどしか満たされなかった。


「ああ……さっきのあの人たちのせいで、薬草が台無しになっちゃったよ」

メリア「その人たちって?」

「さっき薬草を取ってたら、森の方から馬に乗った女の人と兵士がすごい勢いで通ってさ。

それで、取ろうとしてた草は全部、馬に踏まれたんだ」


メリア「……まあ、うん。どんまい、オリバー」

アレックスはノートに「どんまいです」と書いていた。

タツミ「と、とりあえず今日は帰りましょうか。もうに夕方になりますから」


――そして、オリバーたちは街へと帰っていった。


そしてオリバーたちはギルドに戻ってきた。

待っていたのはアリスと、いつもの受付嬢だった。


「うーむ、八割か。まあ、合格ね」アリスが腕を組んで言う。

「はーい、報酬ご用意してますよー」受付嬢は笑顔で言いながら、小さな袋を差し出した。

中には銀貨が20枚入っていた。


「おおおぉ!これがこの世界の金なのか!すごい、ピカピカしてる!」オリバーは目を輝かせた。

「はいはい、じゃあ分けるよ」メリアが落ち着いた様子で言って、銀貨を分配する。


タツミとアレックスに5枚ずつ、そしてオリバーには――2枚。


「……あ、ありがとう」タツミは遠慮がちに言い、アレックスはノートに「ありがとうございます」と丁寧に書いて見せた。

だが、オリバーは眉をひそめる。


「ん?ちょっと待てよ、メリア。なんで俺だけ2枚なんだ?」

「それはね、貯金するためよ」メリアはきっぱり言った。

(資料にはオリバーが金の管理に関して音痴って書いてあったし……ここは彼のために貯金させておこう)とメリアは内心思っていた。


「えー!なんでだよ!」オリバーが文句を言う間に、メリアは魔法で残りの銀貨を自分のバッグに収納してしまった。


「ていうか、銀貨ってどれぐらいの価値があるのかも分かんないんだけど?」

「そうね……だいたい一枚500円くらいかしら。スープとパンのセットが買えるわよ」

「えー、それだけ?」オリバーはがっかりした顔をした。


気づけば、外はすっかり夕方になっていた。

タツミたちは「また明日な」と言って帰っていった。オリバーは手を振って見送る。


「なあ、メリア。今日は宿に泊まる?」

「ううん、泊まらないよ」

(またか……宿に泊まりたいな。でも転生前もホテルなんか泊まったことなかったし……!)


「とりあえず、君がもっと金を集めたら泊めてあげるよ」

「そ、そう……なあ、宿って一泊でどれくらいかかるんだっけ?」

「うーん……結構前のことだから覚えてないわ。これからクエストこなして、貯金して、後で一緒に泊まれたらいいじゃない」


オリバーは困った顔をしながら、これからのことを少し考えていた。

道沿いの店は片付けを始めていて、開いている店も残りわずかだった。


気づくと、メリアは身長を少し変えて、隣を歩いていた。


「あっ、そうだ。あそこに武器屋があるよ。見に行く!」

「おっ、マジで? 一緒に見に行こうぜ!」


店に入ると、感じのいい店員が本を読みながら「いらっしゃい、好きに見てってね」と軽く手を挙げた。

店内には鉄の剣、斧、槍、鎧、棍棒など、いろいろな武器が並んでいる。


ふと周りを見ると、メリアが皮のバッグをじっと見つめていた。


「何見てるんだ? メリア」

「ああ、これ? マジックバックを見てたの」

「へー、何がマジックなんだ?」

「これはね、ある程度の荷物をたくさん入れられるのよ」

「たくさん?」

「だいたい……サッカーボール8個分は入るかな。膨らまないでね」

「8個分⁉︎ うーむ……」

(食料とかいっぱい入るのか。すげーな)「冒険に使えそうなバッグだな……で、いくら?」

「おっ、金貨1枚か。思ったより高くないじゃん」

「いや、高いよ。銀貨1000枚分の価値あるから」

「えっ!? マジで!? ……ほえー、高ぇな……」


「あっそうだ、剣を買うんだったよ。誰かさんがくれた脆い刀のせいでな!」

オリバーは鉄の剣の値段を見て、あっさり諦めた。

値段は銀貨25枚。所持金は2枚。まだまだ遠い道のりだった。


「足りねーな……帰るか」

「欲しくないの? 代わりに買ってあげるよ」

そう言って、メリアは銀貨25枚で鉄の剣を買ってくれた。


「貸しにしとくよ」

オリバーはありがたく受け取りながら、25枚の借りを作ってしまった。


「ありがとう、メリア」

(でも……この剣、ちょっと重いな)

鉄の剣には鞘もセットで付いていた。


「そろそろ帰るか」メリアが言った。

「もう遅いしな」


オリバーとメリアは店を出て、歩道を歩きながら話していた。


「今日の晩御飯、何にする?」

「そうね……うーん、肉じゃがはどう?」

「いいね! それと、メリアにデザート作るよ。色々と世話になったし」

「ふふ、楽しみにしてるよ」


一方その頃


デハーマ帝国の宮殿、薄暗い会議室では三人の人物が顔を合わせていた。

灯りはほとんどなく、重苦しい空気が漂っている。


謎の人物1「……それで、死体は見つけたか」


机の前には、二つの木製の人形がじっと立っていた。

そのうちの一体が、ゆっくりと口を開く。声は低く、冷たく、陰をまとっていた。


人形1「……まだ発見していない。だが、使えそうな死体はいくつかはあったよ。」


謎の人物1「わかった。見つけたら連絡してくれ。」


目線をもう一体に向ける。


謎の人物1「……それで、君は?」


二体目の人形が、今度は明るく跳ねるような調子で答えた。どこか女のような口ぶりで、雰囲気は一変する。


人形2「本当にごめんよ~。金と材料が足りなくなっちゃったよ!」

「それと、研究の成果は順調よ!」


謎の人物1「わかった。後で送るよ。」


――こうして、デハーマ帝国では、謎の人物たちによる不穏な陰謀が、静かに動き始めていた。







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