第47話 七罪の怠惰その2
オリバーは目を覚ました。
気づくと、砂の上に倒れていた。
身体を起こし、砂を払って立ち上がる。
周囲はコンクリートの壁に囲まれ、目の前には鉄格子があった。
外を覗くと――
晴天の下、観客席にびっしりと人が座っている。
……闘技場か。
やがて鉄格子が持ち上がった。
外へ出ると、眩しい陽光と共に歓声が響き渡る。
「……あれ?」
気づけば、手には剣が握られていた。
反対側の鉄格子も開く。
奥から現れたのは、筋肉質の男。
オリバーとメリアを眠らせたあの男だった。
しかし今は、長髪でより荒々しい姿をしている。
まるでローマの剣闘士のように、二人は向かい合う。
――戦闘開始。
オリバーは剣を振るう。
だが、力の差は圧倒的だった。
「ぐっ――!」
一撃で吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。
視界が暗転した。
――
気がつくと、再び牢屋の中にいた。
両手には、大きな手枷が嵌められている。
「……なんだ、この重さ……」
鍵はかかっていなかった。
オリバーは外へ出る。
周囲は荒れ果てた刑務所だった。
鉄は錆び、空気は淀んでいる。
近くに落ちていた鉄パイプを拾い、慎重に進む。
三階から階段を降り、一階へ。
――その時。
奥から、再びあの男が現れた。
「気分はどうだい? 重い一撃を喰らった後は」
「……誰だよ、お前」
男は笑う。
「そうか、まだ名乗ってなかったな」
「我が名は優男。七罪の“怠惰”だ」
「……オリバーだ。お前はここで倒す」
オリバーは鉄パイプを構え、突っ込む。
優男は刑務官の服に身を包み、剣を抜いた。
「はあああっ!」
「来いよ――!」
激しい金属音が、刑務所内に響き渡る。
――
一方その頃。
メリアは白い廊下を進んでいた。
奥に一つの扉がある。
その向こうから、激しい金属音が聞こえてくる。
扉を開けると――
そこは刑務所だった。
「何……ここ、刑務所?」
音の正体はすぐに分かった。
囚人服の少女と、刑務官が戦っている。
少女はメリアに気づき、叫んだ。
「っ……あれ、メリアか!」
「なあ、手伝ってくれ! なんか力が出ねぇんだ!」
「え……君、誰?」
「っていうか、なんで私の名前を――」
黒髪の少女。
白黒の囚人服に、大きな手枷。
しかし――オリバーの姿がない。
……まさか。
メリアは慎重に問いかけた。
「……オリバーなの、君?」
少女は当然のように答える。
「何言ってんだよ、メリア。俺だよ俺」
メリアの思考が、一瞬止まった。
「…………え?」
「えええええええええっ!?」
「女の子になってる!!」
オリバーは自分の身体を見下ろす。
そこには――確かに膨らみがあった。
「……お、おお……全然気づかなかった……」
「気付けよバカ! 手見れば分かるでしょ!!」
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