表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/16

とりあえず街に行くかパート1

「俺は奈伊藤ないとうオリバーだ、よろしくメリア」

「よろしく、オリバー」


「なあメリア、さっき魔法を使ってただろ。それでさ、服とか武器とか出せる?」

俺は昔から憧れてたファンタジーの装備を手に入れてみたいと思って、思い切って聞いてみた。


「出せるけど、私の家にある用意した物だけだよ」

「家にある物?」


メリアは魔法を使い、少し錆びて汚れた刀を取り出した。俺はその刀を受け取り、不安になった。

(えー、これで戦うの?)


「ちょっと錆びてるけど、まだ使えるよ」

そう言われても、不安は消えない。


「ねえオリバー、どんな服がいい?」

メリアが服を出そうとした瞬間、草むらから5匹のゴブリンが飛び出してきた。


俺は素早く戦闘態勢を取った。

「おいおい、思ってたより小さいな。こいつら」


ゴブリンたちは身長が約100cm、棍棒と盾を持っていたが、リーダーらしきゴブリンは槍を持っている。


「よし、これで力試しができる!」


俺は刀を振りかざし、近くのゴブリンに攻撃を仕掛けた。

「喰らえ、我が聖剣を!」

(聖剣じゃないけどな)


ところが、刀の刃が鞘から抜け、そのままリーダーゴブリンの額に当たった。刀が折れるかと思ったら、まさか刃が抜けるとは思わなかった。

(ええっ!?)


驚きつつも、すぐに目の前のゴブリンを拳で殴り、棍棒と盾を奪った。そして棍棒で殴り、盾を投げつけて隙を作り、さらに棍棒で次々とゴブリンを叩きのめした。


ゴブリンたちは散々ボコボコやられた挙句、武器を投げ捨てて逃げていった、オリバーは投げ捨てられた武器を回収した。


オリバーはボロい木の盾と槍を手に入れた。


「はぁ…はぁ…疲れた」

「なあメリア、次はちゃんとした物をくれ」

「悪かったわ」


メリアは気まずそうに言い訳を始めた。

「先代の刀を試してもらおうと思って渡したの。でも、その怒ってる顔やめてよ、ねえ?」


俺はちょっと怒りながらメリアを見ていたが、しつこく謝られるのも面倒で許すことにした。

「わかったよ」


「じゃあ、オリバー。この服を着てみて」


メリアは俺とほぼ同じ身長になり、魔法で次々と服を出してくれた。

「え、メリア、君そんなに大きくなれるの?」

「なれるわよ。それより、早く着てみて」


いろんな服に着替えてみた。

赤い色のローブと服をつけた、

効果は炎に対する耐性が得る。

次はベレー帽と緑のローブがつけた、

効果は迷彩効果がある、

次は黒の服と軽い鎧がつけた、

効果は身体能力の強化、物理ダメージの減少。


最終的に俺が選んだのは軽装の黒い服だった。

「似合ってるのかな、メリア」

「似合ってるよ」


「あ、そうだ」

「なあメリア、俺の能力ってなんだ?」


メリアはズボンのポケットからスマホを取り出し、画面を操作し始めた。

「えっ、スマホ持ってるの!?」

「うん、持ってるわよ」


「いいなあ……俺、死ぬ前はスマホなんて持ってなかったんだ。まさか、この世界の人もスマホを使ってるのか?」


「この世界の人はスマホを持ってないわよ。でも、私は持ってるの」

そう言いながらメリアは画面をスクロールし、やがて何かを見つけたようだ。


「お、あったあった」


メリアは俺の資料を見つけたが、難しい顔をしている。

「何々、俺の能力って?」

「後で言うわ」

「なんでだよ、言ってくれよ!」

「ダメ」

「頼むって、本当に!」

「いーや、言わない」

「お願い、por favor、 please !」


俺が必死に頼むと、メリアは溜め息をついてこう言った。

「オリバー、君は能力がなくてもよく戦えるじゃない。それに、後で必ず教えるから約束するわ」


「…わかったよ」


「なあ、メリア。この辺に街とかあるか?」

「ちょっと待って、確認するわ。」

メリアはスマホを取り出し、地図アプリを開く。

「……うーん、近くに街はあるけど、一日かかるわね。」


「おっしゃー! じゃあ野宿だな!」

オリバーは目を輝かせ、拳を握りしめた。

「野宿ってロマンだよな! 焚き火囲んで肉焼いて、星空見ながら寝るとか最高じゃん!(まさにRPGゲームでやっていた事ができる!)」

彼の頭の中では、完璧なキャンプシーンが展開されていた。


しかし――

「野宿? やらないよ。」

メリアは首を振りながら、あっさり言い切った。


「えっ……?」

オリバーの目が見開かれる。


「だって、わざわざそんなことしなくてもいいでしょ。」

メリアは淡々とそう言いながら、近くの木に歩み寄り、指をパチンと鳴らした。その瞬間――木の幹に突然扉が現れる。


「今日は私の部屋で寝るよ。」

「えっ!? なにそれ!? ドア!? 木から!? そんなことできんの!?」

オリバーは扉を指さして大騒ぎ。


(ちょっと待て……。俺、異世界に転生したんだよな? なのに野宿なし? 焚き火もなし? シュラスコもなし? 俺の想像していたと異世界転生の生活が違うだけど……!)


「ほら、早く入って。」

「お、お邪魔しまーす……」としょんぼりした顔で入った。

オリバーが扉をくぐると――そこに広がっていたのは豪華で可愛らしい部屋だった。

広いリビングに、キラキラした最新キッチン。寝室は壁がピンクで、ぬいぐるみが所狭しと並んでいる。


「うわ、なんだこれ……。お姫様の部屋か?」

オリバーはぽかんと口を開けたまま立ち尽くしていた。


「ほら、口開けたままだと虫が入るよ。」

メリアが笑顔でそう言う。


「で、何か食べたいものはある?」

「え? 食べる?」

「いいわよ、冷蔵庫に何でもあるし。」


言われるがまま冷蔵庫を開けたオリバー。そこには牛肉、豚肉、鶏肉、ハム、ソーセージ――肉がぎっしり!

「なにこれ!? 天国か!?」

「で、どうする? 何か作る?」

「じゃあ、ハンバーグ! ハンバーグがいい!」

オリバーは満面の笑みでリクエストした。


メリアは慣れた手つきで料理を始める。

「オリバーは座って待っててね。」

「え、手伝うよ?」

「いいの、そこに座ってて。」


仕方なく椅子に座ったオリバーは、部屋をきょろきょろと見回した。

(こんな可愛い部屋に俺がいるって……これ、夢じゃないよな? ……でもこれ友達に話したら絶対「ずるい!」って怒るだろうな!)

友達「野郎ぶっ殺してやーる!!」


そんなことを考えている間に――

「お待たせ! 私の特製ハンバーグよ!」

「うおおお! すっげえ! いい匂い!」

オリバーはテンションマックスでフォークを手に取る。

「いただきます!」


二人でハンバーグをペロリと平らげた後、オリバーはふと疑問に思った。

(待てよ……この部屋は一人用に部屋だよなまさか、ベッド一つしかないか? 俺、どこで寝るんだ? え、もしかして一緒に? いやいや、いきなりそれはないな……。)


悶々としていると、メリアが話しかけてきた。

「オリバー、明日は街に行くけど、何か欲しいものある?」

「えっと……武器とか? あと服とか食い物も見たい!」

「いいわね。明日は美味しいスイーツも買って、君にぴったりの武器を探そう。」


「服って……この世界でも売ってるんだな?」

「もちろんよ。」

「じゃあ、メリアも新しい服とか買うの?」

「いや、私はこの服でいいわ。」

「えーその服で冒険すんの?」

「何か文句でもあるの?」と返事しオリバーは小声で

(全然ファンタジー感ないな……。)


そして完食した後。


「さ、そろそろ寝ようか。」

「あ、ああ……で、俺はどこで寝るの?」


メリアは自分の寝室に向かい、オリバーを呼んだ。

「ここよ。」


ベッドの前で立ち止まるオリバー。だが彼は、ベッドには向かわず、床に座り込んだ。

「え、ベッドで寝ないの?」

「うーん、なんか落ち着かなくて……床の方が安心するかも。」

オリバーは苦笑しながらそう言った。


「……風邪をひいても知らないよ。」

メリアは呆れたように笑ったが、その目はどこか優しかった

――(やっぱり資料の通り、オリバーは変態じゃないか、あの二人が異常なだったか.....)とオリバーの前の転生者たちを思い出していた。




メリアはベッドから起きると、静かに台所に向かった。オリバーはまだ眠っているようだ。彼女は朝食を作り始め、手際よくスープとパンを用意して、食卓に並べた。


食事の準備が整った頃、オリバーがようやく目を覚ました。メリアは振り向き、にっこりと微笑んで言った。


「おはよう、オリバー。朝食できたわよ。」


オリバーは眠そうに目をこすりながら、席に着いた。二人はしばらく無言で食事をしながら、食べ終わるとオリバーが口を開いた。


「なあ、メリア。この街にはギルドってあるのか?」


メリアはスマホを取り出し、ギルドを検索した。「いっぱいあるわ。」


オリバーは軽くうなずきながら言った。「ふーん。それじゃ、メリアもギルドに入るのか?」


「うん、入るよ。」メリアは少し笑って答えた。「オリバーがひとりだと、なんだか嫌な予感がするから。」


準備を終え、メリアとオリバーはバッグに荷物を詰め込んだ。メリアは確認しながらつぶやく。


「よし、ハンカチOK、救急箱OK、食べ物OK…」



「「よし、行こう!」

オリバーは勢いよくドアを開いた。


その瞬間――


森の暗闇から、何かが飛んできた。


「危ない!」


メリアが咄嗟にオリバーの背後から抱きつき、腕で彼を庇った。直後、彼女の左腕に鋭い痛みが走る。小さな針が三本、深く突き刺さっていた。「うっ...!」


オリバーは即座に森の奥を見やったが、そこには誰の姿もない。ただ、静寂だけが広がっている。


(……誰もいない、いや、どこから針が飛んできた?――)

(——まさか....!、透明ができる敵か!。)


オリバーの背中に冷や汗が伝う。目に映らぬ敵。透明化の能力か、それとも何か別の手段か?


(....見えない敵とどう戦う?)


焦りを抑え、オリバーは冷静に考えた。そして、ある直感が脳裏をよぎる。


彼は地面に手を伸ばし、土をすくって勢いよく周囲に撒いた。しかし――土は当たらなかった。


オリバーは槍を構えた。ゴブリンの群れを倒した際に回収したものだった。鉄製ではなく粗雑な作りだが、戦闘には十分に使える。


オリバーは背後へと振るった。だが、手応えはない。


(クソッ、どこにいる!?)


一方、メリアは素早く傷口の処置をしようとしたが、違和感に気付く。腕に残る感覚は痛みではなく、痺れ。まるで神経を麻痺させる毒が塗られているかのようだ。


「っ……」


メリアは眉をひそめる。長引けば危険だ。だが、戦闘はまだ終わっていない。


オリバーは耳を澄ませた。わずかに、草の上を踏む音が聞こえる。しかし、音が聞こえてもそれでも居場所を探知をするの難しい。


オリバーは直感に任せ、広範囲に槍を振るい始めた。空を切る音が何度も響くが、敵の姿は見えない。


すると槍を構えていたオリバーの槍が真っ二つに折られた。


「•••!?」折られた槍を見たメリアは魔法でオリバーが回収したボロい盾をオリバーの目の前に出した、ガタッと落ちたを取ったオリバー構える。



「待っていろ、オリバー、サポートするよ」


メリアの声には緊迫感が滲んでいた。彼女は腕の痺れを無視し、敵の動きを必死に探る。


(……どこだ……何か、手がかりは――)


ふと、視界の端で異変に気付く。


(……ゆっくりと、踏みしめられる草……!)


わずかに沈む地面。風にそよぐはずの葉が、不自然に揺れている。そこに、確かに”何か”がいる。

「オリバーッ!後ろだ——!!」


メリアが叫んだ。オリバーは即座に後ろを向き盾遠構えた。


その瞬——ボロい盾は砕かれた!


「しまっ――」


だが、その時。


「動かないで!」


メリアの声が響いた。


彼女の手には、魔法の雷光――《スタン・ライトニング》


放たれる蒼白の閃光。


稲妻が駆け抜けた瞬間、空間が歪む。いや、“何か”が光に包まれ、形を現した。


「ぐっ……!」


敵が苦悶の声を上げ、地面に倒れる。


(やったか……?)


オリバーは慎重に槍を構えながら、倒れた敵を見つめた。


メリアが息を切らしながらも微笑む。


「……少し、痺れるでしょうけど……これで、大人しくなってくれるはずよ」


彼女の腕にはまだ痺れが残るが、それ以上に、敵を仕留めたという確信があった。


オリバーは深く息をつきながら、盾を地面に置いた。


「助かった……ありがとう、メリア」


森の静寂が戻る。


しかし、オリバーの胸にはまだ、見えざる敵への警戒が残っていた。


透明化が解け、倒れた敵の姿がはっきりと見えるようになった。黒を基調とした服装に、漆黒のローブとフードとマスク。影のように気配を消していたのも納得だ。


メリアは肩で息をしながら、自分の左腕を軽くさすった。


「……ちょっと待ってね」


そう言うと、片手を前にかざし、静かに魔力を込める。次の瞬間、空間が歪み、彼女の手元に一本のポーションが現れた。メリアは迷わずそれを開け、一気に飲み干す。


「ふぅ……大丈夫、ほとんど治った」


呼吸を整えながらそう言ったが、左腕を軽く動かすと、わずかに痺れが残っているのがわかった。


「どうする?」


オリバーが尋ねると、メリアは小さく笑って答えた。


「そうだな、まずは縛ろうか」


そう言いながら、彼女は自室へロープを取りに向かった。


戻ってくると、オリバーにロープを手渡しながら苦笑する。


「ごめん、左腕がまだ少し痺れてるから、縛るのはお願い。やり方を教えるよ」


「オケ、わかった」


オリバーはロープを手に取り、倒れた敵を見下ろす。


「じゃあ、どうやればいい?」


「まずは手首をこうして……」


メリアは片手でジェスチャーをしながら説明し、オリバーはそれを見ながら手際よく縛っていく。


「うん、いい感じ。でももう少しきつくした方がいいかも」


「こうか?」


「そうそう、そんな感じ」


敵をしっかり拘束すると、オリバーはふぅと息をついた。そして、ふと気になって敵のマスクに手を伸ばす。慎重に外すと——


「……え?」


思わず声が漏れた。現れた顔は、どう見ても女の子だった。


「転生者……?」


異世界ではまず見かけない顔立ち。驚きつつも、オリバーは僅かに息をのんだ。いったい何者なのか——?


オリバーは、しっかりと縛った女の子を寝室まで運び、ベッドの上に寝かせた。しばらくすると、女の子が目を覚ました。


「……ん?」


意識がはっきりするにつれ、彼女は自分の手足が縄で拘束されていることに気づいた。


「なっ……!」


身をよじらせ、縄を抜けようともがくが、しっかりと縛られているため微動だにしない。


その間、オリバーとメリアは少し離れた場所で話をしていた。


「で、この子をどうする?、街までどうやって連れて行く?」


オリバーの問いに、メリアは軽く考え込み——すぐに笑顔で提案した。


「オリバーが運びながら歩けばいいんじゃない?」


「……えー」


さすがにそれはキツいだろ、と言いかけて、オリバーは女の子をちらりと見た。


(まあ、こいつはそんなに重くはないけど……ずっと担いで歩くのは俺めっちゃ疲れるよ)


「うーん、それだと俺めっちゃ疲れるよ」


「そうだねぇ……じゃあ、引っ張りながら歩けば?」


「それはそれで大変じゃない?」


そんな風に話しながら、オリバーはメリアの腕に包帯を巻いていく。


「よし、完璧」


包帯をしっかりと巻き終え、オリバーは満足げに言った。


メリアは彼の手元を見ながら、微笑む。


「オリバー、包帯の巻き方上手いね」


「ふふーん、元保健委員を舐めるなよ。」


得意げに胸を張るオリバーを見て、メリアはクスクスと笑った。


その間も、ベッドの上では女の子が必死に縄を解こうと悪戦苦闘していた——が、やはり無駄だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ