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第56話 テスト

 帝位継承戦が始まった。が、私たちは学生。学業をおろそかにするわけにもいかない。

 それに、この魔法学校プロジェクトの成功は、そのままフリードリヒの功績に繋がる。

 そのため、学業と社交の両立。加えて、生徒会活動も行わなければならない……。

 日々、忙殺されながらも、やっと終わりが見えてきた。そう、そろそろ春の社交シーズンが終わるのだ!


 この国の貴族のサイクルは、三か月ごとに回っている。

 春の社交シーズン→夏を領地や避暑地で過ごす→秋の社交シーズン→厳冬を領地で過ごす→春の……。

 と言っても、お母様みたく皇城勤務の貴族は、年中帝都にいるわけなのだが。


 そんなわけで、もう少し頑張れば社交が一段落する。そうなれば、一時的に生徒会活動や学業に集中できる!

 だが……私は大事なことを忘れていた。ここは学校。私は学生。ということは?テストがあるのです!

 ここは貴族の学校。なので、テストのサイクルも貴族サイクル準拠。

 各シーズン末に一回。最後だけは卒業や上級学年進学の都合上、少し早めだが……計四回!

 その記念すべき第一回目のテスト!開校後初、とっっっても大切なテストなのは言うまでもないだろう。

 焦った私は、大図書館での勉強会を提案した。生徒会メンバーで。


――――――


「マリアちゃん、ここ教えてよ?俺、戦術講義以外全然わからないんだよね……」

「レオン、そこは私が教える。マリアの手をお前如きが煩わせるな!」

「ハインリヒ、ひどい!教わるなら男より可愛い女の子でしょ!」

「そんな不純な気持ちでマリアに近づくな!安心しろ……私が徹底的に叩き込んでやる……」


 男性陣は、妙に張り切っているお兄様、そもそも出来の良いフリードリヒがいるので問題ないだろう。


「あかん!国史がまったく覚えられへん!数字は数字でも、年号は嫌いや!銭勘定ならいくらでもやったるのに……」

「ん。私も苦手。礼儀作法はもっと苦手」


 女性陣は、特化型二人だからな……。ただ、商人や研究者なら広く知識を持っているべきでは……?

 しょうがないので、フリードリヒの手も借りることにしよう。二人の面倒は見きれない。


「フリードリヒ……助けてください。ローズかテレーザの勉強を見てあげてくれませんか?」

「わかった。私がテレーザを担当しよう。ローズはマリアが見てやってくれ」

「ありがとうございます。助かります……」

「いや。本来なら、私が勉強会を言い出さなければいけなかったな。生徒の規範となるべき生徒会が下位にいては、面目が立たないからな」


 ん?私は、そんな高尚な考えはなかったんだけど……。私の勉強を、みんなが見てくれないかなぁ程度の気持ちで……。

 結果的には、三名ほどが思っていた以上にまずい状況だったことに気付けたわけだけど。

 そんなわけで、私のための勉強会から、生徒会の尊厳のための勉強会に様変わりした集まりは、複数回行われたのだった。


――――――

 

 そして、迎えたテスト当日。私は、準備万端でテストに臨むことが出来た。

 前世で、マコト君に勉強を教えていた時も思ったことだが、人に教えるというのはとても勉強になると思う。

 教えることで復習になり、教えられなかった所は、自分が理解できていないと気付くことができる。

 情けは人の為ならず、とはよく言ったものだ。なので、私は万全の態勢でテストを迎え撃った。


 一日目の国史、算術、礼法、戦術、魔法の五科目の筆記試験と、二日目の魔法の実技試験。

 配点は筆記五科目は各百点、実技は五百点。魔法学校である以上、魔法関係に偏っている。

 このテストの結果は、国と共有されることになっている。今後の人事に大きく影響するだろう。

 そのため、生徒全員良い結果を残そうと必死だ。フリードリヒの目論見通りということだ。

 魔法戦力の底上げや管理だけにとどまらず、縁故主義から実力主義の人事採用へ変わっていくきっかけになるだろう。


 二日間のテストを終えた生徒たちには、一週間の休暇が与えられた。

 前世の長期休暇ほど長くはないが、入学後初めてのまとまった休みだ。みんな、とても嬉しそうだった。


――――――

 

 テスト休暇明け、テスト結果がエントランスに張り出された。人混みができている。

 私たち生徒会メンバーも、人混みの中に突入しようとする。が、勝手に人混みが二つに割れ、道が出来上がった。

 身分差撤廃を掲げているため、複雑な心境だが……今回ばかりはありがたく感じてしまった。

 だけど、皇子効果だけではないことを肌で感じながら、テスト結果を眺める。


 一位 フリードリヒ・イストリアス・カージフ 500 500 1000

 一位 マリア・フォン・ナッサウ       500 500 1000

 一位 ハインリヒ・フォン・ナッサウ     500 500 1000

 四位 イザベル・アーティラス・カージフ   482 455  937


 ああ、皇子効果以外の理由が良く分かった……。確かにこれは、なかなかに凄いわ……。

 ちなみに、ローズが十二位、テレーザが二十位。レオンは……七十二位だった。

 今年の入学者は百五十人のため、レオンもぎりぎりだが半分より上にいる。


「マリアやハインリヒに勝てなかったか」


 フリードリヒが悲しそうだ。満点だったことを喜ぶのではなく、勝てなかったことを悲しむとは……。


「いやいや、おかしいやろ!満点にどうやって勝つっちゅうねん!」

「ん。会長、頭おかしい。頭良すぎて頭悪くなった?」

「ホント、俺にもテストの点、少しわけてくれよ……」


 若干一名を除いて、至極当然の意見だ。レオンはもっと頑張りなさい……。


「はあ!?なにこの結果?わたくしが四位?本当に……あなた達は化け物ね……」


 後から現れたイザベルさんが、呆れた顔でこちらを見ている。


「イザベルさん?今回も私の勝ちですね。次回のテストはどうします?」


 私は、挑発するようにイザベルさんに声をかける。当然、返ってくる言葉は予想がついているけど。


「次は絶対に勝つわ!公爵家の誇りにかけて……絶対に!」


 その言葉を聞いて、安心する。きっと、次のテストでは、もっと高得点をとってくるだろう。

 私も負けずに頑張らないと!テストに演劇大会に、とても忙しいとは思うけど……。


「マリア、今度こそ勝てると思っていたんだがな。次こそは、絶対勝ってみせる!」

「あはは、マコト君みたいなこと言ってる。でも、私の連勝記録は途切れちゃいましたね」


 教室へ向かう私たち。悔しそうな顔をしているフリードリヒだったが、劣等感のようなものは感じられなかった……。

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