↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カンナ  作者: 村上しのぶ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/7

どうせ人類は大預言で滅んでしまうんだ。


 正男や浩司が子供の頃、オカルト関係のおかしな本が流行っていた。

 そこには、未確認飛行物体UFOを始め、ネス湖のネッシー、ヒマラヤのイエティ、あるいは日本のどこかにいるという、ツチノコやらといった、子供たちが大好きな胡散臭いものがいっぱい載っていた。

 そういう子供向けの本が、当時は各出版社から色々と出されていたものだった。

 その中に、必ずといっていいほど載っていたのが、ノストラダムスの予言である。


 1999年の7の月。

 空から恐怖の大王がやってくる。

 16世紀のフランスの医師で占星術師、ノストラダムスが遺した予言というのが、それである。


 子供の頃の正男は、決してそれを鵜呑みにしたわけではないが、1999年7月までの年月を計算し、ああ、自分の命も、もうあと何年だな、などと諦めに似た境地になったりしたものだった。


 その日が、もうあと一年以内に迫っていた。


 今でも、別に信じてはいないし、世間を見渡してみても、あと一年で人類が滅亡するとか言って、パニックになっている人などいなかった。

 実に冷静に、ただのトンデモ説として、ノストラダムスの予言は受け止められているみたいだった。


 でも、心のどこかで、正男は予言が本当になるのではないか、そう思うところがあった。

 まあ、それはそれでいいけどな。

 そう悟った境地であった。

 まだ20代も数年過ぎたばかりである。

 が、結婚もしたし、子供も誕生した。

 仕事も、実家の酪農を継いで、それなりにやれている。

 裕福ではないが、田舎で家族が慎ましく暮らしていく分には十分であった。

 これから先、大成功して大金持ちになったりする見込みもないし、ずっと同じような日常が続いていくだけの人生なのであろう。

 だとしたら、別に今すぐ人生が終わっても構わないではないか。

 家族を残して自分だけ死んでしまうのは未練が残るが、人類がみんな綺麗さっぱり消えてしまうのであれば、何も心配することはない。


「ふふっ」

 正男はパッケージに載っている、そのカンナという女優を見て、また吹き出した。

 人類が滅びるより先に、2026年がやってきたか。

 だが、浩司は、それをビデオに興味を惹かれた証と受け取った。


「な、見たいだろ?新作だけど、特別に一週間貸しといてやるよ」

 そう浩司に押し切られて、結局、350円を払って借りてきてしまったのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。